
「私の折々のことばコンテスト」結果発表
「私の折々のことばコンテスト2017」に多くのご応募をいただき、ありがとうございました。
国内外から寄せられた3万1588作品について2017年12月、「折々のことば」筆者の鷲田清一さんを審査委員長として審査を行い、最優秀賞1作品、受賞12作品が決定しました。入選した佳作20作品と、審査員の講評を合わせてご紹介します。
※下線太字部分をクリックすると受賞作の全文が読めます ※学年は2018年1月現在
最優秀賞
あんたの根っこ見つけて水やり続けるねん
鷲田清一賞
大岡信ことば館賞
栄光ゼミナール賞
朝日中高生新聞賞
佳作
【中学部門】
【高校部門】
学校賞
【中学部門】
- 茨木市立太田中学校(大阪府)
- 岩手県立一関第一高等学校附属中学校
- 浦和明の星女子中学校(埼玉県)
- 大阪教育大学附属平野中学校
- 久喜市立菖蒲南中学校(埼玉県)
- 苫小牧市立緑陵中学校(北海道)
- 流山市立おおたかの森中学校(千葉県)
- 流山市立東部中学校(千葉県)
- 広島市立大州中学校
- 横浜市立岩井原中学校(神奈川県)
【高校部門】
- 愛知県立起工業高等学校
- 大分東明高等学校(大分県)
- 大阪桐蔭高等学校(大阪府)
- 鎌倉女学院高等学校(神奈川県)
- 大商学園高等学校(大阪府)
- 初芝富田林高等学校(大阪府)
- 福岡県立三池高等学校
- 福山暁の星女子高等学校(広島県)
- 北陸高等学校(福井県)
- ラ・サール高等学校(鹿児島県)
※入選を含む50作以上の応募があった学校を選定
審査講評
審査委員長 哲学者、京都市立芸術大学理事長 学長 鷲田 清一

家族や友だちといった、日常の会話と地続きのところから言葉を選んだ人が多かった。ありふれた言葉でも、それをどう受け止めたかという点で読み応えのある作品が増えました。励まされた、勇気をもらったという前向きな内容が中心でした。
ただ、本で読んだ言葉でも、自分を揺さぶり、胸をどんと突いてくることがあります。意味のわからない言葉と出会い、衝撃を受けたという体験を書いた作品があったらよかった。言葉との格闘こそ、自分を変えるパワーになるんです。
コンテストだから、起承転結でまとめよう、メッセージを持たせようという気持ちが働くのかもしれません。でも、まとまっていなくてもいいんです。わからないものをわからないと言って書く手法もあって、意外とおもしろくなる。不安のまま、わからないままでもいいんです。そんな作品も読んでみたいですね。
大岡信ことば館 館長 岩本 圭司
大岡信ことば館賞は、言葉にどれだけ執着しているか、言葉をどれだけ吸収しているかという観点で選びました。言葉が身体に飛び込んでくる時というのは、つぼみのような形で入り込んでくる。つぼみをそのまま枯らしてしまうか、大きく花開かせるかは、取り込んだ人がその言葉をどう感じるかにかかっています。中学生・高校生には、そのつぼみをどんな形でもいいからできるだけ大きく開かせる日々を送ってほしいと思います。
株式会社Z会 中高事業部 事業部長 宮原 渉
近年の中高生は、文章を書いて人に見せる機会が少なくなり、LINEなど、比較的短い「ことば」のやりとりが中心になってしまっているように感じます。これもまた時代の流れなのでしょうが、「ことば」との出会いの粒度はまちまちにしても、そこから“何か”を感じ取って、別の「ことば」で表現することが次の成長につなげるきっかけになるだろうと思っています。Z会賞は、同じ中学生・高校生の皆さんに“何か”を感じてもらえる作品、ぜひ読んでほしい作品を選びました。文章を読んで、感じたことを自分の「ことば」で表現する。小さくまとまることなく、様々な「ことば」に出会うことで、成長し続けていってほしいと思います。
株式会社栄光 執行役員 長島 雅洋
悩みの渦中で、ある言葉に出会った。そんな経験をきちんと受け止めて表現することに果敢に挑戦した作品が残りました。最優秀賞では特に、言葉が持つ力の強さを感じます。栄光ゼミナール賞は、中学生・高校生が悩みながら目標に向かう時に勇気をもらえる言葉。一つの成果指標としての結果も重要だけれど、置かれた環境や目標にいたるプロセス、目指すべきベストはひとりひとり違う。それぞれの環境で地道に努力することの大切さが、美しい言葉で表現されていました。
朝日学生新聞社 朝日中高生新聞 編集長 別府 薫
思いがけない言葉にはっとするのもいいけれど、言葉にまっすぐに向かっていく、出会いに行っているという点で朝日中高生新聞賞・中学部門の作品は素晴らしいですね。十代の皆さんが、自分の生き方や将来の夢を後押しするような言葉から、未来につながる気付きを得ているということを感じ取りました。文字にして書くと、その言葉や気付きはさらに深く心に刻まれます。気付いたことを文章化していくことを日々の生活の中で心がけてくれたらうれしいです。
朝日新聞社 執行役員 市村 友一
今年は特に高校部門が力作ぞろいで甲乙つけがたく、読ませるエピソードが多かった印象です。朝日新聞社賞も、言葉自体の強さもさることながら、本文の内容をより重視して選びました。文章を書くことで自分の人生を振り返ったり、字にして固定化するということによって、あらためてその言葉の意味を考えたり刺激を受けたりする。この作業が、自分のこれからの人生の支えになったり、目標になったりすることでしょう。

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