2011年06月08日
展示されるトリケラトプスの全身復元骨格
復元イラスト © Utako Kikutani
草食恐竜の人気者、トリケラトプスはどんな姿勢で歩いていたのか。最新研究に基づいて新たに作製された全身復元骨格が、「恐竜博2011」(東京・国立科学博物館)で初公開される。太古の大地を踏みしめた本来の姿に一歩近づいた。
東京大学総合研究博物館の藤原慎一特別研究員は最新の研究で、トリケラトプスの前あしの姿勢について新たな復元仮説を明らかにした。手の甲は「小さく前へならえ」のように外側に向き、親指と人さし指、中指で体を支えていた、というものだ。
これまでは、二つの仮説に基づいて復元されてきた。トカゲのようにひじを横に張りだした「はい歩き型」と、ネコのように手の甲を前に向けた「直立型」だ。しかし「はい歩き型」は足跡の化石と位置が合わず、「直立型」は骨格の構造上、無理があった。
国立科学博物館には、世界で最も状態が良いとされるトリケラトプスの骨格標本が常設展示されている。藤原さんがその前あしを調べると、親指から中指までが、薬指、小指と比べて大きくがっしりとしていた。
恐竜の祖先は二足歩行だったと言われる。のちに頭が大型化したトリケラトプスは四足歩行になった。その際、手の甲を外側に向けた状態で前あしを地面につけたらしい。このため、力強い3本の指で効率よく地面をけることができた。
今回、新たなトリケラトプスの全身復元骨格は、肉食恐竜の王者ティラノサウルスと向かい合って展示される。大迫力の対決シーンは必見だ。