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2011年07月20日

【朝日新聞記事から】ティラノの前あし、なぜ短い

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ラプトレックスの頭部復元模型 ©M.Hettwer,courtesy Project Exploration

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プシッタコサウルス(右)と対決するラプトレックス(中央)。奥には頭部復元模型の展示もある=東京・上野の国立科学博物館、遠藤真梨撮影
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ティラノサウルスの前あしが、巨大な頭に比べてあまりにも短いのはなぜ?――。その謎に迫るホットな論争が、いま研究者のあいだで繰り広げられている。

論争の中心「ラプトレックス」は2009年、新種のティラノサウルス類として、シカゴ大学のポール・セレノ博士が発表した。ティラノサウルスの時代から5千万年以上さかのぼる白亜紀前期のものとされ、全長3メートルほどの小型恐竜にもかかわらず、相対的に頭は大きく前あしは短いという、ティラノサウルスの特徴をすでに持っていた。

博士は、体や頭が大型化する過程で何らかの理由で手が短くなっていったというような従来の説を覆し、ティラノサウルスよりずっと以前の時代の小型種において、すでに短い前あしという姿が完成していた可能性を指摘する。巨大なティラノサウルスにもこの骨格デザインが引き継がれたというのだ。

しかし、ラプトレックスはティラノサウルスに先立つ時代の小型種ではなく、ティラノサウルスと近縁で、同時代の大型種であるタルボサウルスの子どもの可能性があると指摘する研究者もいる。ラプトレックスがどこから産出したか不明の購入標本である上、化石の年代特定はきわめて難しい。セレノ博士は骨の内部構造から5〜6歳と推定しているが、これらの研究者は骨の成長状況などから、もっと幼少と考えている。

東京・上野の国立科学博物館で開催中の「恐竜博」では、ラプトレックスの実物化石などが日本初公開されている。会場にはティラノサウルスの全身骨格も展示されている。ティラノサウルスの短い前あしの謎を追って、両者をくわしく見比べてみるのも楽しい。

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