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名画ギャラリー

ヨーロッパ絵画史を俯瞰する35点、侯爵家コレクションの神髄

この章では、総数約1,600点を数える侯爵家の豊かな西欧絵画コレクションから、選りすぐりの35点を紹介します。16世紀ルネサンスから、17-18世紀前半のバロックを経て、19世紀前半にいたるまでのヨーロッパ絵画史を、各時代・地域を代表する巨匠たちの名画によってたどります。

16世紀ルネサンス

16世紀初頭、盛期ルネサンスを迎えたヨーロッパでは、アルプス以北・以南の芸術家たちが交流し、互いの得意分野を学びあって、大輪の花を咲かせました。
このセクションでは、イタリア・ルネサンスの立役者ラファエッロ、北方ルネサンスを代表するルーカス・クラナッハ(父)など、珠玉の作品を展覧します。

ラファエッロ・サンティ
《男の肖像》

[1502/04年頃 油彩/板 48×37cm]

前景に上半身の人物、背景に自然の風景を配する肖像画の形式は、ネーデルラントにはじまり、15世紀後半から16世紀にかけてヨーロッパ各地に広まりました。若い頃のラファエッロが手がけたとされる本作にも、この特徴が見られます。モデルについては現在もはっきりしませんが、その品位あるたたずまいや、意志の強さを感じさせる眼差しには、モデルの顔立ちや外見だけでなく、内面性までも鋭く描きとめる画家の手腕がうかがえます。黒を基調にした衣服を彩る赤と緑の絶妙な配色、顔や首もとの微妙な陰影、柔らかな髪の繊細な描写など、ラファエッロらしさを堪能できる1点です。

ルーカス・クラナッハ(父)
《聖エウスタキウス》

[1515/20年 油彩/板 87×33cm]

古代ローマの将軍だった聖エウスタキウスは、勇猛さで知られていましたが、ある日の狩りで、磔刑のキリストの十字架を角の間にのせた牡鹿に出会い、キリスト教に改宗したと伝えられています。クラナッハは、牡鹿を仰ぎ見ながら敬虔にひざまずくエウスタキウスによって、改宗の瞬間を描きました。北方らしい深緑の草木、小石の転がる乾いた地面、動物の毛並み、エウスタキウスの光輝く甲冑、頭の羽根飾りなど、それぞれに異なる質感が緻密に描き分けられています。動物たちのどこか愛嬌のある描写も、目をとらえます。

17世紀バロック

17世紀のヨーロッパ社会は、前世紀の宗教改革を受けて、カトリックとプロテスタントに大きく分かれました。布教のための芸術活動を奨励したカトリック圏のイタリアやフランドルでは、感情に訴えるバロック様式が華々しく展開され、大画面の宗教画や神話画が描かれました。一方で、偶像崇拝を禁じるプロテスタントを国教とした新興国オランダでは、市民階級の趣味にかなう風俗画、肖像画、風景画、静物画が隆盛を極めました。
このセクションには、イタリア・バロックの寵児グイド・レーニ、フランドル・バロックの代名詞たるルーベンス、ヴァン・ダイクらに加え、オランダ絵画を牽引したレンブラント、フランス・ハルスなど、名だたる巨匠たちの至高の名画が集結します。

アンソニー・ヴァン・ダイク
《マリア・デ・タシスの肖像》

[1629/30年頃 油彩/カンヴァス 129×93cm]

品位とともに人間味をも描き出すヴァン・ダイクの肖像画は、ヨーロッパ各地の上流階級の人々の間で、絶大な人気を博しました。本作のモデルマリア・デ・タシスは、アントウェルペンの上流市民の出身と伝えられます。そのくつろいだ物腰と魅力的な微笑みには、気品と同時に親しみやすさを巧みにとらえる画家の力量が際立ちます。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン
《キューピッドとしゃぼん玉》

[1634年 油彩/カンヴァス 75×93cm]

初期レンブラントの代表作に数えられる1点です。制作当時、画家は28歳でしたが、伝統的な主題に斬新な創意を加えつつ、迫真的な描写力と確かな構成力でまとめあげる手腕によって、すでに名声を得ていました。本作にも、レンブラント独自の工夫が認められます。伝統的に生や現世のはかなさの象徴とされてきましたが、ここでは愛の神キューピッドと結びつけられ、愛のはかなさが強調されています。

18-19世紀 新古典主義 / ビーダーマイヤー

日常に向けた暖かい眼差し 日本で初めて「ビーダーマイヤー」に大注目!

18世紀のヨーロッパ絵画は、世紀半ばまでバロックの気風を残しつつも、次第に古典古代への関心を復活させていきます。イタリアでは古代趣味にあふれる奇想的風景や都市景観画が盛んに描かれ、フランスやドイツではロココ様式を経た世紀後半に、新古典主義の動きが現れました。
19世紀には、ウィーン会議(1815年)から三月革命(1848年)に至る33年の間に、中欧で「ビーダーマイヤー」と呼ばれる芸術様式が展開されました。ビーダーマイヤーの画家たちは、滑らかな絵肌を特徴とする新古典主義の描法を受け継ぎながらも、神話や歴史ではなく、身近な人物や風景をノスタルジックに描き出す繊細優美な画風で、隆盛を極めました。
このセクションでは、イタリアの風景画家パニーニやカナレット、日本では目にすることの難しいビーダーマイヤーの作家たちの名画7点を紹介します。

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© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

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