展覧会のみどころ

 古都奈良と京都の間、京都府南部の「南山城(みなみやましろ)」の地には、奈良時代から平安時代以来の伝統を守り伝える古い寺院が点在しています。

 ─ みかの原 わきてながるる泉河 いつ見きとてか 恋しかるらむ ─

 百人一首の中納言兼輔(かねすけ)の和歌に詠まれたように、上代には〈みかの原〉に恭仁京(くにきょう)が置かれ、木津川〈泉河(いづみがわ)〉が流れる風光明媚な南山城は古来、貴族たちの憧れの聖地でした。静かな山間に寺院を建て、この世に極楽浄土の夢を開花させようとしたのです。
本展では、この地域に伝来する優れた十一面観音像を含む仏像のほか、仏画や金工品、陶磁器、染織などの文化財や考古遺物を展示します。また京都国立博物館による文化財調査を通して明らかになった作品も公開し、南山城の歴史と風土、仏教文化を紹介します。
 ご出陳いただく主な寺院は、相楽郡笠置町の笠置寺(かさぎでら)、木津川市加茂町の海住山寺(かいじゅうせんじ)・浄瑠璃寺(じょうるりじ)・岩船寺(がんせんじ)・現光寺(げんこうじ)、木津川市山城町の蟹満寺(かにまんじ)・神童寺(じんどうじ)、京田辺市の観音寺(かんのんじ)・寿宝寺(じゅほうじ)・酬恩庵(しゅうおんあん)(一休寺(いっきゅうじ))、綴喜郡宇治田原町の禅定寺(ぜんじょうじ)ほかあわせて十数箇寺にのぼり、国宝2件、重要文化財26件を含む約140件を展覧いたします。

1:あなたの知らない京都 南山城 —いま、明らかに!

 かつての山城国(いまの京都府)の南、木津川流域に位置する「南山城」。聖武天皇が一時「恭仁京」を置いたことでも知られ、現在も風光明媚な山里には、奈良時代・平安時代に創建された由緒ある古刹が点在します。今回、京都国立博物館による文化財調査が実施されたのにあわせ、この地で長く守り伝えられてきた優れた仏像や、仏画、金工品、陶磁器、染織品など文化財や考古遺物を展示し、南山城の歴史と風土、仏教文化の全貌を大規模にご紹介する初めての展覧会です。

国宝 浄瑠璃寺本堂

2:京都国立博物館であこがれの十一面観音に出会う

 南山城には、古く、姿も美しい十一面観音が多く残っています。古来より隣接する奈良の影響を色濃く受けたため、本尊を十一面観音とする東大寺二月堂の信仰が影響し、広がったのではないかとする説があり、現在の南山城地域には国宝もしくは重要文化財の指定を受けている十一面観音が8件あります。本展にはそのうち、海住山寺、現光寺、寿宝寺、禅定寺の4件をご出陳いただきます。十一面観音のほかにも、平安・鎌倉時代の貴重な仏像を多く紹介し、京都国立博物館では久しぶりの仏像にスポットをあてた展覧会となります。

【十一面観音とは…】 世を救済し、救いを求める心に応じて姿を変える観音菩薩の変化身のひとつ。頭上に十一の顔を持つ。日本では奈良時代に信仰が高まった。 寺院の秘仏とされ拝観の機会が限られることが多いためか、各地の十一面観音を訪ね歩く「巡礼」は、仏像愛好家たちのあいだでブームに。白洲正子の著書『十一面観音巡礼』もある。

3:南山城の仏教美術の優品が一堂にそろう貴重な機会

 南山城に点在するお寺の仏像は、秘仏として拝観日が限られていたり、事前に予約が必要であったりするお像も少なくありません。アクセスも容易ではないため、南山城の古寺めぐりは実際、難易度が高いものです。今回は京都国立博物館の展示室に集まった仏様やご宝物を心ゆくまでご覧いただける貴重な機会です。(一部会期中に展示替えがあります)。なお本展は京都会場のみでの開催です。

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