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あえて楽観主義 13年春夏NYコレクション

2012年9月24日11時8分

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写真:マーク・ジェイコブス拡大マーク・ジェイコブス

写真:マイケル・コース拡大マイケル・コース

写真:ジェイソン・ウー拡大ジェイソン・ウー

写真:アレキサンダー・ワン拡大アレキサンダー・ワン

写真:プロエンザ・スクーラー拡大プロエンザ・スクーラー

写真:アルチュザラ拡大アルチュザラ

写真:Y−3(写真はすべて大原広和氏撮影)拡大Y−3(写真はすべて大原広和氏撮影)

 変わらない現状への意思表示か、栄光の時代への懐古か。6日から開かれた2013年春夏ニューヨーク・コレクションでは、米国が繁栄の一途をたどっていた1960年〜70年代初頭にかけて主流だった幾何柄ドレスなど、シンプルで力強い作品が多く見られた。社会が不安定さを増す中、「あえて楽観主義を」と語るデザイナーが目立った。

2013年春夏NYコレクション 写真特集はこちら

■60年代風まぶしい

 期間中は大統領選に向けた党大会の真っ最中。不況や格差拡大など経済・社会不安が広がる中、「経済再生」をうたうオバマ大統領の演説が話題になった。米同時多発テロ追悼式の一方で、中東の米領事館襲撃事件も発生した。

 混迷が続く中、ファッションの意義を問い直すかのような作品が多かった。ニューヨークの雄マーク・ジェイコブスは、最近の作り込んだロマンチックな作風から一転、黒白ストライプなどを効果的に使った、きっぱりと簡素な60年代スタイルを並べた。

 冒頭の単純な縞(しま)柄のTシャツから、太いストライプのAラインコートや幾何柄を組みあわせたイブニングドレスも。発想源は、60年代に画家アンディ・ウォーホルの創作意欲をかき立てた女性、イーディ。明るく決然としたスタイルと共に、気負わずに楽しく着られる服を改めて提案しようということのようだ。

 マイケル・コースは、赤や緑など鮮やかな配色でグラフィック効果を狙ったこれも60年代スタイル。故ケネディ元大統領夫人の姿を彷彿(ほうふつ)とさせる。自ら撮ったという西海岸の晴れた空の写真プリントのスーツがまぶしい。コースは「テーマは楽観主義。先が見えない世界でも、服で前向きな態度は示せる」と話した。

 J・クルーも60〜70年代の写真誌「ライフ」から着想を得た、熱帯植物柄などの華やかな日常着をそろえた。「多くの人が厳しい状況にある中、あえて楽観性を強調した」とデザイナー。

 3年前にミシェル・オバマ大統領夫人がそのドレスを着たことで一躍有名になった台湾出身のジェイソン・ウーも、未来より60〜70年代の写真に思いを馳せた。ヘルムート・ニュートンらの写真に見るシャープさとフェミニンさを融合。ウーは「洗練の中に挑戦的要素を入れた」と語った。同じく中国系の若手アレキサンダー・ワンも、60年代風の革を幾何学的に構成したコートなどを発表した。

 パリやミラノと違い、20、30歳代の若手が脚光を浴び、服作りの腕も着実に上がっている。革を縦横無尽にコラージュしたプロエンザ・スクーラーや、オートクチュールのように凝った手仕事を見せたアルチュザラが光った。

 注目の新進、クリーチャーズオブザウインドは穏やかなカジュアルスタイルが中心。東日本大震災で被災した岩手県の三陽商会の工場で製作したジャケットなども見せた。

 日本勢では、山本耀司とアディダスによるY―3がブランド設立10周年記念のショーを開き、サッカー選手のベッカムらを客席に迎え話題に。

 高級衣料不振でも、ニューヨークの参加ブランドは約300と先進国のコレクション中最多。タクシー内のテレビ放映を始め、街をあげてコレクションを盛り上げた。6日に開催されたショッピングイベント「ファッションズ・ナイト・アウト」も大盛況。商況優先の経済社会を背景に次々と新しいブランドや潮流を生み出している。いくつかの若手のショーが行われた会場脇の「グラウンド・ゼロ」には見上げるほどの新ビルが建設中。少なくともそうしたエネルギーだけはまだこの地にはあるようだ。(編集委員・高橋牧子)

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