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トレンドより伝統 13年春夏ミラノ・コレクション

2012年10月9日10時34分

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写真:プラダ拡大プラダ

写真:グッチ拡大グッチ

写真:ドルチェ&ガッバーナ拡大ドルチェ&ガッバーナ

写真:ボッテガ・ヴェネタ拡大ボッテガ・ヴェネタ

写真:マルニ拡大マルニ

写真:フェンディ拡大フェンディ

写真:ジョルジオ・アルマーニ拡大ジョルジオ・アルマーニ

 トレンドや創造性より、過去へのまなざし。9月19日から7日間開かれた2013年春夏ミラノ・コレクションでは、経済失速への不安が高まる中、多くのブランドが、それぞれの伝統を生かした上質で手堅い作品を発表した。幾何学的なシルエットや、きものなど民族服からの要素を巧みに取り入れ新味を感じさせる服もあったが、全体としては守りの姿勢が目立った。

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 イタリアはいま、高い失業率や物価高など厳しい状況が続いている。首相交代に加えて、15年のミラノ万博も控え経済に好転の兆しは見えるものの、ショー会場前で工場閉鎖や人員削減に反対する従業員がデモを行うブランドもみられた。

■きものに着想

 コレクション全体に低調ムードが漂う中、今やミラノで唯一の前衛派と呼ばれるプラダが、ひとり気を吐いた。発想源は日本のきもの。花の紋がついたジャケットやドレスは、紅白、サクラやウグイス色に染められ、抜き襟やおはしょり風のたるみも。足元は足袋や花魁(おいらん)の高げたのような厚底サンダル。音楽も日本人女性が歌うシャンソンだ。

 徹底して和の要素に絞り込んだせいか、詩的で愛らしいデザインの中にどこか攻撃的な毒も漂う。デザイナーのミウッチャ・プラダは、現代女性の様々な感情や夢をリアルに表現した、という。ぼやけた赤花のきものドレスは、はかなく消えるものに執着する情念が漂ってくるようで、見ていてひりひりした。

 ところが、尖閣諸島を巡る反日感情を刺激するとして、中国のいくつかのネットメディアなどが、このショーの発信を見送った。それがミラノでも話題となったが、何人かの中国人ジャーナリストは「馬鹿げた対応。ファッション界ではあってはならないこと」と冷静に話していた。

 和といえば、グッチも日本のふすま絵に想を得た大輪の菊のプリントや、和紙を使ったヘビ柄スーツなどを発表した。とはいえ、リチャード・アベドンの写真に漂う「貴族性」を目指したという服は、フリルが波打ち、時に大胆な背中のスリット。禁欲的だが、同時に挑発的にも思える。デザイナーは「ぱきっとした明白な服を作りたかった」。

■ブランド深化

 ブランドの伝統やスタイルへのまなざしをより深めたのは、ドルチェ&ガッバーナ。デザイナーの故郷シチリア特産の皿の絵柄やレモンなど陽気な大柄プリントを、洗練された仕立てで昇華してみせた。

 ボッテガ・ヴェネタは、たおやかな花柄ドレスに、極細のヘビ革を装飾して緊張感をプラス。デザイナーは「精神的な強さと愛らしさを同居させることが、新しい女らしさの表現だと思う」と語った。

 マルニはいつもの配色の妙はそのままに、不思議な浮遊感のある形のコートなどを並べた。「テーマはクリーン&フレッシュ&軽さ。ごちゃごちゃした社会の雰囲気を掃除したい気分で」とデザイナー。ヴェルサーチは得意のドレスで布使いの巧みさを発揮。フェンディは、センスの良い配色切り替え。ジョルジオ・アルマーニはあらゆる輝く素材を駆使した星空を思わせる服で、「希望」のメッセージを強調した。

 創始者サンダーがデザイナーに2度目の復帰をして注目されたジル・サンダーは、トレンドの丸いフォルムのミニマルスタイル。その透明感はさすがだが、新味や彼女らしさはいまひとつ感じられなかった。(編集委員・高橋牧子)

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