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混迷社会にゆらり漂う 13年春夏パリ・コレクション

2012年10月22日11時1分

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写真:クリスチャン・ディオール拡大クリスチャン・ディオール

写真:サンローラン拡大サンローラン

写真:ルイ・ヴィトン拡大ルイ・ヴィトン

写真:シャネル拡大シャネル

写真:セリーヌ拡大セリーヌ

写真:ドリス・ヴァン・ノッテン拡大ドリス・ヴァン・ノッテン

写真:コムデギャルソン拡大コムデギャルソン

 9月末から10月初旬に開かれた13年春夏パリ・コレクションは、服自体の作り方や組み合わせで新鮮な創造性を打ち出すブランドもあったが、全体としてはまとまりに欠けた。経済危機などで混迷が続く社会のムードを反映してか、くすんだ青や浮遊感のあるシルエットが目立った。

2013年春夏パリ・コレクション 写真特集はこちら

 最も話題となったのは、人気デザイナーに交代したフランスの二大老舗ブランドの「対決」だった。

 ベルギー出身のラフ・シモンズが手がけるクリスチャン・ディオールは「解放」がテーマ。ブランドの創始者が第2次大戦後に優雅なニュールックで女性たちを解放したことにならい、その代表的スタイルを現代的でシャープなデザインに昇華した。

 肩の張ったバージャケットの下には細身のパンツ、ドレープドレスには短い丈のパンツを合わせ、Aラインのスカートはよりふんわりとふくらむ。随所に思いがけない刺繍(ししゅう)や心憎いプリーツ。オートクチュールの工房を持つブランドならではの技術とバリエーションをそろえた。ショー後に「満足している」とシモンズ。

 一方、「男性服のカリスマ」エディ・スリマンによる新生サンローランはブランド名から創始者イヴの名を削り、新たなスタートへの意気込みを見せた。もっとも作品は、創始者が60〜70年代に発表した代表的スタイルがずらり。つば広のフェルト帽にサファリスーツ、パンタロンスーツや、ミリタリールック。ただシルエットは超極細で、生地は軽く柔らかく、うっとりするほどファッショナブルだ。

 この対決、会場の判定ではディオールに軍配を上げる声がやや多いようだった。ビジネス的にはディオール、スタイルの鮮度ではサンローランといったところか。

 前シーズンから続く大掛かりなショー演出は、ますます手が込んできた。シャネルは会場のグラン・パレに高さ約20メートルもの風車13基を回した。床には太陽光発電用のパネルを模したステージ。自然エネルギーに関するメッセージというよりも、ファッションに新しいエネルギーを生みたいとのことだろうか。風車の柄や、ボレロで新たなバランスを取ったシャネルスーツを並べた。

 ルイ・ヴィトンはエスカレーター4基を特設。ブランドの伝統柄の一つで、パレ・ロワイヤルにある円柱のオブジェをヒントにしたという格子柄の服のモデルが、一気に降りてきた。すっきりとした直線的な60年代スタイル。「胸が詰まるようなロマンチックな感じはもう終わり。冷たく、無感情だが、パワフルでしかも心地よい感じに引かれて」とデザイナー。

 ここ数年、流行発信源として注目のセリーヌは、従来のミニマルなスタイルにドレープで女性らしさを加味し新たな表情を作った。派手さはないが、ドリス・ヴァン・ノッテンの着古し風チェックや花柄の絶妙な組み合わせも心に残る。

 日本勢も負けてはいない。コムデギャルソンは、服の上に違う服を何枚も押しつぶして重ねた、現代アートを思わせるような作品で新境地を開いた。頭にもぺしゃんこのブリキの帽子。それでもフェミニンでかわいらしい。デザイナーの川久保玲は「違うものをぶつけて、つぶすことでまた新しいエネルギーが生まれるのでは」。

 ジュンヤ・ワタナベは、スポーツ用の機能素材で街着からカクテルドレスまでをそろえた。五輪の日本選手団の制服がこんなにおしゃれなら、どれほど「ファッション大国日本」を誇れることだろうか。

 ヨウジヤマモトは、集大成かと思うほど代表的なスタイルが圧巻。イッセイミヤケは鳥の羽を発想源に、立体的で不思議な感覚で揺れるプリーツドレスが新鮮だった。デザイナーの宮前義之は「着ると気分が変わり、新しい地平が望めるような服を目指した」と語った。(編集委員・高橋牧子)

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写真はすべて大原広和氏撮影

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