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モノトーン・ファッション 今昔の感あり

2010年11月12日

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写真:「ナチュラルシック系」 イタリア版「velvet」誌10月号から。僕がメークしました拡大「ナチュラルシック系」 イタリア版「velvet」誌10月号から。僕がメークしました

写真:「ソフトフェミニン系」 ニナ・リッチ (2010年秋冬コレクションから=大原広和氏撮影)拡大「ソフトフェミニン系」 ニナ・リッチ (2010年秋冬コレクションから=大原広和氏撮影)

写真:「ガーリーキュート系」 ジバンシイ (同)拡大「ガーリーキュート系」 ジバンシイ (同)

写真:「セクシーソフィストケイト系」 イブ・サンローラン (同)拡大「セクシーソフィストケイト系」 イブ・サンローラン (同)

写真:「ストロングクール系」 ミュウミュウ (同)拡大「ストロングクール系」 ミュウミュウ (同)

写真:「ストロングクール系」 スペイン版「Harper’s Bazzar」誌 12月号から。僕がメークしました。拡大「ストロングクール系」 スペイン版「Harper’s Bazzar」誌 12月号から。僕がメークしました。

 ファッション業界ではコレクションシーズンも終わり、そろそろ雑誌や広告の撮影が忙しくなり始める頃です。僕もニューヨークに戻って来ました。マンハッタンはもう肌寒く、秋冬ファッション真っ盛りです。

プロローグはこちら 「ファッションって拷問!?」 

 目に入って来るのは黒やモノトーンが中心ですが、去年とは違って今年はポイントで色のアイテムを組み合わせている女性が目につき、それまで黒々としていたのがより華やかな感じになっていると思いました。ここ何年かモノトーンファッションはずっと流行り続けていますが、その着こなしはフェミニンでセクシーなものや、クールでカッコいいものなど様々なバラエティが出てきています。

同じ黒でも、80年代にコムデギャルソンなどで爆発的に流行したモード系、つまりストイックでグラフィックな感じとは対極です。ヘアースタイルも、今再び前髪のあるボブスタイルが出て来ていますが、昔のようにシャープなグラフィックではなく、ソフトにカットラインをアレンジしている「フェミニンなボブ」という感じで、その印象はかなり違います。

 そんなモノトーンファッションに合わせるメイクも、昔とはずいぶん違ってきました。80年代、黒をまとったお洒落なモード系の女性達のメイクは、艶(つや)を完全に抑えた素肌にグラフィックに仕上げたマットな赤いリップ、または黒い眉とヌードのリップなど、ミニマムでコンセプチュアルでした。本来メイクというものは、それぞれの女性のデリケートな美しさを表現するものと私は思っているのですが、あの頃のメイクはモードを表現するうえでのコーディネーションの一部としてストイックに表現されて、“私、綺麗。”より“私、お洒落。”を大切にしていたように思います。

 現在進行形のモノトーンファッションでは、これらのメイクは完全にアウトです。クールな‘黒’や‘モノトーン’とを使い、女性がセクシーに、フェミニンに、またはかっこ良くなるのが今風のポイント。なのでメイクは服の雰囲気によってナチュラルからゴージャスまで、幅広いイメージの中から合わせていくのがいいでしょう。

黒をメイクに取入れるにしても、モノトーンメイクになり過ぎないように今年風のカラフルなアクセサリーやバッグなどの色をさりげなくメイクに入れていくのがおススメです。タイプ別に考えてみましょう。

■Type 1  「ナチュラルシック系」

 80年代は艶を消したノーメイク風、ファンデーションだけで仕上げたペールスキンでしたが、いまはツヤ肌と自然なスモーキーアイでその人を生き生きと美しくメイクアップ。リップは透明ピンクなどでさりげなく、チークは自然にうっすらと、ノーメイク風に見えるのに美しく仕上がっているナチュラルメイクがいいですね。

■Type2 「ソフトフェミニン系」

 80年代、黒のモードは強烈なインパクトがあったので、女性がフェミニンにそれを着こなす事はありませんでしたが、今は違います。ふわっと頬紅を強調して下さい。さらに優しい色のアイシャドー,リップカラーを入れ、可愛く女性的にメイクを仕上げましょう。女性としてさりげなく黒を着こなすアティチュードが今風です。

■Type3 「ガーリーキュート系」

 昔のグラフィックなリップというよりは女の子っぽさを強調する為のリップカラーです。赤にこだわり過ぎず、ピンク、ローズ、オレンジなど、服、または小物の色物に合わせていくとより多くの方が楽しめると思います。さらにほんのりアイカラーを入れたりチークが入っても可愛いです。

■Type4 「セクシーソフィストケイト系」

 黒い服を意識せず、メイクで自分を華やかに飾り上げていきます。黒以外に組み合わせている色のニュアンスをメイクに取入れていくのがおすすめです。華やかなメイクは黒い服との組み合わせで、とても洗練されてみえますので、安心してメイクを楽しんで下さい。

■Type5 「ストロングクール系」

 目、またはリップ、メイクの中で1つ強いポイントを作りましょう。服のポイントは黒ですが、メイクは黒に限らず楽しんで下さい。今年の黒と組み合わせる色はピンク、紫、グリーン、ブルーなど多様です。

 どんなメイクをするにしても黒のコンセプトにはまり過ぎず、自分の美しさを自然なツヤ肌とほんのりとした頬紅でさりげなく主張するのがモダンです。

 最近の個々の女性の美しさを尊重するトレンドが作り出した“進化したモノトーンファッション”とオリジナルの“黒の衝撃”と言われた80年代。その両方をリアルで体験している僕のキャリアの長さに、自分でもビックリですが、それに近い大人の女性達がこれを参考にしてモダンに今の黒を楽しんでもらえたらとても嬉しいです。

 この季節、僕もやっと春夏の服にさよならして黒の秋冬に突入したところですが、仕事では、いよいよ次の春夏の撮影の始まりです。鮮やかな色が加わって来たこの秋の傾向が、春夏では更に元気よく花開く様子です。ファッショントレンドは 60、70、80年代、エキゾチックにフォークロア、ポップな感じと更に幅が広がっていきそうです。次回はこれから始まる春夏ファッション撮影のレポートをお伝えしていきたいと思います。

 See you soon!!

◇このコラムは季節ごとにお届けします。

プロフィール

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吉川康雄(よしかわ・やすお)

メークアップアーティスト

1959年、新潟県生まれ。1983年から活動を開始し、ファッション誌や広告制作で活躍後、1995年に渡米。各国のVOGUEなどの表紙をはじめ、著名ブランドの広告、コレクション、セレブリティのポートレイト用メークなど、幅広く活躍中。ヒラリー・クリントン国務長官や、カトリーヌ・ドヌーブらセレブリティも多く手がけている。
2008年3月からはカネボウのプレステージブランド「CHICCA」のブランドクリエイターを務め、毎シーズン、日本の大人の女性に向けたメークを提案している。
世界を飛び回る毎日だが、休日はNYの自宅で妻と娘と過ごす。

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