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「世界のウチ」

ゆがみも傾斜も笑顔で解決

2011年2月23日

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写真:近代的な道具は使わず、己の経験とカンだけを頼りに仕事をする大工たち拡大近代的な道具は使わず、己の経験とカンだけを頼りに仕事をする大工たち

写真:上に乗せるカウンタートップが水平になるよう、ベニヤ板で調節拡大上に乗せるカウンタートップが水平になるよう、ベニヤ板で調節

写真:角に本を当ててみると、壁が垂直でないことがよくわかる拡大角に本を当ててみると、壁が垂直でないことがよくわかる

 大工や左官工に関するトホホな話には事欠かないペルー。時間通りに来ない、都合が悪いと電話に出ない、材料を買いに行くと必ず何かを忘れる、右に回すものを左に回して壊してしまうなど枚挙に暇がない。

 しかし、我が家をリフォームした時にトホホだったのは、職人だけではなかった。

 新しいキッチン家具を取り付けるため、大工を呼んだ。自分の身長に合うように流し台の高さを決め、棚の位置や幅などあれこれと希望を伝える。職人との細かいやりとりは面倒だが、自分の好みに合わせて自在に注文できるのがいい。

 数日後、仕上がったキッチン家具が運ばれてきた。家具の大部分は事前に組み立てられており、扉や取っ手など細かい部分のみ現場で作業する手筈となっていた。まずは吊り戸棚の設置からだ。キッチンの隅に合わせて90度に組んだ重い吊戸棚を、3人の大工が掛け声と共に持ち上げる。そのままパズルのように壁にはめ込み、ネジで留めれば出来上がりのはずだった。

 しかし、どうやってもぴったり納まらない。採寸を間違えたのかと測りなおしてみたが、問題はないようだ。作業工程上、どうしてもこの吊り戸棚を最初に設置する必要がある。大工たちは汗だくになりながら何度も戸棚を押し込もうとしていたが、結局吊り戸棚の背板を削ることになってしまった。

 実はこのキッチン、部屋の隅が直角になっていなかったのだ。見た目にはなんともないので、家具をはめ込むまでまったく気づかなかったのである。また、キッチンの床もわずかに傾いているという。このまま流し台を設置すると、その上に置くカウンタートップも当然斜めになってしまう。カウンタートップは御影石の一枚板なので、これを削って微妙に高さを調節するのは至難の技だ。試行錯誤したあげく、ベニヤ板を挟んで傾きを調整することになった。

 しかし、吊り戸棚を何度も無理やり押し込もうとしたため、壁は傷だらけ。私の身長にあわせたはずの流し台は、予定よりほんのわずかだが高くなってしまった。でもそれは、もともとこのアパートの造りがトホホだったことが原因なのだ。

 そんな状況の中、現場で臨機応変に対処してくれた彼らに文句を言うのは筋違いだと、私は半ば諦めの気持ちで自分自身に言い聞かせようとした。

 私を励まそうとしてくれたのだろう、気のいい大工は「こんなゆがみは、ペルーではよくあることですよ」と笑いながら言うではないか。

 ちょっと待て、そんなによくあることなら、壁に傷をつける前に対応できないのか?そもそも部屋の角度や水平は先に測っておくべきものではないのか。

 その場その場の対応で無理やりつじつまを合わせていくペルーの職人たちに、私は深い溜息をついてしまうのだった。

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