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2012年6月27日
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「世界のウチ」

ない袖は振れない

〈世界の節電〉 ペルー・原田慶子

写真:リマ市内の某ホームセンターにて。日本と比べると小型の照明器具が多い拡大リマ市内の某ホームセンターにて。日本と比べると小型の照明器具が多い

写真:以前はもう少し大きな照明器具を取りつけていたようだが、現在は電球一つという大変シンプルな知人の部屋拡大以前はもう少し大きな照明器具を取りつけていたようだが、現在は電球一つという大変シンプルな知人の部屋

写真:冷え対策は足元から。土足文化のペルーだが、室内用のスリッパや分厚い靴下など「履いて」暖を取るグッズもいろいろ拡大冷え対策は足元から。土足文化のペルーだが、室内用のスリッパや分厚い靴下など「履いて」暖を取るグッズもいろいろ

 ペルーの電気代は物価に対して割高だ。リマ市の2012年4月の電気代は、円換算で1kWh当たり約10円50銭。わずかずつではあるが、ほぼ毎月値上がりし続けている。

 日本の電気代は22円86銭(120〜300 kWh/東京電力・同月)なので、数字だけみるとペルーは日本の首都圏の半値以下。しかし両国の物価や平均収入を考えると、ペルーのほうが断然高い。よく「海外のホテルやレストランは照明が暗い」と言われるが、ペルーの場合は光彩の色がどうとか間接照明でおしゃれにとかいう以前に、電気代の高さが関係しているのではないだろうか。事実ペルー人のお宅に行くと、部屋は広いのに電球は一つだけという場合も少なくない。加えて可能な限り暗い電球を使おうとする。私には暗すぎて読書など到底できない。

 南半球のペルーはこれから冬を迎える。太平洋岸に位置するリマは冬になると海霧にすっぽり覆われるため、曇天が続きじめじめして底冷えする日が多くなる。しかし寒いからといって毎日ストーブをつけようものなら月の電気代が一気に跳ね上がってしまうため、恐ろしくて暖房器具もおいそれとは使えないのだ。

 そこでペルー人は「服を着込んで暖をとる」という手段に出る。家の中でもフリースやセーターの上にダウンジャケットをしっかりと着込み、電気代のかかるストーブは極力使わない。

 日本はどこにいっても暖房がしっかり効いているため、あまり重ね着すると暑くてのぼせてしまうこともあるだろう。その昔私が日本で仕事をしていたころは、冬電車に乗ると暖房が効き過ぎていて気分が悪くなったりしたものだ。電車だけでなく、レストランやショッピングセンターもしかり。コートを片手に半袖のニットで歩く女性の姿もよく見かけた。

 一方、ペルーの冬はどこもかしこも風通しがよい。レストランやカフェのドアは開けっぱなしだし、シャッターで開閉するような食堂や小さな店の入り口は、そもそもドアそのものが存在しない。そのため、店に入るたびに上着を脱ぎ着する必要もなく、ダウンジャケットを着たまま食事をするのも特に珍しいことではないのだ。

 ペルーの場合「電気代が高いから」という理由でストーブやファンヒーターを使わないだけなので、節電の目的や意識が日本とは大きく異なる。「暖房は富の象徴」といえば大げさだが、貧富の差があるのは事実。要は、ない袖は振れないという庶民が多いのだ。そう考えると、ケチケチ精神は、ある意味一番節電に役立つのかもしれない。

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