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AAN発
アジアに開く日本
日本の課題

アジアの元気生かせ

村田泰夫
編集委員(AAN研究員)

東アジアで深まる相互依存

20××年、タイの工場で組み立てられる乗用車。開発は日本のメーカーが主導した。だがフィリピンからメーター、韓国から電子制御装置、マレーシアからエアコン、インドネシアからエンジン、中国から配線類、日本から鋼板が持ち寄られた。ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日中韓)の国々でFTAが結ばれ、関税ゼロの単一市場が生まれると現実になる「メード・イン・東アジア」の車である。

単一市場を行き交う人や文化の交流を促進する連携協定も結ばれれば、たとえば各国間を移動するビジネスマンは数次ビザを持つことが当たり前となり、取引にはアキュ(ACU)と呼ばれる「アジア共通通貨」が使われるだろう。

経済的な国境を次第にぼんやりとしたものに変えていくFTAは、いまや世界中で190近く結ばれている。冷戦構造の崩壊直後の90年代初めから、欧州では欧州連合(EU)の統合拡大、米国はカナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)の実現に動き始めた。だが、アジアは「FTA空白地帯」と形容されるほど立ち遅れている。

ASEANの先行6カ国(タイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ブルネイ)が今年から域内関税を原則5%以下にし、ASEAN自由貿易地域(AFTA)を形成したことが目立つぐらい。

アジアのみ取り残されることになった最大の要因は、地域では断トツの経済力を持つ日本が、アジアでの通商戦略を描けなかったことにある。「失われた10年」といわれた90年代、日本の産業競争力の低下が問題になったが、通商面では「地域の経済統合」という世界の大潮流から日本とアジアが取り残されていった時期でもあった。

けれど経済の現場は、通商政策の不在にお構いなしに東アジアでの経済の相互依存をどんどん加速させていった。東アジアの域内貿易(各国の輸出合計)は91年までの10年間で3.2倍に拡大。次の10年間にはさらに2.1倍に膨らんだ(03年版通商白書)。この結果、日本の貿易の比重はこの10年の間に、それまでの米国中心から東アジアに移り、日本と東アジアとの経済的な引力は強まる一方となっている(図参照)。

相互依存の深化は事実上の経済統合への地ならしと言えるだろう。そうした実態を制度面で後押しするFTA締結への期待の強さは、日中韓3カ国を見ても産業界に共通している。10月7日、インドネシアのバリ島で開かれた日中韓首脳会談に報告された共同研究によると「日中韓FTA」に賛成する企業は、中国で85%、日本で79%、韓国で71%にのぼる。

これまでのところ、アジアでのFTA締結に向けた動きが最も活発なのは中国である。日本は02年11月、ASEANに「包括的経済連携協定」を提唱、今年10月、やっと枠組み協定の調印にこぎつけた。中国より1年遅れた。

世界の成長センターである東アジアで、関税のない単一経済圏ができれば、日本企業は生産拠点の最適な再配置を通じてコストダウンと収益の増大を実現できる。アジアの「元気」をもらって日本経済は活性化できる。

それだけではなく、FTAを通じて、まずはモノ、そしてカネ、さらにはヒトの分野にまで日本のアジアへの門戸開放が進んでいくことは、アジアの経済発展を促して人々の生活レベルを底上げすることにつながる。それはアジアの政治的な安定をもたらし、域内市場をさらに拡大することに寄与する。

「開く」ことで自分たちとアジアの繁栄を実現する。FTAという枠組みは、その可能性を明示している。

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