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日中「誤解の溝」埋めよう
天児 慧 (あまこ・さとし)
 早稲田大学教授

専門は現代中国論、アジア政治史。元アジア政経学会理事長。朝日新聞アジアネットワーク委員。56歳。

この夏、サッカーのアジアカップが中国で開催され、各会場で激しい反日行動があった。長く北京に住み、日本対中国の決勝を見に競技場まで足を運んだ私の友人が長文の観戦記を送ってきた。日本人として想像以上に厳しい、つらい状況であったことが書かれていた。

しかし、だからといって「売られたケンカは買う」「向こうが反日ならこちらは反中」式の主張や行動で、問題が解決するとは思えない。日本人のみならず中国人も、今回の「反日狂騒曲」から何を学ぶべきなのか。まず踏まえておかねばならない「事実」を確認しておこう。

一つには、中国社会は改革開放を通して意識が多様化し、反日民族主義の潮流もあればリベラルな国際協調主義の潮流もあり、また無関心派も多いという点だ。私は7月下旬と8月中旬に訪中したが、接触した中国人が特に反日的になっていたわけではない。むしろ「静かなる日本ブーム」とさえ言われる。

二つには、経済関係の緊密化である。8月のジェトロ(日本貿易振興機構)による今年の日中貿易額見通しでは、過去最高だった昨年の1300億砲鯊臧に突破し、1500億砲鯆兇┐襦F本の対外直接投資は全般に減少傾向だが、01年の中国のWTO(世界貿易機関)加盟後、対中直接投資は増加傾向にある。製造業を中心とする中国への生産拠点の移転は90年代以降大幅に進み、北米の拠点総数を超えるまでになった。

三つには、人々の交流の深化である。中国からの正規入国者は00年の38万人強から02年の53万人弱へと大幅に増え、その半数以上が新規入国者だ。在日留学生は03年に10万人を突破したが、うち約65%が中国人だった。他方、日本から中国への渡航者はすでに年間300万人を超えている。日中の共同事業や国際結婚なども広がっており、双方の交流はもはや押しとどめることが出来ない状況にある。

それだけに、感情的な対立はお互いの努力によって何としても改善していかねばならない。

では、どうすればいいのだろうか。

日中の間を行き来してきた者として痛感するのは、両国間に横たわる「巨大な誤解の溝」である。一面的に「中国は反日」「中国人はみな狭隘(きょうあい)な民族主義者」「中国は覇権大国」などと思うことは重大な誤解である。

一方、日本人として次のメッセージを中国側には伝えたい。

第一に、国交正常化以降、日本は「中国政府の賠償放棄」で戦後処理が済んだと思ったのではなく、さまざまな形で中国の発展と安定に協力してきた。改革開放の歴史の象徴とされる80年代初期の上海宝山製鉄所建設における日本政財界指導者らの献身的な努力、政府の途上国援助(ODA)や無償資金協力などによる空港・高速道路などのインフラ整備、環境、医療、教育、人材育成など数々の支援。これらは中国に対する日本の真摯(しんし)な思いの表れでもある。

第二に、戦後の日本は「戦争」を反省し、「平和主義」「貧しい国への経済支援」などにまじめに取り組んできた。国際貢献は、けっして「覇権的野心の表れ」ではない。

第三に、中国が愛国主義教育をすることは理解できるが、その題材の多くを「抗日戦争」からとり、結果的に若者を「反日」に走らせることは日中の将来にとって望ましいものではなく、早急に題材を変える時期にきているのではないか。

第四に、日本の歴史教科書に関しては必ずしも中国の望むような記述をしているとは言えないが、一貫して「戦争への反省」は盛り込まれており、問題の「新しい歴史教科書」を含めても、きちっと読めば「反中国教育」はしていない。

今日、熱心に議論されている「東アジア共同体」構想は、日中の信頼構築なしには実現不可能である。「誤解」をどう解くか。こんどは中国の人から、日本人への建設的なメッセージをいただけることを希望する。

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