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AAN発
走り出す巨象4


エネルギー確保に不安
共同開発や投資に奔走



ロシア・サハリン島北東部の石油採掘基地に、世界最大という高さ70メートルの掘削施設がそびえ立つ。

推定埋蔵量で原油23億バレル、ガス4800億立方メートルという膨大な資源を開発する「サハリン1」事業の構想から30年。ようやく始まる生産を祝う式典が10月1日、現地で開かれた。会場には、インドのアイヤール石油・天然ガス相の姿があった。

日米ロの企業が進めてきたサハリン1事業に、インド国営石油会社ONGCの子会社が権益の20%を取得して参入したのは01年。石油相は「インド最大の投資案件であるこのプロジェクトを第1段階としてぜひ成功させたい」と語った。


スワップ視野

石油相は9月末、サハリンに行く前に日本を訪れ、中川経産相(当時)と会談。共同声明では、インドのサハリン原油と、日本が中東から輸入している原油をスワップ(交換)取引することについて「可能性の検討」がうたわれた。

インドはサハリンの他の鉱区や、シベリアの採掘権にも狙いをつけている。直接インドに供給するというより、スワップの持ち玉を増やし、日本など石油消費国と協力を広げる構えとみられる。

高度成長が続くインドでは、石油消費も前年比3%台の伸びが続く。自動車の急増で燃料需要が膨らみ、電力消費も産業と家庭の両方で増える。

国際エネルギー機関(IEA)の予測では、インドの石油需要は今後も年2・8%程度増え続け、25年後には04年の2倍に膨らんで、日本とほぼ同じ日量520万バレルにのぼる見通し。現在75%を超える輸入比率がさらに高まるのは確実だ。

このためインドは、ここ数年、中国の後を追うように、海外各地で石油や天然ガスの採掘権の取得に乗り出している。

これまでに、スーダンで石油、ベトナムで天然ガスの生産を始めた。ミャンマー(ビルマ)やイラク、イランなど9カ国で試掘中。ミャンマーのガスはバングラデシュ経由で、イランのガスはパキスタン経由で、パイプライン輸送する計画も協議中だ。

実現すれば、エネルギー問題でインドが「扇の要」になり、アジア東西にわたる地域統合を促す要素にもなりそうだ。

だが、障害もある。インドとバングラデシュは、ガンジス川の水利用などをめぐり複雑な政治関係にある。ミャンマーからのガス輸送では、バングラデシュに年1億ドル(約120億円)の通過料を払う意向だが、交渉は難航している。インド政府計画委員会のアルワリア副委員長は「バングラデシュでのパイプライン建設に日本企業が入れば打開しやすくなるかもしれない」と語る。

日本への期待は大きい。安倍官房長官が自民党幹事長代理だった3月にインドでシン首相と会談した際には、インド領アンダマン諸島の石油・ガス共同開発が話題に上った。

インフラ不備も足かせ

枠組みを模索

インドはエネルギー問題で、東アジアとの協力を模索している。

ニューデリーで25日、日本、中国、韓国、インドのアジアの主要石油消費国と、ロシアや中央アジアの産油国との円卓会議が開かれた。アイヤール氏は「われわれの目的は相互依存体制の構築だ」と呼びかけた。インドは今年1月にも、中東産油国との円卓会議を主催している。

アイヤール氏は日本政府に「2国間協力だけではなく、もっと積極的に連携し、アジアの消費国の枠組みを作れないか」と持ちかけてきている。

もう一つ、インドの経済成長の足かせとなっているのは、道路、空港、港湾などのインフラ(社会基盤)の整備が遅れていることだ。外国企業の投資を呼び込むうえで障害になるだけでなく、国内企業からも「インフラを整備しないと力のある製造業が育たない」(IT大手インフォシス・テクノロジーズのムルティ会長)との声が強い。



「空港拡充を」

「インドが中国と競争したいなら、国際水準から立ち遅れた空港設備の改善は急務だ」。10月中旬、ニューデリーであった航空セミナーで、国際航空運送協会(IATA)のビジニャーニ事務局長は厳しく指摘した。

規制緩和で航空会社の新規参入が増えて利用客が急増中。エアバス社の予測では「今後20年で旅客機が600台必要」とされるのに、空港は駐機場不足が心配されている。「IT立国」を掲げながら、国内に半導体工場が少ないのは、空輸が不便なためといわれる。

インド政府は今後7年でインフラ建設に1千億ドル(約12兆円)が必要という。世界銀行は地方開発と貧困削減につながるインフラ建設を中心に、今後3年間で計90億ドルを支援する構えだが、それでも財源不足は深刻だ。

政府が期待するのは外国からのインフラ投資。すでに空港建設にはスイスやマレーシアの空港公団が、電力整備には香港企業などが参入する動きもある。

中国がトップダウン型の発展政策で突き進むのに対し、インドは官民の合意形成を重んじた異なる発展モデルを時間をかけて歩んでいる。中国の手ごわい競争相手に育つためには、越えるべきハードルは少なくない。


省エネ技術、日本に学びたい

インド石油・天然ガス省
スシル・トリパティ次官

インドの経済発展にはエネルギー確保が欠かせない。省エネルギーにも取り組んでいるが、どれだけ効率化しても、需要は増大し続ける。国内の資源調査に加え、海外の油田探査を進めている。

日本から、世界有数の省エネ技術やエネルギー効率を改善するノウハウを学びたい。インドのエネルギー効率はまだ日本の5分の1と低い。

また、アフリカの国々から新たな油田の採掘権を得る上で、経済協力が必要になる。そこで、経済協力にノウハウのある日本と、深海での掘削技術を持つインドの間でいい協力ができるはずだ。

21世紀に成長するのは中国やインドなどアジアであり、石油やガスの生産余力もアジアにある。アジアの消費国と供給国は結束すべきだ。欧州連合(EU)は石炭鉄鋼共同体から発展した。エネルギー協力に当たって、「アジア共同体」の創設を展望すべきだ。(談)

2005年11月26日

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