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世界の窓fromアジアネットワーク

覇権よりソフトパワー競争

孔 魯明
韓国元外相

Gong Ro-Myung  駐ロ、駐日大使、外相を歴任。日韓フォーラム韓国側議長。朝日新聞アジアネットワーク会長。73歳。

「東アジア共同体」の枠組みづくりに向けて、どこで線を引くのか。先ごろクアラルンプールに集った首脳たちは、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(韓日中)の13カ国を「内壕(うちぼり)」に、インド、豪州、ニュージーランドを加えた東アジアサミット参加の16カ国を「外壕(そとぼり)」として、毎年定期的に会合していくことで合意した。

日本と中国の思惑の違いや主導権争いが取りざたされたが、結果的には落ち着くところに落ち着いたと言えるだろう。

また、サミットへの参加を希望するロシア、モンゴル、欧州連合(EU)など域外国に対してもオープンであると決めたのは幸いである。米国が将来参加を望んだ場合に備え、このサミットは開放的、外部志向的、包括的であることが望ましいというのが韓国の立場でもあった。

東アジアサミットを見ていて強く感じたことがもう一つある。半世紀前までは東洋の「停滞社会」の代名詞だった中国とインドが眠りから覚め、21世紀の今日、経済的な「パワーハウス」として浮上したということである。とくにインドは近年、ASEANの「対話相手国」となり、今回の第1回東アジアサミットに参加したことによって一層その存在感を高めた。

米ゴールドマン・サックス社は03年の報告書で、新興経済圏をなすブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を「BRICs」と名づけ、中でもインドは今後30〜50年の間、毎年5〜6%台の経済成長を遂げる潜在力があると指摘した。2035年には国内総生産(GDP)が日本を抜いて中国、米国に次ぐ世界第3位の経済大国になるだろうと予測している。

「ゼロサム社会」の著者として知られる米マサチューセッツ工科大学のレスター・サロー教授は、かつて、1880年から1988年の約100年間で1人当たり国民総生産(GNP)が世界の上位20位に入ったアジアの国は日本だけだったとのデータを示した。それが、いまは経済規模の大きさを基準にすれば、中国(世界7位)、インド(10位)、韓国(11位)と、日本以外のアジアの国々も名を連ねている。時代は大きく動いたということだろう。

その中の二つの国、インドと韓国の緊密な関係について、日本ではまだそれほど知られていない。

南北の対立が激しかった冷戦下、韓国は非同盟諸国のリーダーのインドとの友好増進に努めた。さらに経済面では80年代前半から韓国企業の対インド進出が始まり、自動車、家電製品、通信分野などの投資が行われた。いま、LGやサムスンのブランド品はインド家電市場の約5割、現代自動車は小型自動車市場の約2割を占めるまでになった。IT産業に対する韓国業界の関心も強い。

私は韓国外務部長官(外相)在任中の96年に金泳三大統領のインド訪問を実現させ、両国の経済関係を活性化させる仕事に携わった。

韓国のテレビと新聞は、このほど香港で開かれた世界貿易機関(WTO)閣僚会議のグローバリゼーション政策に反対する韓国農民団体の抗議デモの光景を報じていた。しかし、今日のアジアの国々の台頭が、戦後の世界貿易の自由化を促進してきたガット(関税貿易一般協定)・WTO体制の贈り物であることを忘れてはいけない。

アジアの国々が目指す東アジア共同体は、10年ないし20年後、政治・安全保障の分野はともかく、経済、社会、文化などの面では、いまよりずっと密度の高い相互依存関係を生み出していることと思う。

そして共同体形成をめぐる主導権争いは、覇権的なものよりはソフトパワーの争いになるのではないか。その意味では、日本が11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)に続き、ASEANプラス3首脳会議でも、鳥インフルエンザ対策の追加支援策を提案したのは非常に有益だったと特記したい。

2005年12月21日


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