Top
朝日新聞社 www.asahi.com ENGLISH
asahi.com
home  > 国際  > AAN  > 

The Asahi Shimbun Asia Network
 ホーム | 今週のコラム | AAN発 | 年間リポート | アジア人記者の目 | リンク | English
アジア人記者の目
AANで研修をしているアジア人記者が本国に送った記事などです
日本の安定が世界の繁栄を生む
コルネリウス・プルバ
AAN客員研究員(インドネシア)

 朝日新聞の客員研究員として半年間、日本に滞在した。日本語も十分に出来ず、情報源も限られているが、日本の現状について考えてみたい。

 今の日本は病み、苦悩している。経済超大国で、世界のけん引車だった日本はひん死の巨人のようだ。健康とパワー、威厳を回復させるためには大手術など長期的な荒療治が必要なのではないか。巨人・日本の再生は日本国民ばかりでなく、世界各国にとって必要で、数十億の人々の運命にかかわるのだ。

 この半年間、日本は暗く、悲惨な出来事、ニュースにほんろうされた。経済的には今年1月の貿易収支が四年ぶりに赤字に転落した。大企業の倒産は日常茶飯事で、失業率も相変わらず高い。私は、失業した後、どうすればいいのか分からない何人もの中年の日本人に出会った。

 政治では森喜朗首相の下で混とんたる状況が続いている。私の友人は、漁業実習船と米原潜の衝突事故の対応におくれを取った森首相と、インドネシアのワヒド大統領がカリマンタンでの民族紛争に対して取った対応を比較する。確かに森首相は事故の報告を受けた後もゴルフを楽しんだ。ワヒド大統領は大勢の死者が出たのに2週間にわたる中東訪問を続けた。原潜との事故ではブッシュ米大統領の対応のほうがましだった。

 自民党の実力者や、中央省庁職員の不祥事は祖国インドネシアでまん延する汚職を想起させる。日本政府はペルー国内で汚職が追及されているフジモリ元大統領の滞在を認めさえしている。日本人は暗いニュースに閉口し、明るく楽しい話を待っているのだ。

 しかし、日本は偉大な国だ。第2次世界大戦での破壊から祖国を再建したではないか。政治、経済的な危機状況の中で、日本国民は今、自信を喪失しつつある。多くの国民は指導者たちの行為を恥じている。日本は病んでいる。だが、立ち直れるのだ。

 好例がある。1950年代から60年代にかけて多くの犠牲者を出した水俣病の悲劇を乗り越えて、生活を再建した水俣市の人々から学ぶことは今、大変、価値があるのではないか。私は最近、同市を訪ね、環境優先の社会づくりにまい進している市民たちを見て、非常に感動した。各地の収集所では資源ゴミが再生利用を目指して、21種類に区分されて回収されていた。環境破壊から立ち上がり、環境にやさしい街づくりを進めている吉井正澄市長は「水俣が体験してきたことを多くの人に学んで欲しい」と訴える。

 安定した日本は世界の平和と繁栄に不可欠だ。今こそ、現実を直視して立ち上がる時だ。日本人なら可能だ。

2001年3月26日
▼バックナンバーへ

Homeへ | 画面上へ