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年間リポート:2001リポート
「北東アジアの安定と発展」と「アジアの人流新時代」をテーマにした2年目の総合的研究
自治体レベルで進む協力の輪

資料 日韓両国の自治体の間に、地域協力の息吹が表れてい る。これがほかのアジア諸国に広がる動きを、日本政府 は後押ししていくべきだろう。

 日本の自治体の国際化は文化交流や相互訪問などを主 眼に進んだが、最近は定期航路の開設に連携するなど、 多彩な実利重視の「交流から協力の時代」に入りつつある。

 とりわけ、韓国の熱心さが目立つ。鳥取県米子市で 2000年11月上旬に開かれた「環日本海圏地方政府 国際交流・協力サミット」には、韓国東部にある江原道 の金振シン^知事が、中国、ロシア、モンゴルの代表と ともに参加した。

 金知事は、江原道の港とロシア沿海州のザルビノ市を 通じて中国内陸の琿春市との間に就航した航路を、今後 は日本とも結びたいと力説した。

 金知事は、さらに江原道が2010年の冬季五輪の開 催地に名乗りを上げていることを明かし、日本などの支 援を求めた。軍事境界線で南北に分断された江原道は、 北朝鮮との南北共同開催による「平和五輪」を提案中。 正式な誘致方針とするかは、韓国政府が来年にかけて検 討する。

 韓国の自治体の声は、過去、中央政府の「開発独裁」 の中で封じ込まれていた。それが、1995年の統一地 方選挙で、地方の首長も任命制から公選制に転換。99 年には「中央行政権限地方委譲促進法」ができ、分権化 が進み始めたことが、活動を勢いづけているようだ。

 もっとも、地方の独自財源は日本以上に乏しい。自治 体が国際交流に乗り出す背景には、隣国に存在感をアピ ールし、投資や観光客誘致を少しでも増やしたい思惑が ある。

 釜山市は、福岡県との産業交流を進める「ビジネスベ ルト構想」を掲げているが、同市政策開発室の周修鉉さ んは「インフラ(社会基盤)建設は今も中央主導でしか 進まない。地方独自の発展は国際化の中に追究せざるを 得ない」という。

 「地方の時代」に突入した韓国の悩みを日本がくみと り、相互の発展に向けた知恵を出し合っていく。この数 年、増えてきた自治体の北東アジア交流は、 そんな対話の母体になり得るし、非政府組織(NGO) 活動とともに、外交チャンネルを拡大することになる。

 金知事は今後、交流の輪の中に北朝鮮も招く考えを語 った。鳥取県の片山善博知事は今夏、自ら訪朝し、米子 での「サミット」に羅津・先鋒市の代表の参加を求めた。 同県の境港と中国を結ぶ航路は、羅津経由になれば大幅 に短縮できる。その航路開設への端緒をつかむ思惑もあ った。

 国交がない北朝鮮からの参加は結局、見送られたが、 片山知事は「政府間関係が正常化されていなくとも、自 治体交流は進めるべきだ。政府はこれを妨害はしないで ほしい」と言う。

 ただ、教訓もある。環日本海経済研究所(新潟市)が 2000年1月に開いたシンポジウムでは「日本海」、 の呼称が韓国に対する植民地時代のものだとの見方から、 韓国からの参加は中止された。息の長い交流をするため には、韓国の名称である「東海」を併記するか「北東、 アジア」とするか、配慮が不可欠である。 (2000年12月21日掲載)

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