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The Asahi Shimbun Asia Network
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年間リポート:2002リポート
「東アジアの安全保障・地域協力」と「アジアの環境とエネルギー」をテーマにした3年目の総合的研究
AANからの提言


◆民主化進み「声」拡大

<基本認識> 日本の歴史問題はアジアの民主化や世界のボーダーレス化の潮流からくる厳しい視線にさらされている。主体的で開かれた対応が急務だ。

 冷戦終結から10年余りたち、経済のグローバル化の進行とともに政治や社会の面でも民主化や多元化、ボーダーレス化が広がっている。先の敗戦にかけての戦争や植民地支配に関する日本の歴史問題も、こうした潮流からくる世界の厳しい視線にさらされつつある。ここで日本が自国中心の閉鎖的な態度に傾けば、国際社会の信頼を失うリスクを負うことになる。世界に通用する歴史問題への、透明で開かれた対応力を身につけることが急務だろう。

 今回、米国で発効した日本帝国政府情報公開法は、歴史責任追及のグローバル化の動きを象徴している。同法が、第2次大戦当時の関東軍防疫給水部(七三一部隊)による人体実験など、旧日本軍の非人道行為の疑惑解明を視野に入れているのは注目される。

 米国だけではない。アジア各国では冷戦後の90年代から、開発独裁時代を克服する民主化の進展で、日本の戦争や支配によるそれぞれの国の被害者たちが声をあげやすくなった。さまざまな制約を乗り越えて、元従軍慰安婦が名乗り出たのも空気が変わったあかしである。不当な扱いを受けた戦犯や戦時中の強制労働、賃金未払いの被害者、戦後の遺棄毒ガス弾による傷病者なども、謝罪と補償を求めている。

 冷戦後の世界は、歴史問題が「平和」や「人権」などの普遍的な価値との関連でとらえ直され、責任が追及される傾向が強まっている。日本自身の価値とビジョンでそれをどう判断するかが問われている。


◆国際共同研究の支援を

提言(1) 歴史問題について国際的な共同研究の枠組みを確立する。

 80年代から、日本の教科書が近隣諸国との間で政治問題化するたびに唱えられたのが、共通の歴史の編さんである。具体的な編さん研究の取り組みもあったが、これまでのところ実っていない。それぞれの国の歴史体験や史観の違いからくる見解の対立が立ちはだかっているからだ。

 自他の違いを無視して歴史事実や意味づけを一本化しようという前提に無理があったのではないか。観点によって食い違う事実認識は、それぞれの見解の併記という手法をとる柔軟な取り組みがあっていい。

 そうした基本に立って日中韓のほか、より自由な立場で議論できる諸外国の歴史専門家を交えた国際共同研究支援基金や歴史問題協議会を設立してはどうか。歴史資料をめぐる情報交換や相互利用の枠組みをつくる。研究教育機関に関係国の近現代史講座を開設しあい、多様な見解を持つ講師や留学生の交換を広げることにも努めたい。

 大事なのは、関係国の国民間でのアジアの歴史認識の溝を埋めていくことだ。そのためには、専門家だけでなく、様々な市民社会レベルで思い切って歴史に焦点を合わせてざっくばらんに議論する場をつくることも必要だ。


◆資料公開、独立機関で

提言(2) 歴史資料の保存と情報公開を進める。歴史的公文書は担当官庁から独立した国立公文書館で広く利用できるようにする。

 戦争に関する日本政府関係の文書の多くは終戦時の政府の方針により降伏決定後、焼却された。戦争犯罪追及に直結する多くの陸海軍文書も同じ運命をたどる。後の実証的な歴史研究にとって大きな障害となったのは言うまでもない。

 米国が58年になって日本側に返還した接収文書の一つは、42年前半以前の陸軍文書。空襲を避けるため、東京都南多摩の陸軍省地下倉庫に移してあったのを進駐軍が持ち帰った。返還後は、防衛庁防衛研修所(現在の防衛研究所の前身)戦史室が保管・整理に当たり、現在に至っている。

 ところが不思議なことに、防衛研究所は米側関係者が返還したと証言した七三一部隊の関連文書がないという。防衛研究所に通う歴史研究者からは、七三一部隊のほか、イペリットなど致死性の猛毒を使った毒ガス戦についても肝心な資料が非公開になっているとの指摘がある。

 歴史研究の領域に入った資料の公開は、防衛研究所のような特定の担当官庁付属機関ではなく、国立公文書館や国会図書館のような独立した機関にゆだねる制度に変えるべきだ。


◆個人の請求権、幅広く

提言(3) 戦後補償問題について国民的な議論を深める。戦時中の被害の実態の究明と救済に取り組む。

 日本の戦争や支配の被害に対する諸外国からの救済の訴えについて、日本の行政と司法は、基本的に門前払いの姿勢を変えていない。サンフランシスコ平和条約による請求権の放棄や日韓請求権放棄協定の規定、さらに個人補償を具体的に定める日本の国内法が欠如していることが根拠だ。しかし、国家間の処理だけでは個人の権利は十分に回復されない。米裁判所での訴訟でも、国家間の条約による請求権の放棄が個人の請求権まで消滅させるかが争点となっている。

 冷戦後、世界中で人権侵害が追及され裁かれている。世界の規範が個人の人権の回復と救済という方向にシフトしつつある事実に、もっと着目したい。日本は他国に先んじて「人間の安全保障」を公式に掲げるアジアの人権先進国の自負をもって問題を先取りすべきだ。強制労働の事実が確認されれば新たな立法措置や企業責任を特定した基金の設立を検討するなど、個人の請求権について幅広く議論し認識を深めたい。

 戦争によって多大の被害を受けたのは日本国民も同じだ。その意味でも、人権の回復は国境をこえた共通の課題である。

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