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書評
アジア関連書籍の紹介です
『日朝交渉ーー課題と展望』 姜尚中、水野直樹、李鍾元編
岩波書店、税抜き1700円

次から次に国際世論に挑発的な動きを繰り返す北朝鮮に対し、「がつんと当たらければ駄目なのだ」という論調が日本では強まっている。北朝鮮の独裁体制を「普通の国」へと軟着陸させることは不可能と断じ、韓国の金大中・前大統領の太陽政策も、独裁体制の延命・強化にしか寄与しなかったと否定的に総括する意見である。

独裁体制の異常さ、そのなかで人間の尊厳が踏みにじられている状況については、脱北者たちの体験記、手記などを通じて次第にリアルな理解が可能になってきた。たとえば「脱北者」(晩声社)では、独裁体制の「中間管理職」といえる取締官たちが保身のために脱北者に残酷にあたる様を描く。人が人らしく生きることのできない状況をシステムとして作り出すことが独裁体制の大きな犯罪性であることがよく分かる。

けれど、そうした体制を、やはり「軟着陸」させなければならない、それはなぜか、そのためにはどうすれば良いのかーーを、様々な分野の研究者、識者が探ったのが「日朝交渉ー課題と展望」だ。

対北朝鮮「硬派」に特に不足しているのは、2300万人の北朝鮮の人々の日常であり、考え方、感情に対する理解、あるいは想像力ではないか。そうしたものが浮かんでくると、「がつんと」という発想はなかなか浮かんでこないのではないか。

95年以来、世界各国から人道援助が届いたことについて、北朝鮮の人がどう感じているか。NPO・日本国際ボランティアセンター(JVC)の熊岡路矢代表は「『共感の無言のメッセージ』が届いたことになり、人々の歴史的な孤立感や外部への警戒感・敵対意識を和らげたとする(「北朝鮮の食糧問題と人道援助のあり方」)。そして2000年6月の南北首脳会談以降の変化について、「同年後半以降の北朝鮮訪問では、現地側の受け入れは柔軟になり、農場の農民の表情にもリラックスしたものが感じられた」と記す。

「がつんとあたる」というのは、国に対してではなく、具体的にはこうした「以前から比べればリラックスした表情をみせるようになった農民」に対して、であるのだ。

小田川興・聖学院大学客員教授は、「想像力こそが真の現実に到達する手段だ」というエンデの言葉を引き、北朝鮮の飢えてゆく子供たちを独裁体制批判ゆえに見捨てず、救うことは「東アジアの未来を救う」ことだと定義する(「百年の計」を目指した朝鮮半島政策を)。

対北朝鮮強硬論について、専門家のこうした冷静な見方も収められている。「国民世論とメディア世論、とくに週刊誌とテレビ・メディアの間にはギャップがある。国民の方がメディアより健全です」「(メディアがそうなるのは)大衆迎合の商業主義だと思うけれど、大衆が実際に望む以上に極端に進んで、そのニュースを消費し尽くすまで続く。そして忘れてしまう。田中真紀子現象と同じですよ」(「日朝平壌宣言の歴史的・国際的意義」の小此木政夫・慶応大学教授の発言)

(アジアネットワーク主査 永持 裕紀)
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