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書評
アジア関連書籍の紹介です
 「日米関係」からの自立 姜尚中編  藤原書店  2200円プラス税

イラク戦争の勝利後、戦後復興に米国がどのように、どの程度かかわるか。北朝鮮にも同じようにがつんと当たるのか、それとも韓国を人質に取られた形だから、それは自制するのか。そうした話題がもはや酒の席でも語られる、そんな状況だ(つい先日、隣席の背広姿のグループがそうでした)。けれど、メディアが映し出した米国のパワーや力を背景にした居丈高ぶりは話しても、その米国と日本がこの先どうつき合うかについては、まだ酒場での話題ではないかもしれない。あまりに考えることが多すぎるから。

この本は、アジア、中でも中国や韓国を中心にした東北アジアとの地域的な結びつきを強めることで、「日米二国間主義症候群」をいわば相対化する、そしてそこから脱却する筋道を示している。政治思想の姜尚中氏、歴史学の和田春樹氏、そして米国からキャロル・グラック・コロンビア大学教授(歴史学)の鼎談という形(電子メールを通じたバーチャル鼎談のようだが)だから、その筋道が比較的スムーズに頭に入ってくる。

やはり米国人学者が1人参加すると、論議は締まる。「アジアでの結びつき強化」を主張する姜、和田両氏に対して、グラック氏はこう指摘する。

「日本がなぜいつまでもアメリカのナンバー・ツーでいたかったかといえば、やはりこの戦後55年の間、非常に快適だったんだと思います。心地よいヘゲモニーだった。そのようにしてアジアのことが視野に入らなかった時期が長く続いた。この心地よい日米関係からもう出なければならない時期になってきた。しかし問題は、アメリカか、アジアかという、二者択一的な発想ですね。そういう選択肢の立て方は間違っていて、過去の過ちの繰り返しになりかねないと思います」

グラック氏は、欧州統合にはかなりの時間がかかったことも語り、「いまアジアでヨーロッパの地域主義と似たようなものを立てて行くには時間がかかるでしょう。そのためにはもちろん『戦争の記憶』という問題を、日本政府がきちんと解決しなければならない。そうした問題を放置していては大東亜共栄圏という過去が必ず問題になる」と、ポイントも外さない。

今後の日本やアジアのこれからについて、「(アジアの)みんなもアメリカから離れては生きていけないと思い込んでいますが、実際そういう関係になっているのだと思います。ですから、どうしてもアメリカ人も含めて考えていかなければならない」(和田氏)という、考えてみれば自然な結論に三人は到達する。「おっしゃるとおり」とグラック氏は語った後に、こう提言する。

「日本と韓国は、少しずつ、以前フランスとドイツがしたように、もう和解の道をたどりはじめているのではないでしょうか。(……)必ずそうなると思います。ただしこれから先は(……)二国間関係では不十分なのです。それを基礎にして、隣国関係をつくり、その中で地域的なバランスをとって、バランス・オブ・パワーといった力関係でもなく、覇権システムでもない、むしろネットワークとしての地域や、国際関係のようなものをつくっていかなければならないでしょう」。ネットワークとしての国際関係のもっと具体的なイメージを、グラック氏に尋ねたい気がする。

(アジアネットワーク主査 永持 裕紀)
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