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書評
アジア関連書籍の紹介です
『昭和の軍閥』 高橋正衛  講談社学術文庫 1100円プラス税

中国のみならずアジア各国との関係に、いまだに影を落としている「侵略と戦争の歴史」を考える際、その最大の主体だった日本軍、具体的にいうと日本陸軍の、1920年代から30年代の状況を知る必要がある。この本は1969年に出版されたものの復刊で、30年ほど前の状況を振り返ったもの。「本書の目的は、軍人特有の用語、価値基準を示すことばを、つとめて陸軍の本質に近づいて説明し(……)いくつかの具体的事件をつうじて(……)いくらかでも昭和の陸軍の内側を示してみたいというにある」。現在の私たちが1960年代から70年代にかけての近い過去を振り返った場合のように、その検証は生々しい。いまとなっては少し煩瑣に感じられるデータの提示もあるが、その生々しさや詳しさは魅力的だ。

序章「軍隊を考える基礎的事項」だけでも役に立つ。エリート将校を養成した陸軍士官学校の「同期生」や、あるいはそこでの「教官ー生徒の関係」が軍の中でも大きな意味を持ったこと。同期生たちの軍人としての出世を左右したのは士官学校での成績であって、実戦の戦歴ではなかったこと。「陸士の成績は(……)親の威光も財力もまったくおよばないところで出てきた順位である。これには全員従うしかない。だから、この成績が軍人の一生を支配する基準となっても、だれも文句をいうなというたてまえとなる」  「学校成績」の優れた軍人はさらに陸軍大学校に進み、「幕僚」と呼ばれるスーパーエリートの道を突き進み、その道を進めない軍人は「隊付将校」たちの不満や反感は次第に募っていく。その不満は、隊付将校たちによるクーデター「2・26事件」として爆発し、その翌年、日中戦争が勃発する。

軍人のクーデター計画は1931年(昭和6年)ごろからあったという。この本は「いやしくも内閣総理大臣を決定する立場にある元老(西園寺公望)」も含めてだれも、こうした流れに歯止めをかけられなかったことを指摘する。「昭和の陸軍の暴走の背後には(……)後手後手にまわる、西園寺を頂点とする政治家の存在があった」

視野が広いとはいえない、価値観も既成の(自分たちの組織の)ものに縛られた、それでいて人事の不満を持っていたエリートたち。しかも軍事力という暴力を持っていた彼らが暴走したとき、「政界の上層部も、この事件(クーデター)の計画者たち、すなわち陸軍の荒っぽい連中、および陸軍そのものに対して、なにか、はれものにさわるという心境に陥った」のだという。

(アジアネットワーク主査 永持 裕紀)
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