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書評
アジア関連書籍の紹介です
『日本の優秀企業研究』 新原浩朗著 日本経済新聞社 1800円

通念を粉砕する、至極まじめな6条件

企業経営は米国式に従い改革されるべきか、それとも日本型を堅持すべきかという議論は、長期にわたる不況下で経済論壇における最大の話題だった。

米国式の経営方針とは、経営が放漫に走らぬよう資本市場が規律づけることを原則とし、それは株主の代理人たる取締役会の監視によって実行され、従業員の働きがいは金銭報酬によって動機付けられるというものである。そうした考え方に由来するカンパニー制や成果主義などを導入することが、日本企業の改革とみなされたりした。

けれどもそれらを「米国式」と呼ぶべきかどうかは自明ではない。同様に、終身雇用制や年功賃金制、メインバンク制や社内調整力のある者が社長になるような慣行を、護(まも)るべき「日本式」とみなすのも論拠は怪しい。

本書は、そうしたあいまいな議論を一掃する橋頭保となる画期的な研究である。緻密(ちみつ)な論理が述べられるが、文体は平易、読み物としても楽しめる。

まず、収益性・安全性・成長性を尺度として「優秀企業」を選び出す。その上で該当する花王、キヤノン、シマノ、信越化学工業など10社の特質を聞き取りやアンケートから抽出し、最終的に優秀企業の6条件としてまとめる。

成果は、瞠目(どうもく)すべきものだ。優秀企業は「ITやバイオなど先端業界」で「国際競争にさらされる分野」にある、といった通念は粉砕される。経営方針においても、これらの日本企業では経営者や従業員が「世のため人のため」という企業文化を共有し、内発的に自らを律して、製品・サービス市場で顧客の評価を得ることに全霊を懸けている。「自分たちが分かる事業を、やたら広げずに、愚直に、まじめに自分たちの頭できちんと考え抜き、情熱をもって取り組んでいる」というのだ。年功制は不要だが終身制は不可欠という証言も、興味深い。

各章末で調査結果が既存の経済学理論によっても支持されることが示されているが、企業にはカネのみならずヒトの軸も重要という結論は、社会科学の他分野とも摺(す)り合わせが可能だろう。

評者・松原隆一郎(東京大教授)
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