朝鮮族3世として中国で生まれ、広島大大学院などで学び、呉大学の講師を務める金文学さん(41)のエッセー風比較文化論。日中韓3カ国の違いを活写する。
「日本人は何事にもケチくさい!」と題した序章では3カ国のトイレ事情、つばを吐く風習、おならなどの卑近な話題を取り上げた。生活習慣の違いを驚きの目で見つめ、日本の清潔さをたたえながらも、「あまりにも洗って磨きすぎると福が逃げる」という韓国と中国のことわざを挙げ、潔癖性にくぎを刺している。
偶数好きの中国と奇数好きの日本。スイカにかけるのは塩か、それとも砂糖か。女性の美の基準を比較すると、韓国人は「顔」で、中国人は「脚」、そして日本人は「胸」――。言語、風俗習慣など様々な切り口から民族の本質に迫ろうとしている。
金さんは「同じ漢字文化圏なので、お互いによく知っていると思いがちだが、それは錯覚。違いを知った上で認め合うことが大切だ」と話している。
評者:花野 雄太(広島総局)