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書評
アジア関連書籍の紹介です
"The Future of Freedom : Illiberal Democracy at Home and Abroad"
By Fareed Zakaria (Norton, $14.95)

旧ソ連の崩壊後、われわれは東欧、中央アジア、南米などに生まれた「新興デモクラシー」に拍手を送ったが、それらの多くが市民の自由を抑制し「民主的な」選挙によって独裁的指導者を選んでしまうようなジレンマに陥っている現状を急いで再確認した方がいい。全体主義的なイデオロギーが魅力を失い、民主主義に代わる尊重にあたいするような代替策が存在しなくなった21世紀の統治上の問題は、民主主義内部の問題になる公算が大きいが、市民的な自由を尊重しない非自由主義的民主主義(Illiberal Democracy)というやっかいな現象が世界中で蔓延している。

ファリード・ザカリアは、アフガニスタン、イラクを含む世界のさまざまな場所での民主主義を掲げた政治行為を注意深く検討している。イスラム教のくびきがのしかかるアラブ世界の将来、彼自身が育ったインドの最近の傾向、経済的な達成の上で、民主主義的政策を取り入れようとする東アジア世界の今後。一人あたりGNPが3,000ドルから6,000ドルに達しなければ、民主主義への移行は難しい。また、非自由主義的民主主義から自由主義的民主主義に成熟を遂げる国家がほとんどなく、むしろ非自由主義を極めてしまう傾向があるとも指摘している。「西欧モデル」の顕著なシンボルは、大衆による投票ではなく、自由を保障し権力の過大な使用を規制する公正な司法制度にあった、とも。

民主主義は、立憲的自由主義(Constitutional Liberalism)の基礎に上に築かれなければ、恐らく失敗する、というのがザカリアの苦い結論であろう。立憲自由主義は、西欧と米国で、生命、財産、宗教と言論の自由に関する個人の権利を防衛する仕組みとして生まれ、発展してきた。これらの権利を守るために立憲自由主義は、政府機構の均衡と抑制、法のもとの平等、公正な司法制度、裁判、国家と宗教の分離をとくに重視した。しかし、そのようにしてなった米国の政治制度も、例えば1978年にカリフォルニア州で実施された州税の上限を定める住民投票が、利害の調節を行う税金管理を州政府や議会の手から奪ってしまったことなど、政治制度への不信やポピュリズムの波で揺れている。

多くの欠点にかかわらず民主主義は、世界の最後の希望である。そのために自らの民主主義を、時代にあわせた考え方と制度を検討するよう論争に誘う、極めて重要な本である。ファリード・ザカリアは米国の週刊誌Newsweek 国際版編集長、外交専門誌Foreign Affairsの元編集長。
(Asahi Weekly, January 25, 2004より)

川崎 剛(元アジアネットワーク主査)
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