現在位置:asahi.com>国際>魅惑大陸アフリカ> アフリカ特集 > 記事

アフリカ特集

「アジア支援の経験 アフリカに生かせ」 ボノ

2008年05月31日

 →原文(英語)はこちら

 北太平洋にある、日本と呼ばれる島国に、なぜ私がこんなにはまったのか。

 ここで何かが起きている、「新しい風が吹く」と感じているからかもしれない。西洋の我々が「時代精神」と呼ぶものだ。広く伝播(でんぱ)し、先進国と途上国との関係を一新する可能性がある。

 対外援助が64年以来最低の水準に落ち込んだ日本に、先進国から途上国への約束を復活させ、2015年までに極貧を半減するという責務を主導することができるだろうか。私はできると信じる。

 日本は7月のG8サミット主催国だから、それができる。日本はどうすればいいか知っているから、それができる。日本は近隣地域で何百万人もを貧困から引き上げるという目覚ましい成功を収めた。アジアの新興国の出現に、日本の支援は決定的役割を果たした。同じ戦略をアフリカに適用すれば、似たような結果が出ないだろうか。

 福田首相のアフリカに関するリーダーシップで、ひとつだけ欠点がある。なぜアフリカの貧しい人たちにもっと支援すべきなのか、日本の国民に説明する政治的努力が足りないということだ。

 実際、日本が援助を倍増しても、ドイツの今年の援助額のほぼ4分の1にすぎない。この難しい経済状況のもと、首相は遠く離れたアフリカへの大胆な援助を日本の有権者が支持するかどうか定かでないのだろう。

 アフリカは道義的にだけでなく、戦略的にも極めて重要だ。人的資源、産業資源をめぐる競争で死活的な意味を持つこの大陸で、中国は日本のはるか前を進んでいる。

 私は、有権者の支持を得られると思う。私の知る日本人は、アフリカで中国に出し抜かれることを好まない。車や機械に必要な金属がアフリカから来ていることも知っている。新しい日本人はインターネットで育ち、根っからグローバルだ。日本の技術が最貧層の暮らしを変容させることに誇りを持っている。

 主食用作物の需給を調整する新たな農業メカニズムを創設し、資金供給することで、親が子供に食べ物を十分に与えることができる。タンザニアのキクウェテ大統領は私との会見で、肥料さえ手に入るなら国を変えることができる、と語った。肥料の平均使用量はアフリカでは1ヘクタールあたり8キロだが、オランダでは550キロだ。

 また、貧困だけでなく腐敗とも闘っているアフリカ諸国が、インフラや教育、医療制度など経済成長の前提に投入できる資源が不足しないよう確保する。

 島国の人が世界に出航するとき、「帆」は知的好奇心で、「風」は他者への思いやりだ。私はこの風が、日本に吹いているのを感じる。それは、アフリカに向けて吹いている。

<ボノ> 60年、アイルランド生まれ。ロックバンド「U2」のメンバー。これまでに計22の米グラミー賞を受賞した。国際NGO「DATA(債務・エイズ・貿易・アフリカの英語の頭文字)」の共同設立者として途上国支援に取り組んできた。

 ブッシュ米大統領、ブレア英首相(当時)ら各国の指導者に直接会い、エイズ対策の支援を要請している。

PR情報

このページのトップに戻る