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アフリカ特集

「米中印の投資競争 日本こそ審判役を」 ボブ・ゲルドフ

2008年05月31日

 →原文(英文)はこちら

 エイズが蔓延(まんえん)するアフリカで02年、わずかばかり長生きできる治療薬を手に入れることができた患者は5万人にすぎなかった。信じられないことに、彼らは高価な治療費を払うよう求められていた。

 沖縄に先進国が集った00年、日本はエイズ患者が置かれた状況を一変させるプログラムを提案した。「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」だ。これらのお陰で、08年にはアフリカで約240万人が無償で治療を受けられるようになった。日本の指導力がなければ、この地球規模の協力は実現しなかった。

 奇妙なことに、この功績に気付いている日本人は本当に少ない。皆さんの慎み深い気質は知っている。だが、この善意と寛容に満ちた行いは、特にアフリカの貧しい人々が従来に増して日本を必要としている今年は、決して忘れられてはならない。

 日本経済の苦境は承知している。しかし日本はまだ巨人だ。経済は世界のナンバー2で、なお年率1.5%の成長をしている。だが、貧困国への援助は減少し続けてきた。今や日本は援助額で世界で最も見劣りする国のひとつだ。

 グローバル化が意味するのは経済の相互依存だ。日本はアフリカの協力なしに、必要な資源を手に入れることは難しいし、アフリカにお返しすべきものも多い。

 第2次大戦後、再建を遂げた日本は15年でその発展モデルをアジア諸国に輸出し、アジアは貧困から抜け出した。アフリカはこの道をたどり始めているが、それには励ましと手助けが必要だ。

 中国とインドはアフリカに何十億ドルも投資し、資源を引き出している。米国もアフリカを新興市場と見ている。しかし彼らはお互いをライバル視しており、アフリカには、その間に入る公平無私な「レフェリー」役が必要だ。アフリカを植民地にした欧州には務まらない。能力と意志があるたったひとつの国が残る。それが、日本だ。

 貧困は解消できる。戦後の日本がその証明だ。競争ではなく、協力が21世紀の政治的パラダイムであるべきだ。

 強者は責任と費用を担うものだが、その負担は世界や貧しき人々、そしてアフリカが得る多大な利益に比べれば小さい。日本はアフリカにかつてのように手を差し伸べなければならない。

 福田首相、アフリカへの援助の真の「倍増」は12年に、18億ドルではなく36億ドルに増やすことだ。日本の4兆3千億ドルという国内総生産をもってすれば、米英独仏に比べてまだ少ない。しかし、それは、巨人から貧しい人々への小さな贈り物だ。

 大国であるためには先導せよ。7月、世界は日本の政府と国民に、そう期待する。

<ボブ・ゲルドフ氏>51年、アイルランド生まれ。ロックバンド「ブームタウン・ラッツ」のボーカリストで、81年からアフリカの貧困やエイズ問題への取り組みを始めた。

 85年、ロンドンでボノ氏やクイーンらと「ライブ・エイド」を開催。英国が功績を認め、名誉ナイト爵位を授与した。ボノ氏とともに度々、ノーベル平和賞候補にあがっている。

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