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キムチチゲ

2010年3月30日

  • 筆者 八田靖史

写真キムチカルビチゲ(新宿ポジャンマチャ)写真熟成中の白菜キムチ(新宿ポジャンマチャ)写真韓国屋台をコンセプトにしている(新宿ポジャンマチャ)写真サンマキムチチゲ(韓流)写真用途の違う3種類の白菜キムチ(韓流)写真家庭料理を中心に鍋料理が豊富(韓流)

 韓国に春が訪れ、山菜が芽吹く季節になると、備蓄しておいたキムチがお役御免となる。11月中旬から12月上旬にかけて漬け込んだキムジャンキムチ。キムジャンとは野菜の流通量が減る冬場に備え、前もって白菜や大根のキムチを大量に漬け込んでおく習慣のこと。流通の発達した現代では冬場にも野菜不足で困ることはないが、習慣としてキムジャンは残っている。キムチ冷蔵庫に保管したキムチは、少しずつ消費しながらも熟成が進み、春頃にはほどよい酸味を帯びている。

 酸味の出たキムチはシンギムチ(酢っぱいキムチ)、またはムグンキムチ(古いキムチ)と呼ばれ、主に料理用として活躍する。豚肉と一緒に炒めたり、細かく刻んでキムチチャーハンにしたり。ブロックの豚バラ肉と煮込んでも美味しいし、サバなどの青魚と煮込んでもいい。そして王道はやはりキムチチゲだ。熟成したキムチを豚肉、豆腐、長ネギといった具とともに、少量の煮汁で煮立てて作る。味付けはキムチが担うので、漬けたてのフレッシュな状態では、なかなかうまく味が出ない。飲食店では、わざわざキムチを古漬けの状態にしてから使用している。

 韓国料理の中でも定番中の定番といえる料理であり、日本でもたくさんの韓国料理店がメニューに並べている。多くは定食形式で1人前ずつ供されるが、大きな鍋で作って大勢でつつく場合もある。そこから派生し、具を豪華にしたキムチチゲを売りにする店もある。

 東京・新大久保にある「新宿ポジャンマチャ」では、キムチチゲに豚カルビ(あばら肉)を加えたキムチカルビチゲを自慢としている。山形県の平田牧場で飼育される三元豚を使用しており、これをかたまりの状態で加えるのが特徴だ。豚肉の旨味がスープに溶け出るとともに、骨まわりの肉にかぶりつく楽しさも加わる。白菜キムチも縦方向に4等分しただけの大きなサイズで鍋に入れ、豚肉とともにハサミで豪快にカットする。キムチに使う白菜にもこだわりがあり、社長自ら茨城県まで車を飛ばして、懇意にしている農家から直接仕入れるそうだ。1度に漬け込む量は200株とも、300株とも。

 同じく東京・歌舞伎町の「韓流」もアレンジの効いたキムチチゲをたくさん用意している。通常のキムチチゲに加え、豚カルビ入り、ツナ缶入り、そしてサンマの水煮缶入り。缶詰と聞くとチープな印象を受けるかもしれないが、これも韓国の食堂でもよく見かける一般的なスタイルだ。サンマの場合もあえて生を使うより、骨が気にならないメリットがあるとのこと。これらの4種類のキムチチゲを作るために「韓流」では常時、チゲ用のキムチを2種、そのまま食べるフレッシュなものを1種、合計3種類を自家製で漬けている。白菜以外のキムチも手作りするので、その労力はかなりのものだ。

 韓国料理店においてキムチの味は、店の味そのものと表現される。美味しいキムチを作れる店は、どの料理を食べても美味しい。韓国人の多くが、そう評価してもっともこだわる。シンプルなキムチチゲも、アレンジを加えたキムチチゲも、元となるキムチの味で大きく左右される料理。キムチチゲには、店ごとのこだわりが詰まっている。

●キムチチゲにあう料理

 韓国では卵焼きのことをケランマリと呼ぶ。ニンジンやピーマンなどの野菜を細かく刻み、フライパンで焼いたシンプルな卵焼き。韓国ではキムチチゲと相性のよい料理と考えられており、キムチチゲ専門店では一緒に出されることも多い。一説にはキムチの辛さを、卵のやさしい味がなだめてくれるからとも。機会があれば、ぜひキムチチゲとケランマリをセットで試してみて欲しい。

●店舗データ地図

店名:新宿ポジャンマチャ

住所:東京都新宿区百人町1−2−3ベストホテル1階

電話:03−3200−8683

店名:韓流

住所:東京都新宿区歌舞伎町2−20−11玉野ビル1階

電話:03−3207−0983

プロフィール

八田靖史(はった・やすし)

コリアンフードコラムニスト。1976年生まれ。東京学芸大学アジア研究学科卒業。1999年より1年3カ月間韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年に韓国料理をテーマにしたメールマガジン「コリアうめーや!!」を創刊。同名のホームページ(http://www.koparis.com/~hatta/)も開設し、雑誌、新聞などでも執筆活動も開始する。著書に『八田式「イキのいい韓国語あります。」』『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(いずれも学研)がある。

日々、食べている韓国料理を日記形式で紹介するブログ「韓食日記」も運営中(http://koriume.blog43.fc2.com/)。 ※執筆者の新著が出ました。「魅力探求!韓国料理」(小学館)。

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