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韓国料理とスイーツ

2011年5月30日

  • 筆者 八田靖史

写真薬膳の素材を使ったカップケーキ(千の花) ※写真をクリックすると拡大します 写真高麗人参やヨモギのロールケーキ(千の花) ※写真をクリックすると拡大します 写真店内ではソフトクリームも販売(千の花) ※写真をクリックすると拡大します 写真高矢禮ユズ茶ロール(高矢禮) ※写真をクリックすると拡大します 写真無添加の高矢禮ユズ茶を練り込んでいる(高矢禮) ※写真をクリックすると拡大します 写真蜂蜜とクルミのパウンドケーキ(高矢禮) ※写真をクリックすると拡大します

 先日、都内の百貨店で開催されていた韓国の物産展に足を運んだ。ずいぶんな人出でその活気に驚いたが、それ以上に目を引いたのが商品の多様さであった。キムチや海苔、焼酎、インスタントラーメンといった従来の定番食品に留まらず、スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋)、カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)、ヤンニョムチキン(甘辛いタレと絡めたフライドチキン)といった専門性の高い料理もずらり。近年人気の高まっているマッコリ(韓国の濁り酒)も生加熱の生タイプからフルーツ系まで幅広く揃っており、韓国の食文化が着実に浸透しているのを感じた。

 中でも印象的だったのがスイーツ類の充実である。韓国料理で甘いものといえば、餅や韓菓(ハングァ)と呼ばれる伝統菓子類、ホットク(蜜入りのお焼き)、ホドゥグァジャ(クルミ饅頭)といった屋台菓子類が主流。こうした旧来の菓子類に加わる形で、韓国的な要素を取り入れたカップケーキやロールケーキが登場していたのは斬新であった。

 もともと韓国料理はデザートがあまり豊富でなく、韓国内においては果物類や甘い伝統茶などで食事の最後を締めくくるのが普通。そのためデザートを用意したい日本の韓国料理店では、アイスクリームや杏仁豆腐など韓国料理以外のスイーツで代用したり、屋台菓子にトッピングをしてデザート化するなど苦心を重ねていた。いわば韓国料理の弱点ともいうべき部分であったが、こうした新しい形でのスイーツの登場は、それを補う日本独自の進化であるといえよう。

 東京、広尾の「薬膳甘味千の花」は薬膳素材を使ったスイーツの専門店。お台場で営業する系列店の「宮廷焼肉千の花」にてデザートとして開発した商品を、専門店化して新たに販売を始めた形だ。「新規のブランドとしてデザートの要素を考えたが、伝統菓子にこだわらず新たに開発することにした」のがきっかけとか。甘いだけのスイーツではなく、薬膳ならではの苦味にこだわり、美と健康をテーマに商品開発に力を注いでいる。高麗人参、五味子(チョウセンゴミシの実)、ナツメといった薬膳素材のカップケーキに加え、高麗人参とヨモギ、五味子とナツメのロールケーキも好評だ。

 独自ブランドの韓国商品を多数発売する「高矢禮(ゴシレ)」も、やはりオリジナルのロールケーキを百貨店の催事や公式グッズサイトの「bofi」で販売している。開発に至った経緯として「顧客アンケートの中でデザートが弱いとの指摘があった点、また顧客の9割が女性であること」をあげる。ロールの生地に乳化剤を使用せず、生クリームは最高級の北海道産を主体とした国産にこだわり、韓国的な要素として自社商品の柚子茶を練り込んでいるのが大きな特徴。新商品としてパウンドケーキの販売も始まっており、スイーツの充実を図っている。

 日本で韓流という言葉が交わされ始めて、すでに8年ほどが経過した。その間、韓国ドラマやK−POPとともに、さまざまな文化も伝えられてきたが、ある程度の定着に至ってまた新たな方向性が模索されているようだ。求められているのは本場そのものではなく、本場以上。韓国料理の新たな可能性が、日本の地で磨かれている。

●韓国のスイーツ事情

 韓国料理の最後を締めくくる韓国的なデザートが少ない一方で、韓国でのスイーツ人気は確実に高まっている。韓国では数年前からカフェブームが起こっており、生クリームやアイスクリーム、フルーツを載せたワッフルや、ニューヨークスタイルのカップケーキが人気を集めている。ソウルでも流行の発信地として知られる弘大、三清洞といった街に、どんどん新しいカフェができている。

●店舗データ地図

店名:薬膳甘味千の花
住所:東京都渋谷区広尾5-18-8
電話:03-3446-2320
http://yk-sennohana.com

bofi(ペ・ヨンジュン公式グッズサイト)
http://www.bofi.jp/

プロフィール

八田靖史(はった・やすし)

コリアンフードコラムニスト。1976年生まれ。東京学芸大学アジア研究学科卒業。1999年より1年3カ月間韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年に韓国料理をテーマにしたメールマガジン「コリアうめーや!!」を創刊。同名のホームページ(http://www.koparis.com/~hatta/)も開設し、雑誌、新聞などでも執筆活動も開始する。著書に『八田式「イキのいい韓国語あります。」』『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(いずれも学研)がある。

日々、食べている韓国料理を日記形式で紹介するブログ「韓食日記」も運営中(http://koriume.blog43.fc2.com/)。 ※執筆者の新著が出ました。「魅力探求!韓国料理」(小学館)。

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