写真・図版 5月8日、中国の上海市で、新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込めるため1カ月余り前に始まったロックダウン(都市封鎖)は、まだしばらく解除されそうにない。上海で5日撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

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 [上海/北京 8日 ロイター] - 中国の上海市で、新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込めるため1カ月余り前に始まったロックダウン(都市封鎖)は、まだしばらく解除されそうにない。事情に詳しい複数の関係者がロイターに、上海市は隔離区域外の新規感染者を5月後半までにゼロにするための取り組みを改めて強化している、と明かしたからだ。

 関係者の話では、市内の新規感染者数に減少傾向が見られるものの、リバウンド(感染再拡大)の恐れがあるため、厳しい規制は今月いっぱい続けられる見通し。幾つかの地区の当局は、住民に対していったん短時間の散歩や買い物を許可した後、再び自宅にとどまるよう指示を出した。

 中国のソーシャルメディアで拡散されたある動画には、防護服をまとった警官と、付近で陽性者が出たために隔離施設に入るよう命じられた住民らが言い争う様子が映っている。警官の1人が「これはわれわれが完全に感染を排除できるようにする措置だ。私になぜ(こんな命令を出すのか)聞くな。そこに疑問の余地などない。われわれは国家の方針に従わなければならない」と説明する声も聞こえてくる。

 上海市はロイターのコメント要請に回答していない。

 市民の間では、長引くロックダウンや隔離施設に入ることへの懸念から、不満やこの動画にあるような口論が広がっている。隔離施設にはシャワーやその他基本的な生活を整える設備がないケースがあることも不安要素の1つだ。

 <北京は住民が外出自粛>

 首都北京でもスポーツジムや娯楽施設が閉じられ、外食は禁止されているほか、一部の路線バスと地下鉄も運休し、多くの住民は外出を自粛している状況にある。

 北京市内で暮らす50歳の男性は人通りが途絶えた道路や閉鎖された地下鉄の駅などを写真に収めながら「非常に不思議な感じがする。夏場に空っぽの道路を目にしたのは、北京に何年も住んで初めてのことだ」と語った。

 引き続き営業している店舗も客足はまばら。人々は感染者と濃厚に接触して隔離施設入りを強制されるリスクを避けたがっている。

 ある理髪店の店主は、全住民が携帯電話の監視ソフト使用を義務付けられている点に触れて「われわれの北側のモールやオフィスは封鎖されている。住民がそこを訪れれば、アプリによって濃厚接触者と認定されかねない。現在の感染拡大で誰もが本当に不安だらけになっている」と打ち明けた。

 <悪化する雇用>

 国営メディアは、李克強首相が7日の政府当局者との電話会議で、特に中小企業が雇用を維持できるよう「できる限り多くの」経営者を支援すると約束したと報じた。

 中国の3月の失業率は5.8%と2020年5月以降で最も高く、31都市に限れば過去最悪の6.0%に達している。しかも4月は上海のロックダウンや他の地域の感染対策に伴う規制が強化により、労働市場の逆風は一段と強まった。

 それでも中国政府は新型コロナウイルスを一掃する決意を緩めていない。先週にはゼロコロナ政策を批判すれば処罰する意向も示唆。多くの都市では定期的な検査が日常生活の一部と化し、当局はそうした検査こそが大規模な封鎖や移動制限を避け、感染の早期発見と封じ込めに役立つと期待している。

 北京では8日、朝陽区や房山区、豊台区などで検査を受けるための住民の行列が発生し、朝陽区のある地域では住民に検査を受けろとのメッセージを繰り返す大音量のスピーカーを持って担当者が巡回する光景も見られた。

 検査義務がない多くの住民も、出勤やさまざまな施設への入場には最新の陰性証明提示が不可欠になっている。

 北京の1日当たり新規感染者数は数十人と、上海に比べるとずっと少ない。上海の新規感染者は8日時点で9日連続減少したが、なお数千人規模。共産党や市の幹部からは楽観論を戒める声が出ている。