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焦点:米穀物急騰、消費者への影響は限定的か

2012年7月20日

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7月19日、米中西部の大干ばつを受けて穀物価格が急騰しているが、米国の食品加工メーカーは、少なくとも短期的には値上げを回避する公算が大きい。写真は18日、インディアナで撮影(2012年 ロイター/John Sommers)

 [ニューヨーク 19日 ロイター] 米中西部の大干ばつを受けて穀物価格が急騰しているが、米国の食品加工メーカーは、少なくとも短期的には値上げを回避する公算が大きい。

 穀物以外の商品が値下がりしていることに加え、メーカーは価格変動リスクをヘッジしている。また、個人消費が低迷する中、値上げに踏み切れば売り上げに影響が出るとの懸念も、値上げを抑制する要因になる可能性が高い。

 エドワード・ジョーンズのアナリスト、ジャック・ルソ氏は「価格が急騰している商品は限られており、企業側にも値上げの余地がない」と述べた。

 トウモロコシは家畜の飼料となるほか、甘味料、トルティーヤチップス、バーボンなど様々な食品の原材料として使われている。

 干ばつの影響でトウモロコシ先物は6月初旬以降46%急騰。大豆、小麦も大幅に値上がりしている。

 ビルサック農務長官は今週、飼料価格の高騰で食肉価格が上昇すると予想。ただ、飼育コストの上昇で生産業者が出荷を前倒しするため、すぐには価格上昇につながらない可能性があるとの見方も示した。

 トウモロコシ価格の上昇は通常、ホーメル・フーズ、ケロッグ、ラルコープ・ホールディングス、ペプシコなど様々な企業の収益を圧迫する。

 ただ今回のケースでは、価格の高騰が穀物に限られており、燃料や金属など他の主要商品には影響が出ていない。このため、加工食品の価格が軒並み上昇する可能性は低いとみられている。

 <原材料コストを下方修正>

 実際、コカコーラは今週の決算発表で、今年の原材料コストの予想を下方修正している。同社は、甘味料としてトウモロコシを原材料とするぶどう糖果糖液糖を大量に使用しているが、今年の原材料コストの予想を従来の3億5000万─4億5000万ドル増から3億ドル増に下方修正した。

 同社は燃料、プラスチック、アルミニウム、コーヒーなども大量に使用。そうした原材料の価格圧力は以前に比べ緩和している。

 ジャニー・キャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョナサン・フィーニー氏によると、砂糖、ココア、ピーナツ、デュラム小麦などの価格が急落しており、食品加工メーカーの8割では原材料コストが前年を下回っている。

 企業は価格変動リスクをヘッジするため、早い段階で仕入れ価格を固定しており、これがコスト抑制に効果を発揮している。特にここ数年は、商品価格の変動が激しくなっており、多くのメーカーでリスクヘッジが高度化しているという。

 シリアル製品の「チェリオス」や「フィルズベリー」などの食品ブランドを展開するゼネラル・ミルズは今月、トウモロコシ価格の急騰を受けても、社内の原材料価格の見通しに変更はないと表明した。

 同社は今年の原材料のコストの約5割をヘッジ済み。昨年は原材料コストが10%以上増加したが、今年は2─3%の増加にとどまる見通しという。

 ケン・パウエル最高経営責任者(CEO)は今月10日のインタビューで「小売価格は総じて変わらないはずだ」との見通しを示した。

 企業はヘッジ戦略の詳細を公表しないことが多く、商品価格がどの程度上昇すれば価格に影響が出るか、予想することは難しい。

 ただ、フィーニー氏によると、粗利益率が40%前後の典型的な食品加工メーカーでは、小売価格を1%値上げすれば、原材料コストの上昇分を約5%ポイント相殺できる。

 原材料コストが2倍になっても20%の値上げで対応できるため、現段階では原材料コストよりも個人消費の低迷を重視する可能性が高いという。

 <食肉価格は上昇へ>

 もっとも、スミスフィールド・フーズやタイソン・フーズなど、食肉加工メーカーでは事情が異なる。

 シティバンクのインスティテューショナル・クライアント・グループの商品リサーチ担当バイスプレジデント、スターリング・スミス氏は、飼料価格の上昇で鶏肉・豚肉・牛肉の生産者は値上げを迫られると予想。

 飼育コストが上昇すれば、個体がまだ若く、体が小さい段階で出荷することになる。このため短期的には供給が増えるが、通常の出荷時期の供給が減ることになる。

 鶏・豚・牛は飼育期間が異なるため、価格に影響が出る時期は異なる。同氏によると、鶏肉は約3カ月後、豚肉は約4─6カ月後、牛肉は約6─8カ月後に価格に影響が出る見通しという。

 干ばつは現在も続いているため、最終的にどの程度の影響が出るかは不明。

 ただ、干ばつが続いた場合、価格は高止まりする可能性が高く、コスト意識の高い肉好きの消費者は、安い肉を探す以外、選択肢がなくなる可能性がある。

 (Martinne Geller記者;翻訳 深滝壱哉 編集 山川薫)

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