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冒険家・風間さん、バイク旅で日欧の医療の差を痛感

2007年09月12日

 「バイクの冒険家」として活躍し、04年にレース中の事故で左足に大けがを負った風間深志さん(56)=小平市在住=がこの夏、復活をかけたユーラシア大陸横断の旅に挑んだ。途中、ヨーロッパの先端医療施設を訪ね、自らの治療経験と重ねながら、日本との「医療の差」について考える旅だったという。

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ロシアでバイクにまたがる風間深志さん(本人提供)

 風間さんは04年1月、出場していたパリ・ダカールラリーの最中に、モロッコで大型トラックと正面衝突し、左のひざから下を粉砕・複雑骨折した。

 空路、パリの公営病院に運ばれた。世界中のスポーツ選手がけがの治療に訪れることで知られ、元横綱の貴乃花もひざを治療したという病院だ。医師は「5月までいれば歩いて帰れるよ」と話したが、フランス人なら無料の医療費が1日15万円もかかり、1カ月で帰国せざるを得なかった。

 その後の日本での治療は難航した。感染症にかかり、ひざの「皿」(膝蓋(しつがい)骨)を取り除かねばならなくなった。手術を繰り返したが、ひざと足首に障害が残り、今もつえが手放せない。

 それでもバイクに乗ることはできる。途中から診てもらっている帝京大学病院(板橋区)の医師らの支援を受け、ユーラシア大陸を横断する旅を決行した。

 6月19日にロシア東部のウラジオストクを出発。1万8000キロを走破し、8月5日、ゴールのポルトガルに到着した。速さを競うこれまでの冒険とは違い、雄大な景色を楽しみながらの耐久旅行。途中、ロシア、ドイツ、フランスで先端病院を訪問した。

 その一つ、ドイツの外傷専門病院「トラウマセンター」では、1日に何度もドクターヘリが発着していた。山岳事故や交通事故の重傷患者が運ばれるたび、骨、関節、血液などそれぞれの専門医がチームを組んで素早く対応する。

 社会復帰のためのリハビリ施設も充実していた。実物と同じ道具をそろえたダイニングキッチンがあり、庭には歩行訓練用のさまざまな路面や家庭菜園まであった。

 「日本にもこんな専門病院があれば……」。足が不自由になった無念の思いを鎮めるためにも、日本で外傷治療態勢の充実を訴えていこうという気持ちが固まった。

 大陸横断を機に、世界保健機関(WHO)のキャンペーン「運動器の10年」の、日本での親善大使にも就任した。

 風間さんはこれまで、史上初のバイクによる北極点・南極点到達など、数々の快挙を成し遂げてきた。同じような冒険はもうできない。だが今は、「次の、良いテーマをもらった」と受け止めている。

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