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コラム「私のミカタ」

「子どもを育てたい社会のつくり方」

2006年06月07日
株式会社イー・ウーマン代表取締役社長 佐々木 かをり

 「子どもを産みたい!」という働く女性が、70.3%。2005年12月に実施されたイー・ウーマン調査の結果だ。「産めない」と答えた10.3%を引いて換算すると、実に78.4%の働く女性たちが、子どもを産みたいと答えている。

少子化? 皆、産みたいんです

 子どもを産みたくないと思っている女性が多いのではないか。女性が仕事を持つようになったのが少子化の原因ではないか。などの意見を耳にすることがあるが、現実は違うようだ。8割近い働く女性たちが子どもを産みたがっているし、仕事を持つ女性のほうが出生率が高いというデータも発表されている。働く女性に子どもが多いのではないかというのは、生活の中でも実感する。私の子どもが通う保育園を見ても、兄弟のいる家庭が多い。

でも、懸念があります

 では、「産みたい」という女性たちが多いのに、実際に「産む」というところにシフトする人は少ない、ということなのだろうか。もしそうだとしたら原因はなんだろうかと考えてきた。実際に産んだ後のことが心配だということではないかと、私は仮説を立てている。今回のイー・ウーマン調査でも、面白い結果が出た。今、子どもがいない女性たちに「子どもを持つことが、あなたの仕事に影響を与えると思いますか?」と聞いたら、なんと半分以上の54.9%の女性が「マイナスの影響」を与えるだろうと回答しているのだ。子どもはほしいけれど、きっと仕事に悪影響があるだろう。そんな懸念があることがわかる。わが社にも、かつて不妊相談中という女性が入社してきた。彼女は、社内のワーキングマザーの楽しそうな生活に刺激されてか、1年後に妊娠。めでたくワーキングマザーの仲間入りをした。医学的には不妊症ではなかった彼女が妊娠したのは、心が安心したから。できそうだという気持ちになったからではないかと、想像している。

子どもが、仕事にプラスの影響!

 子どもを産むことは、仕事にマイナスなのだろうか? 「子どもを持つことが、あなたの仕事に影響を与えましたか?」と、子どものいる、働く女性たちに聞いてみた。イー・ウーマン調査の結果は、「プラスの影響」と答えた人が、なんと56.2%! 「影響なし」が7.4%。数字から見ると、マイナスの影響がなかった人たちが63.6%ということになる。これは、子どものいない女性たちの不安を消してくれるうれしい数字。私はいつも「案ずるより産むが易し」というが(笑)、子どもを産んだことで、人生だけでなく、仕事にもプラスになっていると、実際に答えている女性たちがこんなにいるということは、もっともっと伝えられてもいいのでは?

もっと、楽しい家庭像も、みせましょう

 街中で子連れの家族を見かけた。テレビで、子どもたちのいる楽しそうな家庭を見た。学校の様子をテレビで見て、学習に真剣な子どもたちのまなざしを見た。……そんな、プラスの側面も、テレビや雑誌など、メディアが取り上げてくれるといいなあ、と思っている。報道番組には役割がある。弱者にたって、課題を報道すること。その視点からみると、保育園が足りないことや、子どもを持つことで仕事に悪影響が出たという36.4%の人たちの声を大きく伝えることになる。しかし、プラスの人もいることがもっと伝わったら、多くの女性たち、男性たちの気持ちを動かすのではないだろうか。子どもを産む前の人に、脅かしすぎなんじゃないかなあと、考えてしまう。もうすこし、子どもの笑顔を伝えませんか。もうすこし、ワーキングマザーの楽しみの部分を伝えませんか。それが、わたしの提案する少子化対策です。


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プロフィール

佐々木 かをり

1983年上智大学外国語学部卒業。大学在学中より通訳として活躍。1987年に株式会社ユニカルインターナショナルを設立。2000年3月に株式会社イー・ウーマンを設立、代表取締役社長を務める。

内閣府「国民生活審議会」、「総合規制改革会議」委員なども務める。2児の母。

著書に「自分が輝く7つの発想」(光文社・知恵の森文庫)、「妊婦だって働くよ」(WAVE出版)、「ギブ&ギブンの発想」(ジャストシステム)、「ミリオネ−ゼの手帳術 」(ディスカヴァ−・トゥエンティワン)

翻訳に「インテル戦略転換」(七賢出版)、「さよならメリルリンチ」(日経BP)など

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