先生の忙しさは、文部科学省が昨年４月に発表した１０年ぶりの調査で改めて浮き彫りになりました。
　公立小中学校の教員は平均で１日１１時間以上働き、小学校で３割、中学校で６割の教員が「過労死ライン」とされる「残業が月８０時間」を超えています。
　「脱ゆとり」にかじを切った２００８年の学習指導要領の改訂で、小中学校の授業時間は増えました。今回の調査と０６年度を比べ、授業とその準備時間は小中で１日当たり３０～３５分増えましたが、その他の仕事が減らないため、総時間が増えている形です。
　経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）が１３年に世界３４カ国・地域を対象に行った調査では日本の中学校教員が１週間に働く時間は最長で、各国平均の１・４倍に上りました。また、連合のシンクタンク「連合総研」が１５年に行った調査では、週に６０時間以上働く中学校の教員の割合は８６．９％と、建設業、製造業など他業種と比べ約２～２６倍高いことも分かりました。
　こうした実態を踏まえ、文科省は今年２月、これまで学校が担ってきた「放課後や夜間の見回り」や「学校徴収金の徴収・管理」など授業以外の仕事を仕分けし、地域や外部の人材を活用することを求める通知を、各都道府県や政令指定市の教育委員会に出しました。特に中学で教員の負担となっている部活動について、スポーツ庁は３月、週２日以上の休養日を設け、活動時間を「平日２時間、休日３時間程度」とするガイドラインを発表しました。
　対策が矢継ぎ早に打ち出されていますが、その実効性や中身について不十分さを指摘する声もあります。

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