幼児教育・保育の無償化には、消費税率１０％への引き上げによる増収分のうち約８千億円が充てられます。もともとは国の借金返済に充てられるお金の一部でしたが、安倍晋三首相が２０１７年の衆院選で増収分の使い道を変えて無償化に振り向けることを表明し、今年５月に関連法が成立しました。
　無償化の対象となるのはすべての３～５歳児と、住民税非課税世帯の０～２歳児。認可保育園や認定こども園の利用料が原則無料になり、幼稚園を利用する場合は月２万５７００円までが無償化されます。
　市区町村の認可を受けていない認可外保育施設の利用も、３～５歳児は月３万７０００円まで、０～２歳児は月４万２０００円までが無償化されます。ただ、保育士の配置人数や部屋の面積など、国が安全確保のために定めた基準を満たしていない施設も対象となり、保育の質の低下を懸念する声もあります。
　認可保育施設に入れない待機児童は今年４月時点で１万６７７２人にのぼりました。無償化が始まれば、子どもを無料で保育園に預けられる人と、預けたくても預けられなかった人との不公平感が強まりそうです。また、無償化によって保育ニーズが増え、施設整備が追いつかなくなることを懸念する自治体もあります。このため、待機児童解消のための施設整備を優先すべきだという声が上がっています。
　また、現行制度でも生活保護世帯や低所得のひとり親世帯の保育料はすでに無償化されています。今回の無償化は「高所得者へのバラマキだ」との批判もあります。
　保育を支える保育士をめぐっては、賃金の低さや子どもの人数に対する保育士の少なさも問題となっています。保育士が確保できずに、受け入れる子どもの人数を制限した保育園もありました。
　誰もが負担する消費税を原資に、無償化に踏み切ることをどう考えますか。みなさんのご意見をお寄せください。

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