<連載> ギミック・ジャケットの世界

10歳から集めレコード2万5千枚 64歳コレクターが企画展

植村和紀さんインタビュー

2017.11.02

 直径30センチのLP盤が入ったジャケットは、インテリアやアート作品として評価も高い。レコードジャケットを常設展示して10年目を迎えたミュージックジャケットギャラリー(MJG、東京都大田区、金羊社)。約2万5千枚のレコードを所有するコレクター植村和紀さん(64)が、自身の収集品を3カ月ごとにテーマを変えて展示している。

ギミック・ジャケットの世界
ミュージックジャケットギャラリー(MJG)でインタビューに答える植村和紀さん

 10周年となった今回の「ライブ・イン・ジャパン」展を含め、これまでに植村さんがMJGで企画したテーマは37になる。毎回1人で、展示可能な135枚のLPを選んでいる。
 ルノワールやマグリットら画家の作品をモチーフにした名画ジャケット特集(2016年)、風刺や揶揄を込めて模倣したパロディー風味のあるジャケット特集(2009年)などのほか、2011年夏は、東日本大震災と原発問題をうけ、1960~80年代にかけての反戦、反差別、反核、チャリティーといったメッセージ性のあるジャケットを展示した。ジャケットに面白い仕掛けを施したり、ジャケット・デザインそのものを変形・可動させたりして驚きや意外性を生み出した「ギミック・ジャケット」(2010年)を取り上げる特集で取り上げた。
 今夏はビートルズの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の発売から50年を記念し、60年代に勃興したヒッピー・カルチャーの象徴でもあるサイケデリックな作品にスポットを当てた。

 植村さんにレコードの魅力や常設展示の背景などについて聞いた。

――レコードを集め始めたのはいつから
 洋楽に興味を持ち始めたのが10歳のころ。ちょうど親戚にラジオ局にバイトしていた人がいて、まとまった数のレコードを譲ってくれたのが始まりです。大学を出てオリジナル・コンフィデンス社や東芝EMIの制作や宣伝など音楽に密着した職場だったことも幸いでした。

――何が魅力ですか
 ジャケットです。レコードの収録曲を全部は思い出せないけれどジャケットは大体覚えています。集めた2万枚ぐらいは全部覚えているから企画もできます。

――レコードが隆盛を誇ったのは80年代後半までの30、40年間ですが、その時代の雰囲気をうまくパッケージしていますね
 レコード芸術は五感で楽しめます。ジャケットは目で楽しむ美術、レコードは耳で聴いて楽しむ音楽、ライナーノーツは読む文学、そして塩化ビニール盤の臭いを嗅ぎ、ジャケットのさわり心地を手で確かめる。買ったときのその場の雰囲気も含め、思い出が全ての記録(レコード)になります。
 本当は美大に行ってジャケット・デザイナーになりたかったなあ。

――常設展示のきっかけは
 2007年から全国の会場を1週間程度で巡る展示会を始めたところ、新社屋が完成した金羊社の経営者から常設展示の話がありました。創業91年になる金羊社は、東芝音楽工業(東芝EMIの前身)のレコード、カセット、CDなどのジャケットやブックレットなど音楽業界のパッケージ製品を取り扱ってきました。そのジャケット文化を後世に残すべきだという考えに私も賛同したわけです。

――再び今回の「ライブ・イン・ジャパン」展ですが、魅力を強調するとしたら
 アーティスト本人の死亡や意向などにもよりますが、日本独自の企画だったため、当時の契約条件や収録音源の技術的な問題などから、いまだにCD化されていないものがほとんどです。一方、日本独特のジャケット・デザインや帯の人気もあって海外のコレクターからも注目されています。キングクリムゾンが1981年の日本公演すべてを8枚のCDで発売するなど「ライブ・イン・ジャパン」の需要は少しずつ増えています。

  • この連載について / ギミック・ジャケットの世界

    昔懐かしい黒いレコード盤には、ジャケット自体を楽しめる仕掛けが付いた「ギミック・ジャケット」が存在します。国内有数のレコード収集家の貴重なコレクションを紹介。動画も交え、知られざる世界を解説します。

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