<連載> ギミック・ジャケットの世界

気分もあがる仕掛け 王道のポップアップ・ジャケ

植村和紀のギミック・ジャケットの世界(2)

2017.11.09

 連載「ギミック・ジャケットの世界」の2回目は、ギミック・ジャケの中でも王道ともいえるポップアップ・ジャケの3点です。ポップアップとは、英語表記のPOP-UPでイメージされるように、立ち上がるとか飛び出すといったような仕掛けです。30cm四方という大きさをフルに生かしたポップアップは、ゲイトフォールド(見開き)を開くと何が出てくるのだろうというワクワク感とサプライズ感が共に堪能できます。

ピラミッド・パワー全開!
AMBROSIA / SOMEWHERE I’VE NEVER TRAVELLED (20TH CENTURY 1976)

レコードジャケット

 米国ロサンゼルス出身のプログレ系バンドによる2作目。当時流行していたオカルティズムを反映したピラミッドが組み立て式でフロント・カバーから立ち上がる仕掛け。このピラミッド・パワーもあって彼らのヒット作となりました。またこのピラミッド・パワーのおかげで、ジャケットも奇麗なままでカビがつかずレコード盤も傷がつかないという都市伝説も生まれています(?)。

そのまんま全員起立!
JETHRO TULL / STAND UP (CHRYSALIS 1969)

レコードジャケット

 英国の至宝ジェスロ・タルの2作目。アルバムを見開くと、タイトルそのままにメンバー4人が全員起立するという仕掛け。印刷工場の職人さんが1枚ずつ手作業でポップアップを貼り付けていたという苦労がしのばれます。ニューヨークの彫刻家であるジェームス・グラッショーによる見事な作品で、彼は他にはヤードバーズの米国盤のジャケット・デザインも2作手がけています。

アナグマがもっこり
BADGER / ONE LIVE BADGER (ATLANTIC 1973)

レコードジャケット

 イエスの最初のキーボード奏者であったトニー・ケイが率いたバンドのデビュー作。見開きジャケに仕込まれたアナグマはしっかりとしっぽもついています。イエスでもおなじみのロジャー・ディーンによる作品。ロジャーが少年時代の一時期香港に住んでいた際に影響を受けたと思われる中国の水墨画のようなアートワークも素晴らしい出来栄えです。

朝日新聞デジタルの「ピラミッド・全員起立…飛びだすレコードジャケット」ページでも関連記事を掲載しています。ぜひご覧ください。

●筆者プロフィル 植村 和紀(うえむら・かずのり)

 1953年、千葉県生まれ。大学卒業後、オリジナル・コンフィデンス社に入社。93年に東芝EMIに入社し、邦楽・洋楽の宣伝・制作、デザイン部で編集担当。現在はフリーの収集家として活動中。ミュージックジャケットギャラリー(https://www.kinyosha.co.jp/mjg/)の雑誌版を月刊『ステレオ』(音楽之友社刊)に連載中。著書に『洋楽日本盤のレコード・デザイン』(グラフィック社刊)。

  • この連載について / ギミック・ジャケットの世界

    昔懐かしい黒いレコード盤には、ジャケット自体を楽しめる仕掛けが付いた「ギミック・ジャケット」が存在します。国内有数のレコード収集家の貴重なコレクションを紹介。動画も交え、知られざる世界を解説します。

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