<連載> ギミック・ジャケットの世界

開けゴマ! 異世界広がるスタンド型ジャケット

植村和紀のギミック・ジャケットの世界(3)

2017.11.17

 連載「ギミック・ジャケットの世界」の3回目は、ジャケットを広げるとジャケットそのものが立つというスタンド型の5点です。30センチ四方というLPならではの大きさをフルに生かした迫力があり、広げた内部のデザインにも遊びゴコロにあふれた面白さがあります。この遊びゴコロこそが、LP時代のアートワークを手がけたデザイナーならではの真骨頂であり、だいご味ともいえるでしょう。

神秘の扉を開けると……
QUINTESSENCE / QUINTESSENCE (ISLAND 1970)

キリスト開陳前
キリストお出まし

 英国のワールド・ミュージック志向の6人組、プログレ・バンドの2作目。フロント・カバーを半分ずつ蝶番でつながった窓のように広げると、神々しいキリストが現れるという仕掛け。鏡のようにシンメトリー(左右対称)になったフロント・カバーも彼らの音楽性にマッチし、神秘感を出しています。

変幻自在のレインボー
CURVED AIR / SECOND ALBUM (WARNER BROS. 1971)

虹色めくる前
虹色ジャケット全開

 ダリル・ウェーが率いた英国プログレ・バンドの2作目。デビュー作は丸型のピクチャー・ディスクがそのままジャケットとなって話題を集めましたが、今作も内部の折りたたみ方を変えることでいくつかの虹の色パターンが変わる仕掛け。ジャケット・デザインの巨匠ジョン・コッシュによるアートワークです。

リアルなジーンズのデニム感
PAUL DAVIS / RIDE `EM COWBOY (BANG 1974)

デニム地のジャケット
西部の酒場出現

 米国のシンガー・ソングライター、ポール・デイヴィスの3作目。タイトルの刺繡にまで凹凸感のあるエンボス仕様になったリアルなジージャンをめくると、その裏が、メンバーの集まっている酒場への扉になっています。歌詞が載った内袋がシャツになり、バック・カバーにもリアルなデニム感があふれています。

3面見開きの迫力のステージ
FOCUS / AT THE RAINBOW (POLYDOR 1973)

雲形変形ジャケット
アラブの宮殿

 オランダを代表する4人組プログレ・バンド、フォーカスの4作目。独自に型抜きされた変形のフロント・カバーを広げると、中近東の宮殿のようなステージに各メンバーのライブ写真が載っています。3面での見開きは、LPサイズならではの迫力にあふれたステージングを思わせる仕掛けになっています。

ドラキュラ伯爵参上!
HARRY NILSSON / SON OF / SON OF DRACULA (RAPPLE 1974)

隠れドラキュラ
ドラキュラ出現

 米国シンガー・ソングライター、ニルソンのアップル映画でのサントラ盤。両サイドの変形カバーをめくると、ニルソンが扮するドラキュラ伯爵がマントを広げるという仕掛け。カバーの裏には、リンゴ・スターをはじめ、さまざまな映画のシーンが見事にコラージュされていて、これも楽しめます。

朝日新聞デジタルの「キリストか、ドラキュラか ジャケット広げて現れるのは」ページでも関連記事を掲載しています。ぜひご覧ください。

●筆者プロフィル 植村 和紀(うえむら・かずのり)

 1953年、千葉県生まれ。大学卒業後、オリジナル・コンフィデンス社に入社。93年に東芝EMIに入社し、邦楽・洋楽の宣伝・制作、デザイン部で編集担当。現在はフリーの収集家として活動中。ミュージックジャケットギャラリー(https://www.kinyosha.co.jp/mjg/)の雑誌版を月刊『ステレオ』(音楽之友社刊)に連載中。著書に『洋楽日本盤のレコード・デザイン』(グラフィック社刊)。

  • この連載について / ギミック・ジャケットの世界

    昔懐かしい黒いレコード盤には、ジャケット自体を楽しめる仕掛けが付いた「ギミック・ジャケット」が存在します。国内有数のレコード収集家の貴重なコレクションを紹介。動画も交え、知られざる世界を解説します。

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