石田純子さん/「おしゃれ」は小さいことの積み重ね

インタビュー・スタイリスト 石田純子さん

2017.12.15

 25年ほど前、当時ファッション誌の編集者で、周りはおしゃれ好きのファッション関係者ばかりでした。そんななか、息子の保育園や小学校で衝撃を受けました。

石田先生

 入学式や保護者会などできちんとした格好をしているお母さん方が、親子遠足や運動会などカジュアルな場になったとたん、ちぐはぐな服装になっていたことです。トレーナーにジーパン姿にスニーカーとか、チノパンとか。まだ大人のカジュアルが浸透しておらず、よそゆきと家着のあいだがあまりなかった時代ではありますが、業界との意識の差にびっくりしました。

 ファッションページを作り、おしゃれの大切さを伝えていたつもりなのに、何も伝わっていないんだ――。そう気づきました。そこからです。普通の女性のおしゃれを底上げしないと、日本のおしゃれは成熟しないと思うようになったのは。

 その後、NHKの番組に出演し、一般の方をアドバイスする機会を得ました。そこから伊勢丹(現・三越伊勢丹)の依頼を受け、コンサルタントを始めました。

50代からのキレイは「やわらかアタマ」で挑むべし

 多くの女性を見てきましたが、50代になるとおしゃれが難しくなると感じる方は多いですね。

 理由は、自分の基準にとらわれていることです。「20代の頃、夫にピンクの口紅を褒められた」「OL時代に花柄が似合うといわれた」など、自分は変化しているのに、一番キレイだったであろう時代で止まっているのです。

 たいていの人は、自分の体形を知りません。だから無駄に隠し過ぎる。「私には無理」と言って、努力もしていない方もいます。

 「何とかしなきゃ」と思うなら、まず長年築いたマイルールを壊しましょう。「これは似合わない」「これが似合っているはずだ」という基準を作っているのは自分です。カギは、素直になること。褒められたら否定せず、笑顔で受け入れる。大人のおしゃれに謙虚さはいりません。自分の体形を知り、いいところを必死に探しましょう。

これなら実践できる!「おしゃれ」の極意

 おしゃれは、一にも二にも三にも「バランス」です。私はいつも、靴までコーディネートして全身鏡で見ています。鏡に近づき過ぎるのはNG。ぐっとひいて、色やバランスを確認してください。

 おしゃれな人とそうでない人の違いは、色やアイテムのチョイスなど、その人らしい着こなしができているかどうかだと思います。たとえば流行の服を着ていても、マネキンが着ているようにセオリー通りに着るだけなら、おしゃれ上手とはいえません。また、今年らしい服を着ても、髪形とメイク、靴が昔のままだとおしゃれにみえません。

 サイズ感も重要です。日本人は大きめを着る人が多いように思います。逆に、昔のサイズを無理やり着ている人も。インナーの開き具合など「こんなところ誰も見ていないわよ」と思うところが、意外と見られています。服にはあわせるポイントがあります。自分の体形を知り、ちょうどいいサイズを選びましょう。

 欠点を隠すだけではなく、いいところを目立たせるコーディネートも大切です。大人のおしゃれは小さいことの積み重ね。姿勢を正したり、ウエスト位置を直したり、普段から着方を少し変えることで、何歳か若く見えます。

 着たことのないアイテムを一つ、選んでみるのもいいですね。それを使ったコーディネートを考えて、ワクワク、ドキドキしてみる。「夫と一緒にディナーに行く」「同窓会で久しぶりに旧友と会う」など、少し華やかな目的をつくって、服装を考えてみるのも一案です。

 メーカーが設定した年代のブランドの売り場に行くと、自分に合う物がないという声はよく聞きます。メーカーの問題もありますが、いつまでもキレイでいたいと思うなら、選ぶものも必ずしもメーカーが設定したブランドではなく、エイジレスでいいのではない でしょうか。

女性のキレイのため、世の男性にもひとこと

 ここまで女性に注文ばかりしていますが、日本のおしゃれが成熟するには、男性が変わらないといけないと真剣に思っています。男性は、女性の髪形や服装などの変化に気づいてあげてほしい。そして褒めてほしいですね。なかには「うちのはいいんです」などと言って、妻がキレイになることにストップをかける男性もいますが、小さいことをいわず、大きい気持ちで見守ってください。

 おしゃれすると、みんな笑顔になります。だって楽しいし、明るくなれるから。この年代は、来年はどうなっているか分かりません(笑)。早く楽しんだ方が勝ちです。今すぐチャレンジしましょう。

(聞き手・吉浜織恵、撮影・計良智忠)


石田 純子(いしだ・じゅんこ) スタイリスト。ファッション誌編集者を経て独立。女性誌のファッションページやテレビなどのスタイリングを手がけ、女優やアナウンサーも数多く担当する。「大人の着こなしバイブル」など著作も多数。一般向けの着こなし講座は人気で、「アクセサリーひとつ変えただけで、雰囲気がガラリと変わった」などと好評。持論は「その年齢に合うすてきさが着こなしに出ることが、本当のおしゃれ」。

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