<連載> デジタルReライフの勧め

SNSもいろいろ フェイスブックはアナログ世代にうってつけ?

たくきよしみつ「デジタルReライフの勧め」(4)

2018.10.10

  文筆家のたくきよしみつさんが主に60代からのデジタルライフを勧める連載。今回は、主なSNSについて説明し、どれがReライフ世代には使い勝手が良いかを説明します。

 前々回の連載2回目で、フェイスブックを使うことで世界が広がるという話をしました。前回の連載3回目では、スマホやLINEなどでネットに縛られているような生活は煩わしいという話をしました。
 2回続けて読んで、なにか矛盾しているように思われた方もいるかもしれません。それは、フェイスブックもLINEも同じ「SNS」という言葉でひとくくりにされているからでしょう。
 SNSとはSocial Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の略です。世界規模で使われている「4大SNS」が、LINE、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムです(利用者数順)。
 この四つは、性格がかなり異なります。

LINEは「連絡ツール」と割り切る

 LINEは東日本大震災の後に誕生しました。災害の際に電話やメールでは連絡が取れなくなった家族や、友人同士をつなぐシンプルな情報手段ができないだろうかという発想から生まれたそうです。
 もともとが限られた人間関係内の情報交換ツールとして設計されているので、今も使い方としては親しい者同士の「おしゃべり」や要件の伝達が中心です。不特定多数に向けて情報発信するとか、深いテーマで話を掘り下げるという用途には向いていません。SNSとはいっても、むしろ「連絡ツール」と考えた方がよいでしょう。
 私はLINEは使っていません。特定のグループ内で頻繁におしゃべりをすることにはなじめないし、煩わしいからです。
 よく「既読スルーされた」などという会話を耳にします。これは、「送信した内容は読まれているのに返信がない」という意味です。リアルタイムにおしゃべりする感覚だと、場合によってはストレスの原因になります。LINEが、いじめの場になっていることはよくありますし、殺人事件に発展した例さえありましたね。
 しかし、LINEのおかげで、それまでほとんどなかった親子の会話が復活したというような例もあるので、親子の連絡ツールなどに使うにはよいと思います。

ツイッターは世間への発信が得意

 ツイッターはLINEとは違って、主に不特定多数の「世間」に向けて自分の意見や知っている情報などを発信する目的で使われています。最も手軽で金のかからない「PRの道具」ととらえているユーザーもたくさんいます。
 トランプ大統領が、ツイッターで過激な発言を繰り返すのはもはや一種のショーになっていますし、政治家や学者、タレントなどが大喜利もどきのやりとりをしたり、けんかや失言をしたりするのを一般ユーザーたちが楽しむような構図もできあがっています。
 最大の特徴は、280字(半角英数文字の場合。漢字や平仮名などの「2バイト文字」は1字で2文字分カウントされるので140字)という文字数制限があり、長文が書けないことです。
 これは、言いたいことを簡潔な文章にまとめる訓練になる一方で、言葉足らずで誤解を生むことにもつながります。発信した後で、発言を削除はできますが、修正はきかないため、言葉尻を捕まえての言い争いなどもよく目にします。
 情報の拡散も速く、事件や事故が起きたときの決定的映像なども瞬時に流れてきます。テレビ局のスタッフが、投稿者に「この映像を使わせてくれ」とコメント欄で問い合わせているのもよく目にします。
 手軽さと即時性は「危険」とも隣り合わせです。20187月の西日本豪雨被害の際は、気象庁が大規模災害の注意喚起をしている中、総理大臣や防衛大臣を交えた「赤坂自民亭」なる酒宴を開いていた様子が、あろうことか出席した複数の議員からツイッターに投稿されたことで、国民の怒りをかいました。

インスタグラムの「耐えられない軽さ」

 インスタグラムはスマホから写真を投稿するという使い方に特化しており、投稿にコメントをつけることはできますが、長い文章のやりとりをするSNSではありません。
 写真に特化するのはいいとしても、アプリがスマホ用しかなく、パソコンから投稿できないというのが私には致命的です。
 私は、写真はちゃんとカメラで撮って、その写真に込めるメッセージや物語を頭の中に描きながら、パソコンで最低限編集してからネットに上げたいと考えています。スマホの内蔵カメラで撮ったものをそのままポンポンとネットに上げてしまう「だけ」のスタイルでは満足できないのです。
 「インスタ映え」という言葉が流行語になりましたが、これも、なんだかインスタグラムというサービスが主人で、それに人間が「仕えている」かのような言葉だなと感じてしまいます。道具やサービスが目的化してしまうと、人間はどんどん主役から降ろされて、道具やサービスの奴隷になりがちです。「インスタ文化」はすっかりあたりまえになりましたが、そうした「軽い」文化だけの世界になってしまうのは嫌だなあと思うのです。

お勧めなのはフェイスブック

たくきよしみつ連載4回目
筆者のフェイスブックには、カエルなどの小動物や趣味の狛犬の写真がよく登場する(たくきよしみつ撮影)

 フェイスブックは、LINE、ツイッター、インスタグラム的な機能がすべて含まれていて、総括的な使い方ができる汎用(はんよう)性の高いサービスです。
 発信する情報に文字数制限はありませんし、その情報を公開する範囲を細かく設定できます。個人同士のやりとりはメッセンジャーというLINEに似たツールでできます。
 論文のような長い文章も「ノート」という機能を使って書きためたり、公開したりできますし、写真や動画も制限なく発信できるので、YouTubeのような使い方もできます。企業やグループのアカウントも作れるので、商売に利用することもできます。
 WEBサイト(ホームページ)を持たずにフェイスブックに店のページを持つ個人商店なども増えました。私自身、個人のアカウント以外に、音楽作品を発信する「タヌパック」、地域情報を発信する「Nikko.Click」という二つのアカウントを管理しています。
 私は、中高年に向いているSNSはフェイスブックだと思っています。基本的に実名登録が義務づけられていて、大人としての責任あるやりとりが期待されていることが最大の理由ですが、「自分のペースが守れる」ということも大きなポイントです。
 ゆったりしたやりとりもあっさりしたやりとりも自在に組み立てられるので、言葉足らずでけんかになることもあまりないでしょう。つながる人同士のペースや癖が分かってくることで、人とのつきあい方もつかめます。
 「この人はいつもこうだよね」とか、「これを書くとあの人がコメントしてくるんじゃないかな」などと考えながら書き込んでいくペースがちょうどいいのです。こうした緩さやゆとりが、ネット上の人間関係ではとても重要になってきます。
 ONOFFの切り替えがやりやすいことも利点です。数日離れていても「既読スルーされた」などといわれることはないですし、「○年前の今日は何があった」などということをフェイスブックのシステムが教えてくれたりもするので、長い時間軸で自分の生活を見つめ直すきっかけにもなります。

 次回は、フェイスブックを使うにあたっての注意点などをお伝えします。

 デジタルを縦横に駆使して、執筆や作曲など多彩な表現活動を展開しているたくきよしみつさんは「デジタルReライフ」を推奨しています。それは、長年親しんだアナログ文化の本質を見失うことなく、デジタル技術を賢く使うことで、ライフスタイルを整えてゆく営みです。インターネットを通じていかに人とつながり、あなたらしい表現を発信していくか。この連載では、そのノウハウをご紹介します。

◇ 

たくき・よしみつ(鐸木 能光)

 1955年、福島生まれ。91年、原子力政策の闇をテーマにした小説「マリアの父親」で第4回小説すばる新人賞受賞。住んでいた福島県川内(かわうち)村で2011年、福島第一原発の原発事故に被災。その体験を元に「裸のフクシマ」(講談社)、「3・11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ」(岩波ジュニア文庫)を執筆。近著に「医者には絶対書けない幸せな死に方」(講談社+α新書)。作曲などの音楽活動、デジタル文化論、狛犬(こまいぬ)の研究などを幅広く手がけている。

公式サイト https://takuki.com/

  • この連載について / デジタルReライフの勧め

    アナログ世代こそが、デジタルを賢く使えるはず。60代の文筆家がデジタルツールを活用した「デジタルReライフ」のノウハウを伝授。長年親しんだアナログ文化の本質を見失わず、インターネットを通じて人とつながり、発信するコツを紹介します。

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