<連載> デジタルReライフの勧め

自分向きのパソコンは? タイプ別の特徴を教えます

たくきよしみつ「デジタルReライフの勧め」(6)

2018.10.24

 文筆家のたくきよしみつさんが60代からのデジタルライフを勧める連載の第6回。自分の用途に合ったパソコンを選ぶため、様々なタイプ別の長所と短所について体験を交えて説明します。

 連載の3回目で私は「スマホに振り回されるな」と書き、「スマホで全部済むなどと思わず、パソコンを使いこなそう」と勧めました。しかし、近年パソコン事情はずいぶん様変わりし、自分に合ったパソコンを選ぶことが難しくなりました。

タブレットはパソコン代わりになるか?

たくきよしみつさん連載6回目
筆者が使っている2台のタブレット。iPad mini2(左)とAmazon Fire HD8(右)。価格がだいぶ違うが、性能的にはそんなに差はない。iPad mini2は購入時およそ5万円だったが、現在は2万円台半ば。Fire HD8(16GB)は筆者はAmazonのタイムセールで購入したので5480円(税込)だった。

 まず、今はスマホとパソコンの間を埋めるようにタブレットPCというものがあって、外ではスマホ、家ではタブレットという人が増えています。さて、タブレットはパソコンの代わりになるのでしょうか?

 ネットの閲覧やメール、写真や動画の閲覧、音楽鑑賞といった用途であれば、タブレットだけでも済んでしまいます。簡単に持ち運べる点は、むしろいいかもしれません。

 価格も、スマホより安いものがあります。私は最近Amazonが出している「Fire HD8」というタブレットをセール価格5480円(税込み)で購入しました。ネットに出ている情報をもとにGooglePlay(Androidアプリのネットストア)をインストールすれば、基本ソフト(OS)がアンドロイドのパソコンとして普通に使えてしまうことに驚きました。

 ワイヤレス(Blutooth)キーボードを組み込んだ専用ケースなどもいろいろ売られているので、簡単な文書作成やメールくらいなら、ノートパソコン(PC)とあまり変わらない操作性でできてしまいます。

 かつての私は、泊まりがけの外出にはノートPCを持っていきました。ところが、タブレットを買ってからはノートはしまい込んだままで、全く使わなくなりました。

ノートかデスクトップか

 しかし、何度も書いてきたように、タブレットで複雑な作業をすることは難しいですし、無理にやろうとすると余計なストレスを抱え込みます。写真や文章、動画などをじっくり編集するといった作業には、タブレットではなく従来のパソコンを使うのがいちばんです。

 家で使うパソコンについては、頻繁に移動させるとか、置き場所がないという理由がない限りは、ノート型ではなくデスクトップを勧めます。

 デスクトップ型の利点を挙げれば、第1に故障したときの対応が簡単なこと。ノートだと、キーボード上にコーヒーをこぼしただけで本体全部を交換しなければならない場合もあるなど、大きな悲劇になりかねません。一方、デスクトップならキーボードを交換するだけで済みます。

 第2に、故障の確率が減ります。ノートは、ハードディスクや冷却ファンを狭いボディーに無理して押し込めているため、発熱に対して弱く、内蔵ハードディスクなどの寿命もデスクトップより短くなりがちです。

 第3にグレードアップが簡単です。マウスやディスプレーなど、周辺機器は簡単に交換できます。内蔵ハードディスクを、高速で壊れにくいSSD(ソリッド・ステート・ドライブ=回転系を持たない記憶ドライブ)に交換したり、メモリーを増設したりといったグレードアップも、ノートよりずっと簡単です。

 第4にコストパフォーマンスに優れています。多くの場合、同程度の性能であればデスクトップの方がノートより安価です。

 第5に快適である点。キーボード操作、マウス操作がノートよりずっと楽です。大きなディスプレーをつければ老眼の目にも見やすく、疲れにくくなります。

 また、ノートでもデスクトップでも、PCの内蔵ドライブに重要なデータを入れておくだけですと、壊れたときに取り返しがつきません。データは本体の外にも保存し、なおかつ二重三重にバックアップを取っておく必要があります。しかし、USBソケット数が限られているノートPCにUSBハブをつなぎ、さらに外部ドライブやプリンター、スキャナーなどを複数つないでいくと、たちまちタコ足配線のようになってぐちゃぐちゃになります。それならば、むしろデスクトップのほうがケーブル類をスッキリ固定でき、快適な環境が作れます。

WindowsとMacの価格逆転

 しかし、どんなに高性能でも、大きくてうるさいデスクトップマシンはストレスになりますよね。ディスプレーは大きければ老眼でも見やすく、気持ちがよいですが、パソコン本体は小さければ小さいほどいいに決まっています。ノートPCよりも小さくて、音がしなくて、しかし高性能なデスクトップマシンはないでしょうか。

たくきよしみつさん連載6回目
音楽制作専用マシンにしているMac mini。真ん中に写っている銀色の弁当箱のよう なのがそれ。小さくてもパワフル。ファンレス設計なのでほとんど音がしない。キーボードやマウスなどはWindows用のものをつけている。

 Macintosh(通称Mac)には「Mac mini」という優秀なコンパクトモデルが存在します。かつてMacは、Windowsマシンよりずっと高価でした。周辺機器などもMac独自の規格のものを選ばなければならず、それがまた高額でした。しかし、今ではコストパフォーマンスの点でWindowsマシンを逆転した感があります。周辺機器も、Windowsマシン用のものがそのまま使えるようになりました。

 私は数年前から音楽制作専用マシンとしてMac miniを使っていますが、購入当時の最高スペックでオーダーしても、同等の性能のWindowsマシンより数万円は安く、驚いたものです。弁当箱くらいの大きさで音もほとんどせず、それなのにUSBなどのソケットも多くて拡張性もまったく問題なし。ディスプレーやキーボード、マウス、外付けHDDなどはWindowsマシン用に持っていたものをそのままつないで使っています。Macがいいという人にはMac miniを勧めます。

小さくて静かなWindowsマシンがない

 私自身は、今でもMacで文章作成などのメインの仕事をする気にはなれません。使い慣れているテキストエディター(QXエディタ)、メールソフト(秀丸メール)、画像ソフト(IrfanView)、その他もろもろ、地味な仕事をするためのソフト環境は、フリーソフトを含めてWindows専用のものばかりだからです。音楽制作だけはMacに乗り換えましたが、音楽制作以外のすべての作業はWindowsでしています。

 しかし、小さくて静かで高性能なWindowsデスクトップマシンは、なかなかないのですね。パソコン製造から撤退する国内メーカーが増え、ますます選択肢が狭まりました。

 ここから先は少しマニアックな内容になりますが、そうした情報を求めているかたもいるでしょうから紹介します。

たくきよしみつさん連載6回目
筆者のメインマシン(Windows7のファンレスデスクトップ)。音がほとんどしない薄型で、机の下に置いている。

 私のメインマシン(OSはWindows7)は、某個人ショップのオリジナル商品である、ファンレス仕様のコンパクトなデスクトップマシンを若干改造したもので、極めて快適です。

 「ファンレス仕様」というのは、従来のデスクトップPCには必ずついていた重たいファン付き電源ユニットを使わず、ノートPCと同じ、ACアダプターの電源につなぐものです。ノートPCやMac miniもこの方法で電源ファンをなくしています。しかし、私のメインマシンは内部のファンレス電源ユニットが数年でダメになり、同じような部品をAmazonで探して交換しました。メモリーは増設し、内蔵HDDもダメになったのを機に、SSDに交換しています。

 それとは別に、メインマシンが壊れたときの緊急代替マシン用に、Mac miniよりも小さな中国製の怪しげなファンレスマシン(OSはWindows10)も持っています。これは驚くほど安くて心配したのですが、思ったよりもしっかりした製品でした。

 などと書くと、そこまでしないと快適な「静音小型Windowsデスクトップマシン」は手に入らないのかといわれそうですが、その通りなので困ってしまいます。

デスクトップは改造が簡単

 パソコンのケースを外して中身をいじるなんてとんでもないと思われるかもしれません。ですが、ケースが簡単に開けられて中身をいじれるのがデスクトップマシンの長所です。デスクトップマシンはいじることを前提に作られているといってもいいでしょう。

 デスクトップパソコンは基本的に、(1)電源ユニット(2)マザーボード(3)CPU+CPUクーラー(4)メモリー(5)記憶ドライブ〈HDDかSSD〉という5パーツからできています。すべてが決まった規格ですから、簡単に自作できますし、同じ規格のものを入れ替えるだけで改造もできるのです。

 もちろん、自分でいじる自信はないというかたは、予算と相談しながら、メーカー製品を買ってください。その際、今なら少し高くてもHDDではなくSSD仕様のモデルをお勧めします。サクサク動いて快適ですし、HDDよりも壊れにくいので精神衛生上もよいです。

 いずれにせよ「パソコンは壊れるもの」という大前提に立って、重要なデータは必ず外部ドライブに保存し、内蔵ドライブの中身も丸ごとバックアップを取っておくことはお忘れなく。

 デジタルを縦横に駆使して、執筆や作曲など多彩な表現活動を展開しているたくきよしみつさんは「デジタルReライフ」を推奨しています。それは、長年親しんだアナログ文化の本質を見失うことなく、デジタル技術を賢く使うことで、ライフスタイルを整えてゆく営みです。インターネットを通じていかに人とつながり、あなたらしい表現を発信していくか。この連載では、そのノウハウをご紹介します。

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たくき・よしみつ(鐸木 能光)

 1955年、福島生まれ。91年、原子力政策の闇をテーマにした小説「マリアの父親」で第4回小説すばる新人賞受賞。住んでいた福島県川内(かわうち)村で2011年、福島第一原発の原発事故に被災。その体験を元に「裸のフクシマ」(講談社)、「3・11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ」(岩波ジュニア文庫)を執筆。近著に「医者には絶対書けない幸せな死に方」(講談社+α新書)。作曲などの音楽活動、デジタル文化論、狛犬(こまいぬ)の研究などを幅広く手がけている。

公式サイト https://takuki.com/

  • この連載について / デジタルReライフの勧め

    アナログ世代こそが、デジタルを賢く使えるはず。60代の文筆家がデジタルツールを活用した「デジタルReライフ」のノウハウを伝授。長年親しんだアナログ文化の本質を見失わず、インターネットを通じて人とつながり、発信するコツを紹介します。

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