<連載> デジタルReライフの勧め

楽しまない手はない 意外に簡単、動画の撮影と編集

たくきよしみつ「デジタルReライフの勧め」(10)

2018.11.21

 文筆家のたくきよしみつさんが主に60代からのデジタルライフを勧める連載。趣味の世界をデジタルで広げる実践編の第3弾は、ビデオ撮影と編集がテーマです。

 数年前、アメリカ在住のToko Shiiki監督が制作した『Threshold:Whispers of Fukushima』(邦題『福島のささやき』)という映画に出演したのですが、そのとき使われていたカメラが動画専用のビデオカメラではなく「普通の一眼レフカメラ」であることに驚かされました。

 できあがった作品を渋谷の映画館で見ましたが、映像品質にはなんの問題もありませんでした。それほど、今の「普通のカメラ」の動画撮影性能はすごいのです。

 テレビにも一般視聴者がスマホやデジカメで撮った映像がどんどん登場していますよね。これを趣味として楽しまない手はありません。

「ユーチューバー」には誰でもなれる

 スマホや「普通のデジカメ」で撮った動画は、そのままYouTubeやSNSに投稿すれば世界中の人に見てもらえます。それ自体にはなんの技術もいりません。ニュース性のある衝撃映像などは、あっという間に数百万人に届く可能性もあります。

 しかし、趣味として楽しむのであれば、やはり多少は編集して「作品」らしく仕上げたいものです。

 私が動画撮影や編集に手を出し始めたのはごく最近のことです。それまでは、編集作業があまりにも大変そうだし、自分は作曲家として「音楽」に集中すべきだと思っていました。

 考えが変わったのは、YouTubeを無視できなくなったからです。

 今や、人びとが音楽を聴く手段の第1位はYouTubeで、CDを上回っているのです(日本レコード協会「音楽メディアユーザー実態調査」2017年版)。

 私も今ではYouTubeに「Tanupack Studio」というチャンネルを開設し、音楽情報も主にそこから発信するようになりました。

 YouTubeは動画配信サイトですから、音楽コンテンツにもなんらかの映像がついています。音楽を聴かせるのが目的なら、映像は静止画だけでもいいのですが、どうせなら多少の編集をして、動画作品としても鑑賞できたほうがいい……というわけで、動画編集もするようになりました。

 やってみると、思っていたよりもずっと簡単であることが分かりました。YouTubeにのせるかどうかは別としても、撮った動画は編集することでさらに楽しい趣味になります。

動画編集ソフトは何がいいか

 動画を編集するには動画編集ソフトが必要ですが、MacのOS(基本ソフト)には最初からiMovieという動画編集ソフトがついています。字幕入れが少しやりづらいなど、欠点はいくつかありますが、相当高度な編集ができますので、MacのかたはiMovieで十分でしょう。

 私も動画編集に手をつけ始めた当初はiMovieでやっていました。「○○風」という演出テンプレートがいくつか用意されていて、それを使うとiMovieが勝手に編集してくれたりもします。

 例えば次の動画は、コンパクトデジカメで撮った動画をiMovieのテンプレートファイルの1つに放り込み、歌詞をテロップ機能で加えただけで、冒頭部分のロールフィルムのコマの演出などはiMovieが勝手にやってくれています。結婚式や運動会などのイベントも、細切れの動画素材をテンプレートファイルに放り込むだけで、あとはiMovieが演出効果をつけて勝手に編集してくれます。

 WindowsにもかつてはMicrosoftが出しているMovie Makerという使いやすい無料の動画編集ソフトがありましたが、今は配布をやめてしまっています。海外のサイトから英語版をダウンロードするなど、今でもインストールする裏技はいくつかあるのですが、責任を持てないのでここでは触れません。

 私も簡単な編集にはMovie Makerを使っていたのですが、パソコンを新しくしてからはなぜかまともに動かなくなり、諦めました。

 今使っているのはPowerDirectorという有料のソフトです。非常に明解な作りで、iMovieよりも使いやすく、高機能なので、これを買ってからはiMovieは使わなくなりました。いくつかグレードがありますが、いちばん安い基本セットで十分です。

 これはPowerDirectorを買ってすぐに、どんなことができるのかと、いろいろ試しながら作ったものです。動画の中にイラストを入れて動かしてみたり、画面の切り替え時の効果を変えてみたり、試行錯誤しているのがよく分かると思います。

気楽にやることが楽しむコツ

 動画編集に限ったことではありませんが、趣味を楽しむコツは「頑張りすぎない」「完璧を求めない」ことです。特に動画は、あれもこれもと頑張りすぎると疲れてしまいます。当然、プロの仕事と比較して「全然ダメだ~」などと嘆いても仕方ありません。

 趣味のレベルであれば、動画趣味は写真よりも簡単に楽しめ、満足感も得られるでしょう。ちなみに、上の例で紹介している動画は、素材の静止画や動画はすべてコンパクトカメラで撮ったものです。画面が揺れていたり、多少ノイズが入ったりしても気にしないことです。

 静止画像だけでも「ムービー」作品は作れます。写真を並べただけのスライドショーはもちろん、自作の絵(静止画)を並べてナレーションを入れれば紙芝居風動画作品も作れます。

 誰もが映画監督、映像作家になれる時代。こんな楽しいことを経験せずに死ぬのはもったいないですよ。

 デジタルを縦横に駆使して、執筆や作曲など多彩な表現活動を展開しているたくきよしみつさんは「デジタルReライフ」を推奨しています。それは、長年親しんだアナログ文化の本質を見失うことなく、デジタル技術を賢く使うことで、ライフスタイルを整えてゆく営みです。インターネットを通じていかに人とつながり、あなたらしい表現を発信していくか。この連載では、そのノウハウをご紹介します。

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たくき・よしみつ(鐸木 能光)

 1955年、福島生まれ。91年、原子力政策の闇をテーマにした小説「マリアの父親」で第4回小説すばる新人賞受賞。住んでいた福島県川内(かわうち)村で2011年、福島第一原発の原発事故に被災。その体験を元に「裸のフクシマ」(講談社)、「3・11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ」(岩波ジュニア文庫)を執筆。近著に「医者には絶対書けない幸せな死に方」(講談社+α新書)。作曲などの音楽活動、デジタル文化論、狛犬(こまいぬ)の研究などを幅広く手がけている。

公式サイト https://takuki.com/

  • この連載について / デジタルReライフの勧め

    アナログ世代こそが、デジタルを賢く使えるはず。60代の文筆家がデジタルツールを活用した「デジタルReライフ」のノウハウを伝授。長年親しんだアナログ文化の本質を見失わず、インターネットを通じて人とつながり、発信するコツを紹介します。

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