朝日新聞Reライフプロジェクトは3月1日、近年研究が進む腸内環境と全身の関係を学ぶセミナーを「朝日新聞Reライフフェスティバル」で開催。87歳の現在も舞台やテレビで活躍する大村崑さんと、帝京平成大学教授で消化器内科医の松井輝明さんによるトークショーに多くの読者が耳を傾けました。その一部を採録します。
松井さんによる講演の後、29年前、58歳の時に大腸がんを経験した大村さんが登場した。
大村さんは手術後、毎年大腸内視鏡検査を受け、現在も健康な体を維持している。「がんをきっかけに大腸が健康にとって大事な器官だと気づいた。以来、医師のアドバイスを素直に聞いて勉強しながら過ごしている」。
たとえば食事はよくかんで食べる。「腸に負担をかけないように、必ず右の歯で10回、左で10回かむ。おかげで歯もじょうぶになり今でも全て自分の歯で食べられる」
トイレで自分の便をチェックする習慣も続ける。大腸がんを早期に発見することができたのは、「この習慣のおかげで血便に気づいたから」という大村さん。松井さんも「毎日、自分の便を確かめる習慣が大事。においがきつい時は腸内に悪玉菌が増えているサイン。長くて太く、あまりにおいがない便は大腸の健康の目安」とアドバイスした。
大腸がんは近年、日本人に増えている。特に女性ではがん死亡者数の第1位(厚生労働省調べ)を占める。潰瘍性大腸炎やクローン病など大腸の病気は増加傾向だ。
松井さんは、日本人の腸が弱っている原因のひとつとして、食物繊維不足を挙げた。日本人の食物繊維摂取量は1960年ごろをピークに減り、必要量を満たしていないと説明。白米の消費量が当時と比べ半減していることに触れ、「お米を食べないと、それだけ食物繊維が減る」と話した。一方、欧米型の食生活になり動物性たんぱく質の摂取量は増加。松井さんは「炭水化物を抜いたり、たんぱく質に偏る食事は善玉菌を減らし、悪玉菌を増やしてしまう。予防として、善玉菌のえさとなる海藻や果物などの水溶性食物繊維、ヨーグルトなどを積極的に食べてほしい」と呼びかけた。
大村さんは日頃からスクワットなどの筋力トレーニングに取り組む。「筋肉をつけると元気になる。腸を大事にすると顔色がよくなる。『若いですね』とほめられることがとてもうれしい」。102歳まで生きるつもりだと宣言し、「正しく食べて快食快便、自分の好きなことをやって1日に1度大笑い。そうすれば健康で長生きできる」と呼びかけた。
松井さんは「食べるものを変えれば腸内細菌も変わり、元気になる。健康は自分でつくる、他人任せじゃないと意識して欲しい」と締めくくった。
◇
大村 崑(おおむら・こん)喜劇俳優
1957年、大阪・北野劇場でコメディアンデビュー。オロナミンCのCMで一世を風靡した。近年は舞台活動の他、TVドラマでバイプレイヤーとしてシリアス、コミカルと幅広い役柄に取り組む。昨年も大河ドラマ「西郷どん」に出演。講演活動で全国を駆けめぐるほか、夫婦で唄とおしゃべりの”YOKON SHOW"も人気を博す。
松井 輝明(まつい・てるあき)帝京平成大学教授
日本大学医学部卒業。医学博士。日本大学板橋病院消化器外来医長、日本大学医学部准教授を経て現在、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 健康科学研究科 健康栄養学専攻長 教授。厚生労働省薬事食品衛生審議会専門委員、内閣府食品安全委員会専門委員、日本消化器病学会評議員、日本実験潰瘍学会評議員、日本高齢消化器病学会理事、日本消化吸収学会理事など歴任。消化器一般、機能性食品の臨床応用を専門に研究。
◇
本記事は、2019年3月1日に行われた「朝日新聞Reライフフェスティバル」内のセミナー「大村崑さんと学ぶ健康”腸”寿」のトークショーの一部を掲載したものです。セミナーには、87歳の現在も舞台やテレビで活躍する大村崑さんと、帝京平成大学教授で消化器内科医の松井輝明さんが登壇し、近年研究が進む腸内環境と全身の健康の関係を学びました。
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