年を重ねて「おひとり」になっても自分らしく生きるには、どうすればいいのか。1日の朝日新聞Reライフフェスティバルの催しの一つ「リアル読者会議」では、読者代表4人が悩みを語り、専門家を交えて解決策を探った。

終のすみか 気になるお金

会議は、朝日新聞の清川卓史編集委員が進めた。「終(つい)のすみか」は自宅か介護施設か。事前アンケートと同じく会場でも自宅派の方が多かった。

母と暮らす川口あき子さん(53)も、その一人。だが、「老老介護」の可能性を考えると、「60歳を過ぎたら一緒に有料老人ホームに入るのも選択肢」という。でも、有料老人ホームの入居には高額な一時金が必要な場合もあるのが、「ちょっと心配」だ。

俵山麗(あきら)さん(62)は、親が残した土地に建てた家に夫婦で暮らす。家は建て替えたいが、資金が不安だ。「蓄えがなくなることを考えると、建て替えに踏み切れるか悩むところですね」

来会(くるえ)園子さん(69)は、離れて暮らす母の介護が課題だ。自宅マンションはバリアフリーや見守り機能が整っており、「老人ホームに高いお金を払うなら、在宅介護サービスに費用を充てて住み続けたい」と話した。

未婚の浦川久典さん(56)は賃貸住宅で一人暮らし。目を患ってからはパート勤務で家を買う蓄えはない。「借りるにも保証会社頼り。老後に入院したり、介護施設を頼りにしたりする時の保証人はどうするのかと、今から心配です」
ノンフィクションライターの中澤まゆみさんは、浦川さんの不安を引き取り「社会福祉協議会や行政が借り換え保証などを手がける自治体もあります。お住まいの地域でどんな制度があるのか、調べてみて」と勧めた。
独身生活者を研究してきた博報堂ソロもんLABOリーダーの荒川和久さんは、買う・借りる以外の選択肢に言及。「増え続ける空き家の有効活用が突破口になるかも。将来は人とのつながりの中で自分のすみかを見つけられるような仕組みができるかもしれません」
つながりの形 人それぞれ
「人と人のつながり」に話題が移ると、俵山さんが不安を語りはじめた。「家では、ごはん食べて風呂入って寝るだけ。妻がいなくなったら、掃除・洗濯はなんとかなるが、食事は自信がない」。心配した妻から「自立できるように」と料理の指導を受けている。
俵山さんのような男性を荒川さんは「唯一依存症」と指摘した。妻や職場を失うと自分が空っぽになりがちで、50~60代男性が陥りやすいという。
浦川さんは誘われて町内会の活動を始めた。神社のみこしや自主映画づくりに参加する。「出身地ではないので知り合いが一人もいない。でも、活動に参加して、お互いあいさつする関係もできました」
夫との死別や親の介護を経験した来会さんは「現実に向きあえば、自分でいろんなことを調べ、問題を小さくできる」と前向きだ。マンションで一人暮らしの現在、悩みは近所に知り合いが少ないことだ。IT化が進んでロボットが生活で困っている部分を助けてくれることを期待している。
川口さんはペットが役立っているという。「犬を連れていると気軽に話しかけられる。困りごとの相談を受けてボランティアをしたこともあります」

オンリー、ソリスト、ソロ……「おひとり」に代わる言葉は
議論では、「おひとり」に代わる言葉について、読者代表から意見を募った。
川口さんは「オンリー」または「オンリーワン」。「『特色がある』『独自性がある』という意味がある。幾つになっても自分らしく暮らすというメッセージにもなる」。来会さんは「人生はひとりを基本に奏でる」という意味を込めて「ソリスト」を提案した。
荒川さんは「シングルやアンマリッド(未婚)など『普通でない』という意味の言葉が多い」として、「ソロ」を提唱する。俵山さんも「簡潔で自立するイメージがある」とソロに賛同した。
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