年相応とトレンド、大人のキレイは使い分ける

集英社『エクラ』編集長 長内育子さんインタビュー(下)

2019.05.29

 若作りとは思われたくないし、かといって、「おばさん」と思われるのも嫌。でも、似合う服が見つからない――。そんな悩みを抱える読者のために、『エクラ』の編集長で、自身もアラフィーの長内育子さんに、市場が盛り上がる50代以上向けのファッションやメイクの上手なとり入れ方をうかがいました。

『エクラ』編集長 長内育子さん
集英社『エクラ』編集長 長内育子さん

ファッションも化粧品も、大人向けが盛り上がっている

 うれしいことに、50代以降のニーズに応えるブランドも続々と登場しています。これまでは「ミセス」「キャリア」などと分かれていて、「あなたはミセスですよ」と言われてもその売り場には行きたくなかったし、かといって若い世代向けの服はサイズ感がちぐはぐだったりして、何を選べばいいかで悩むことがありました。いま、そこに気づいた人たちがどんどん新しいブランドを立ち上げていて、大人向けの質の良いものを提案しています。一見すると若い人向けの服と同じようだけど、丸くなった体をカバーしてくれるものだったり、肌あたりの良い生地を使ったものだったり。いわゆる婦人体形になった人もキレイに見えるような工夫が施されています。

 美容や化粧品でも、「自分らしく」というキーワードは変わりません。若い頃に雑誌を見ながらものすごくメイクの勉強をしてきた人でも、最近のトレンドがどうも合わなくなってきたし、「そもそもアラフィフにトレンドはあるの?」と思っている人も多いと思います。大きな流れでいうと、やはりトレンドはあります。ただ、取り入れていいものと、そうじゃないものがある。若い人の間でマットな肌がはやっていても、シワを目立たせてしまうので避けた方がいいだろうとか。ただ、はやりに合わせる必要はないけれど、古い顔にならないためにはアップデートすることが大切です。

 化粧品の世界は日々進化しているので、この力を借りない手はありません。例えば、同じアイブローペンシルでも色が少しずつ変化してきます。黒からオリーブっぽい色に変化していたり、今年はグレイッシュな色が注目されていたり。5年前のものを使っていると、5年前の顔になってしまいます。ちょっとしたことですが、あか抜けるポイントはあるので、そこをキャッチアップするのは大切だと思います。

ステキの秘訣(ひけつ)は、自分を更新すること

 つまり、情報をどう捉えるかなんですね。若い頃は「こんな服がはやっている」「こんな色がきている」という情報をキャッチして、それをそのまま取り入れればよかったのですが、大人には自分向けに読み解く作業が必要です。なんかおしゃれ、だけどそのコツはなんだろうと思った時に、足元は意外とカジュアルなスニーカーだったり、髪形をあえて少し崩していたり。この世代はすべてをバッチリ決めると迫力が出過ぎてしまうので、“抜け感”を作るのがコツです。

  今はアラフィフ向けの商品がたくさん出ているので、悩んだらそこから選ぶのが間違いないのですが、まったく同じものである必要はありません。今まで黒を選びがちだったけど、今年は雑誌に出ていたこの色を取り入れてみようかとか、キーワードから自分に合う物を選ぶのも楽しいと思います。雑誌とともにファションを楽しんできた人は、自分なりのアレンジを楽しむことにたけていますが、それが苦手な人はちょっとだけ勇気を出してみてください。「新しいものなんて私には……」とか「こんな色、私には似合わない」と自分に呪いをかけるのではなく、新しいものを取り入れることで華やかに見えたり、意外な自分を発見できたりすることを楽しんでほしいと思います。『エクラ』では「攻める」と表現しているのですが、そうやって自分を更新することがステキであり続ける秘訣ではないでしょうか。おしゃれは、その人の生き方であり、たたずまいです。「娘と並んで『同級生みたい』と言われるより、大人の女性として『すてき』と言われる方がうれしい」。そんな50代を頼もしく思います。

(聞き手・小笠原麻里、撮影・山形赳之)

関連記事

おすすめ記事

PAGE TOP