<連載> 著者が語る健康腸寿

我流で「おいしい」店を目指したら、体が元気になる料理に

<著者が語る健康腸寿>料理家・たなかれいこさんインタビュー (上)

2020.01.08

 腸内環境を整えて健やかに過ごすためには、毎日のバランス良い食生活が大切です。「たべもので美しく 健康に」と提案する料理家・たなかれいこさんは、近著『腸からあたたまる たなかれいこ的 料理のきほん』で「私たちが何を食べるのかがいいかは、腸がこたえてくれます」と語ります。たなかさんに腸に優しい料理や手軽な作り方などについて聞きました。

たなかれいこさん
食のギャラリー612代表・料理家 たなかれいこさん 撮影:村上宗一郎

自分がおいしいと思うものが健康を導く

 私は小さい頃から病弱で、学校にもほとんど行けず、食べることに興味がなかったんです。ずっと薬に頼っていたのを高校生の時にやめると、徐々に食欲もわいて元気になってきました。東京で暮らし始めた大学時代には、「食魔」とあだ名されるほど食べることに夢中になって(笑)。

 結婚後に食の仕事を始めたのは、自分がおいしいと思うものを表現してくれる人がいなかったから。特に健康のことを意識したわけではなく、おいしいものを知ってもらおうと我流ですが自分がおいしいと思う料理を提供するレストランをやっていたら、お客さまから「翌日の調子がいいみたい」とか「どうやってつくるの?」とか言われて。じゃあ教室を開こうということになって、生徒さんに料理を教えて30年近く経ちます。

 人間の味覚って原始人の時代から、口に入れたものが毒ならきっと吐き出すし、そうではないものを食べて、ずっと食べつないできたんですね。自分に必要なものはおいしく食べられるし、好きなものでも満ち足りたらもういらないと味覚で感じるのです。おいしいものを求めて食べると身体が元気になるということは、私自身が高齢者と呼ばれる年になって実感しています。

腸をあたためると腸内環境が整う

 腸に興味を持つようになったのは、20年ぐらい前です。私は子どもの頃はひどい便秘でしたが、大人になるとなくなり、いつしか〝快腸〟というか、朝は便意とともに目が覚めるようになってきた。当時は腸内細菌などの情報はあまりなく、面白いなと思ったことを自分で調べたりしていました。

 食べるということは、食べ物を消化して吸収して、余ったものを出す。それを滞りなくやってくれるのが腸です。実は脳と同じように賢くて、体のために単独で機能するのが腸なんだということを知りました。

 ところが、現代人の体は冷えがちです。冷えると腸の中の細菌バランスが狂ってしまうとききます。昔は男性だと、冷え症の人ってそんなにいなかった気がします。ここ10年ぐらいで男性も本当に多くなってきて、とても深刻な問題です。

 腸を健全にするには、あたためて気持ち良くすること。冷たいものが入ると悪玉菌が勝ってしまいます。

 私の場合、一日の最初に食べるのはサラダ。材料を冷蔵庫から出してから室温になるまで待って、すぐには食べません。どうしても時間がない時には、袋に入れて湯せんをします。

 なかには、冷たいビールも飲みたい、という方もおられるでしょう。無理して禁欲する必要はありませんが、飲み続けると腸がずっと冷えた状態が続きます。ですから、合間にあたたかいお湯やお茶を飲んで、腸を元に戻すことをアドバイスしています。

鍋料理がおすすめ、味は自分の基準で

  著書でも腸があったまるレシピをいろいろ紹介していますが、まず自分で鍋料理をつくってみることをお勧めします。季節が冬だったら、ごぼう、にんじん、れんこん、大根、長ねぎ、里芋、さつま芋……。土の下にできる野菜は体を温めるとされています。それに白菜や、春菊や小松菜などの青物。さらにお好きなお魚やお肉、きのこなどを入れてもいいので、土鍋で煮てみてください。

 出汁(だし)は入れなくても、水と具材だけでおいしくできあがります。出汁がほしい場合には、冷凍保存したかつお節をパウダー状に細かくして入れるとお手軽です。味つけは自分の手元で、しょうゆ、オリーブオイル、かつお節パウダー、薬味などを使って調整してください。他の人に合わせるのではなく、自分がおいしいと思う量にすることが大切です。

 料理をしたことがないという方は、調味料だけでも変えてみてください。いつもの食事が格段においしくなり、体の中もあたたまります。塩、しょうゆ、みそ、オイル、酢。これらの伝統的な調味料は、料理のおいしさを引き立てるだけでなく、腸内細菌を活発にさせてくれるものばかり。余計な添加物などのない〝本物〟を使うだけで、腸内環境は違ってくると思います。(談) 

  • 腸からあたたまる たなかれいこ的 料理のきほん
  • 腸からあたたまる
    たなかれいこ的料理のきほん
    たなかれいこ (著) 出版社:朝日新聞出版

    「南青山で食のギャラリー612を主催するたなかれいこさん。著書、「生きるための料理」「腸がよろこぶ料理」はともに、現代のストレスと冷えにまみれた働く女性に支持され大好評。ルールは至ってシンプルですが、れいこさんの食事法を続けていれば、自分の体の声を聞くことができるようになるというもの。体が欲しいものを適切にとる…、間違った流行の情報に左右されずにその感覚を研ぎ澄ますことがなによりの健康法です。本書では、既刊2冊に次ぎ、新たなレシピを求めている読者にむけて、季節に合った野菜から自然の力をいただく64レシピを紹介。さらに、調理法も詳しく解説。たなかれいこ的「料理のきほん」を丁寧に解説しています。

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  • たなかれいこ
  • たなか れいこ(たなか・れいこ)

    食のギャラリー612代表。自らの経験に基づき「たべもので美しく、健康に」を提唱する料理家

    1952年神戸生まれ、札幌育ち。CMスタイリストを経てニューヨークに遊学。帰国後にケータリングサービスを始め、レストラン運営を経て、東京・南青山で「たなかれいこの たべもの教室」を主宰。長野県で無農薬・無肥料・不耕起の野菜ファームや、食と健康に関するさまざまな教室にも取り組んでいる。著書に『穀物ごはん』(青春文庫)、『食べると暮らしの健康の基本』(mille books)、『生きるための料理』『腸がよろこぶ料理』(ともにリトルモア)など多数。

  • この連載について / 著者が語る健康腸寿

    近年ますます注目を集める「腸内フローラ」。肌荒れ、アレルギーから肥満や心にまで影響を与えるとされ、関連書籍もたくさん出版されています。腸にまつわる様々な話を著者にききました。

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