<読者ブログ>

<連載> 美術館探訪(アート部)

エキゾチックな作品でたどる古代世界

読者会議メンバーが観た「ザ・アール・サーニ・コレクション」展

2020.04.06

 地中海地域からアジア、アフリカ、中南米といった地域の古代社会に由来する作品を一堂に見せる「人、神、自然―ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界―」展を鑑賞したReライフプロジェクト読者会議メンバーの感想を紹介します。

アール・サーニ・コレクション展

丁寧に彫られた女性像の頭部に感動

 人、神、動物に区分けされ、展示された様々なものは、地域、時代も様々でした。解説文を見てすぐに地域の場所が浮かばないこともあり、もっと世界史を復習すればよかったと思いました。
 材料が高価なものが多いカタールの王族のコレクションということに圧倒されました。素晴らしい造形美はもちろん、なかにはアニメキャラのような風貌(ふうぼう)のものや、映画に出てくる宇宙人のようなものもありました。
 小さいものでしたが、ガーネットを彫刻している女性像の頭部にひかれました。材料は宝石ですが、丁寧に彫られ、美しい女性の頭部が素晴らしく見えました。
 また、様々な動物が表現され、私にとっては身近でないアイベックスが、中央アジアからアラビア半島にかけての山間部では身近な動物なのだと知りました。(東京都 佐藤篤子さん 50代)

貴重な工芸品にワクワク

 博物館が大好きなのに、東京国立博物館には初めて訪れました。
 王族とはいえ、個人が所有するコレクションとしてこれだけのものが集まることに驚かされました。掲げられた世界地図を眺めながら、広範囲にわたるお宝が一堂に会することは、とてつもないことです。普段見ることのできない貴重な工芸品を前にするだけで、気持ちが高まりました。
 人・自然・宗教それぞれの関わりについて、各地域の歴史や特性と合わせて様々な考えや思いを紹介していました。バラエティーに富んだ地域と品々が展示されているので飽きることがありません。このような特別展示はとてもありがたいです。黒と黄色という部屋の色彩演出も、展覧会の格式を高めていたように思います。(神奈川県 蓑田竜史さん 40代)

地域ごとの表現の差に面白さ感じた

 会場にはミイラをはじめ、陶芸品等の工芸品が100点以上展示されていました。私が興味をひかれたものは、人を形象的に捉えたものたち。それらは人間を人として表現したのか神として表現したのかも不思議ですが、ヨーロッパ地域の具象表現と中南米地域の色彩や形態をデフォルメした表現の差に面白さを感じました。
 対照的なものとして、さらに年代を500〜1千年さかのぼりそうな「スターゲイザー」は、より洗練されたシンプルなデザインであり、ロマンあふれる展示品です。
 また、いくつか並んだ大甕に描かれた男性と女性の絵柄は人間の営みが読み取れるよう。解説文では権力者である男性をもてなす女性とされていますが、ジェンダーフリーの観点に照らし合わせて鑑賞すると、興味深かったです。(神奈川県 山本哲史さん 60代)

展示から見えた世界の広さ

 地域ごとの時代順ではなく、テーマに沿った展示が効果的だった。「人」の章の女性像、エジプト・中央アジア・古代ローマと時空を超え、素材も異なる作品の奇遇に、作り手それぞれの製作の様子を想像するのが面白い。
 「神」の章は、生は短く死は身近だった時代で、祈りの大切さが見て取れる。アースカラーの世界の中で、金や貴石の色と輝きは捧げ物にふさわしい。貴重ゆえ、造形に工夫を重ねている。
 「自然」の章の動物もまた親しい。獲物や家畜問わず、動物をとらえる観察眼の鋭さと毛並みの表現のこまやかさに驚く。展示の動物は獣で、魚や竜神はいない。入手できない以上、加工しやすい貝も仮面の一部に使われるのみである。世界の広さと、展示の妙を改めて感じた。(東京都 三井美恵子さん 60代)

  • この連載について / 美術館探訪(アート部)

    Reライフ読者会議では、登録メンバーを展覧会に招待し、作品を鑑賞した感想を投稿してもらう企画を不定期で開催しています。作品の感じ方は十人十色。アートに正解はありません。そんなアート好きのReライフ世代の感想を集めました。

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