生前整理ってどうやるの?失敗しない進め方と注意するポイント

人生100年時代を生きるキーワード・生前整理

2020.03.16
生前整理イメージ

 生前整理とは、自分が亡くなった後のことを考え、元気なうちに所有している資産や家財を整理することをいいます。高齢の方がやることだと思われがちですが、病気や不慮の事故などの可能性は誰にでも平等にあります。万が一のときに備えて用意をすることに、早すぎることはありません。そして、生前整理を行うことで自らの人生をよりよくすることもできます。

 ただ必要性を感じても、何をどうすればいいのかわかりませんよね? ここでは、生前整理の進め方や注意するポイントをご紹介します。

<目次>

生前整理とは

 冒頭で述べたように、生前整理とは、生きているうちに自分の資産や持ち物を整理することをいいます。具体的には、不用品の処分や不動産の売却、遺書の作成などを指します。

生前整理のメリット

 生前整理のメリットを考えてみましょう。
遺族のために行うものと考えられがちな生前整理ですが、実は自分にとっても多くのメリットがあります。

遺族にとってのメリット

 自分が亡くなった後、家財道具などは誰かに処分してもらう必要があります。不要なものがあらかじめ処分されていたり、必要なものが整理されていたりすると、残された人の負担は大きく減ります。また、故人の遺志を明確に示すことができるため、遺族が遺産整理や相続の手続きをスムーズに行うことができ、相続問題を軽減することにもつながります。

自分にとってのメリット

 民法上、日本では15歳以上の人は有効な遺言を作成することが可能です。生前整理の一環として、残される遺族にどのような遺志を伝えるかを考えることは、遺族だけでなく、自分にとっても大切な機会になるでしょう。また、生前整理をして家財をたな卸しすることで、不要なものを処分し、すっきりとスリムな生活ができるようになります。毎日を忙しく過ごし、将来についてじっくり考える機会がなかなか得られない方こそ、これからの人生に本当に必要なものを考えたり見つめなおしたりするきっかけになるかもしれません。

生前整理の失敗しない進め方

 生前整理とは具体的に何をすればいいのでしょうか。断捨離と似ているというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、生前整理とは、ものを捨てるだけではなく、文字通り「(自分の残してきたものを)生前に整理すること」です。不要なものを捨てるだけではなく、必要に応じて遺言書の作成なども行いながら物の行き先を決めることがポイントです。

 亡くなってから「こうすればよかった・・・。」とお墓の中で後悔することはできませんが、残された方のためにも失敗したくありませんよね。

 以下に、生前整理を失敗せずに行う手順を説明します。

1 必要なもの、不要なもの、迷っているもの、思い出のものにきちんとわける

 生前整理は、通常の整理整頓と同じく、持ち物を「必要なもの」と「不要なもの」に分類することから始めます。書籍や洋服、食器など「知らないうちにたまっているもの」から着手するといいでしょう。整理整頓の方法としてよく指南されていますが、判断に迷ったものは「迷い」として半年間保存し、その間、一度も使わなかった、見なかったものは処分する、などのルールを決めるのも有効ですね。「思い出のもの」は思い出箱などを作ってまとめておきましょう。

2 財産の目録をつくる

 相続税の対象になるものを中心に、預貯金や株式などの金融資産、不動産、車など、想定される財産の目録を作りましょう。生命保険金や死亡退職金なども忘れずに記載したいですね。目録は、誰に何を残すかなどの財産分与を考えるために利用することができます。また、遺族が相続税の目安を算出することもできます。財産の中に不動産がある場合は、その資産価値を調べてみましょう。不動産は簡単に分けることができないため、相続時のトラブルになりやすいです。自分の死後、引き続き住み続ける家族がいるかどうか、相続税の対象になるかどうかなど総合的に判断して方向性を決めておくのもよいでしょう。

3 遺言書を残す

 遺言書は必ずしも作成する必要はありませんが、自分の遺志を伝えて財産分与をしたい、法定相続人以外のお世話になった方に財産を残したいという方は、遺言書を作成することをお勧めします。遺産を巡って、遺族の間に無用なトラブルが起きることが防げます。民法で定められた遺言の作り方にのっとって作成しましょう。

生前整理の注意するポイント

 近年、ライフスタイルも大きく変わり、生前整理を進めるにあたって気をつけたいポイントも変わってきました。いくつか、今どきならではの注意点を紹介します。

エンディングノートを活用する

 必要なものの分類や財産情報を整理するのに便利なのがエンディングノートです。書店でもたくさんの種類が売っています。自分の人生の歴史を記入するものから、事務的な情報のみを記入するものまで幅広く販売されています。自分に合う1冊を見つけるのも楽しいですね。ただし、エンディングノートは遺言としての効力はありませんので、注意してください。

思い出の品物の扱いを考える

 故人の思い出がつまった品物の処分は、遺族にとっても心苦しい作業です。特に写真やアルバムは処分に困るものです。最近は、デジタルカメラやスマートフォンでアルバムの中の写真などを撮影し、保管するサービスやアプリもあります。このようなサービスやアプリを利用するのもよいでしょう。同様に、思い出の品物、手紙や年賀状なども、写真に撮った上で現物は処分してしまうのもひとつの方法です。大切なものは無理に処分する必要はありません。その場合、遺言書などで死後破棄しても構わないことを遺族に伝える準備をしておくことが大切です。

忘れてはならないパソコン、スマートフォンの対応

 パソコンやスマートフォンに様々な情報を保存している人は多いでしょう。デジタルデータの生前整理も重要性を増しています。
まずはデジタル端末や必要なサービスのログイン情報などをメモしておきましょう。指紋認証など、デジタル端末のセキュリティーが向上する一方で、遺族がそれらの機器にログインできず、必要な故人の情報にアクセスできないというケースが増えています。また、ネット銀行やネット証券のログイン情報が分からずに、遺族が資産を把握できないというケースもあります。遺族がスムーズに対応できるように準備しておきましょう。
 また、本当に見られたくないデータは別途パスワードをかけてロックし、開かずにデータを消去してもらえるように伝えておきましょう。

SNSやデジタル遺品の対応

 亡くなった後、SNSのアカウントの処理も最近の課題です。SNSによって規定が異なりますが、Facebookでは管理人を指名して追悼アカウントの管理を任せるか、アカウントを完全に削除するかを選ぶことができます(Facebookヘルプセンターより)。生前に追悼アカウント管理人を指名しておくことで、自分の死後も管理してもらうことができます。一度、利用しているSNSの規定を確認するとよいでしょう。

まとめ

 生前整理は、遺族の遺産整理の負担を大きく減らし、自分にとってもその後の人生を改めて見直すよい機会になるはずです。この記事を参考にして、できるところから少しずつ、取り組んでみてください。

(取材・文 山口 尚孝)

  • 大津たまみ
  • 大津 たまみ(おおつ・たまみ)

    一般社団法人生前整理普及協会代表理事

    遺品整理の現場から生前にやるべき事があると一般社団法人生前整理普及協会を設立し代表理事に就任。生前整理アドバイザーの育成を行い、日本全国のみならず海外にも生前整理の大切さを伝えている。お掃除・お片づけのカリスマとして著書は10冊以上出し「生前整理で幸せな老いしたく」や「親の家の片づけ」は40代から60代の女性に圧倒的に指示されている。社会貢献事業としてシングルマザーの子ども達の支援活動を行っている。

関連記事

あわせて読みたい

おすすめ記事

PAGE TOP