老後の生活費はどれくらい?知っておきたい生活費の見直しポイント

人生100年時代を生きるキーワード・老後の生活費

2020.03.16
老後の生活費イメージ

 2019年に金融庁の金融審議会がまとめた「老後の資金は約2000万円が必要」とする報告書が話題になるなど、老後の生活費への関心は高まっています。

 各家庭によって収入やライフスタイル、家族構成などの要素が異なるため、一概にどのくらいの費用が必要なのかは断言できません。しかし、老後に影響する費用について詳しく知って、備えておくべきことを考えてみましょう。

<目次>

老後の平均生活費はどれくらい?

 総務省統計局の家計調査報告(2018年平均)によると、高齢無職世帯の家計収支(2人以上世帯)の毎月の実支出は、平均26万4,707円となっています。

 一部定年のない自営業の方などを除くと、多くの会社員の定年後の主な収入は公的年金です。それでは年金で老後の生活費はどれくらいまかなえるのでしょうか?

年金だけでは足りない可能性も

 公的年金には、働いていた時代の報酬額によって受給額が異なる厚生年金と、納付期間によって受給額が異なる国民年金があります。厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(平成30年度)によると、厚生年金の受給平均額は約14.6万円、国民年金の場合は約5.1万円となっており、両者を合計しても先述した平均月額支出の26万4,707円を下回ります。一人暮らしだと年金だけで生活費をまかなうのは厳しいケースも想定されます。

 「年金生活の実態とは?困らないために備えておくべきこと

老後の生活費の見直しポイント

 老後の生活費の見直すポイントとしては、通信費、保険料、住宅費、医療費、介護費などがあります。

 まずは通信費を見直せないか考えてみましょう。格安SIMや格安スマホに乗り換えを検討してみるのもよいでしょう。つながりにくいというイメージもありますが、年々そのサービスは改善されてきています。また通信会社によってはシニア専用の料金パックなどがあります。ご自身の利用状況にあわせて見直ししてみましょう。

 また保険料の見直しをしてみましょう。保証内容を見直し、ライフスタイルにあわせて保証金額を減額したり、新しくでた保険に乗り換えたほうが適切な保証内容になり、保険料も割安になるケースもあります。

支出が大きい住居費について

 生活に関わる支出で大きな割合をしめるのが住居費です。持ち家か賃貸かによって支出は大きく変わります。持ち家と賃貸住宅でどの程度の費用が必要になるのか見ていきましょう。

持ち家の場合

 持ち家の場合、ローンの支払いが完了していれば毎月の家賃はかからず維持費だけになります。固定資産税に加え、マンションであれば管理費や修繕積立金などの共用費、戸建てであれば外壁や屋根のメンテナンス費用がかかってきます。マンションの修繕積立金は定期的に上げる前提で修繕計画をたてている場合も多いので、お住まいの大規模修繕計画を確認するとその後の管理費修繕費が把握できるでしょう。

 戸建ての場合、アットホームの「一戸建て修繕の実態」調査によると、建物の平均築年数 35.8 年で、修繕費の平均総額 556 万円という結果がでています。建物の築年数が経つと修繕費用は増えます。中長期的な修繕の計画をたて、修繕費用を計画的に積み立てておくと見通しが立ちやすいでしょう。

賃貸の場合

 一方、賃貸住宅に住んでいる場合、毎月の家賃が発生します。家賃はかかりますが、賃貸は気軽に引っ越しができるのがメリットです。ライフスタイルにあわせて、ロケーションや物件の条件を見直す前提で家賃をシミュレーションをしてみるのもおすすめです。

家族で話し合ってみましょう

 老後の住まい全体について、一度家族で話し合ってみるのもよい試みです。それぞれどのようなライフスタイルを希望するかを確かめ、それにあわせた住居選びを考えてみましょう。必要にあわせて、住宅の住み替えや、サービス付き高齢者住宅やシニア向け分譲マンションなど、選択肢を広げてみましょう。地方への IターンやUターンなども考えられます。住居費を抑えることを意識しながら新しい生活にあった住まいを検討しましょう。

医療費を抑えるポイント

 医療費の自己負担分は70歳以上だと現役時代の3割から2割に、75歳以上の後期高齢者医療制度だと1割(現役世代並みの収入がある人は3割のまま)になります。

 しかし、厚生労働省「国民医療費の概況」(平成29年度)によると、人口一人あたりの国民医療費は65歳未満が約18万7000円なのに対し、65歳以上は約73万8300円となっており、かかる医療費も増加する傾向にあります。
医療費を抑えるためにはどのようなことができるのでしょうか。

ジェネリック医薬品を選ぶ

 まずは薬が処方されたときにジェネリック医薬品を選ぶことがあげられます。ジェネリック医薬品は後発医薬品とも呼ばれ、新薬として開発した製薬会社の特許期間を過ぎた後、開発されます。そのため新薬より開発費が抑えられ、低価格で提供されています。同じ有効成分を使い、品質や効き目は同じであると厚生労働省からも認められています。薬局や病院でジェネリックの利用意向を聞いてくれる場合もありますが、聞いてもらえなかった場合、服用している薬のジェネリック医薬品があるか医師や薬剤師に相談してみてもいいですね。

高額療養費制度

 また、毎月の医療費の自己負担限度額が一定金額を超えた場合、超えた分が戻ってくる「高額療養費制度」があります。自己負担限度額は年収や年齢によって細かく決まっていますので、一度ご自身の限度額を確認してみましょう。高額療養費は家族で同じ健康組合に加入していれば、その月に支払った自己負担額を合算できます。一方で入院中の差額ベッド代や先端医療費など対象にならないケースも多々ありますので、いざというときに備えて確認しておくとよいでしょう。

介護費の知っておきたい制度

 いつか必要となる介護費はどれくらいかかるのでしょうか。

介護サービスにかかるお金

 日本には介護が必要な高齢者を社会でささえる介護保険制度があります。要介護度によって必要な介護サービスの費用を1割(所得によって2または3割)の自己負担で利用できます。

 在宅介護の場合、デイケアやデイサービスやホームヘルパー利用にかかる介護サービス費用とそれ以外のオムツなどの消耗品や介護ベッドなどの福祉用具の利用、介護リフォーム代などの費用があります。家計経済研究所が2016年実施した「在宅介護のお金と負担」調査によると在宅介護にかかる平均月額金額は約5万円でした。

 また、介護は大きく、在宅介護と施設入居に分かれますが、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど介護サービス代もすべて含まれる施設や、サービス付き高齢者住宅のように含まれない施設もあるので、検討する施設の月額費用の対象範囲を確認することは大切です。

高額介護サービス費制度

 また、介護サービスの利用負担分が上限を超えたときに、超えた分を払い戻してくれる「高額介護サービス費」という制度があります。こちらも世帯年収によって上限金額が異なりますので確認しておくとよいでしょう。

おわりに

 生活費に大きな割合をしめる生活費について基礎知識や節約ポイントを知っておくことは、老後の生活見通しをたてるうえでも役に立ちます。他の個人差が大きくなる食費、光熱費、娯楽費などの費用についてどれくらい必要か、シミュレーションしてみてもいいでしょう。老後のライフスタイルにあわせた生活費について考えてみてください。

(取材・文 山元 咲紀)

  • 深野康彦
  • 深野 康彦(ふかの・やすひこ)

    有限会社ファイナンシャルリサーチ代表

    大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。金融資産運用設計を研鑽(けんさん)して1996年に独立。現在のファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙(けいもう)を幅広く行っている。

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