実家の片付け、どう進めるべき?

人生100年時代を生きるキーワード・実家の片付け

2020.03.18
実家の片付けイメージ

 親が亡くなった後や施設に入居するときなど、物があふれている実家をどうしたらよいのでしょうか。「実家の片付け」の問題に直面する方は少なくありません。

 SBIいきいき少額短期保険が2019年におこなった調査によると、全国の男女2225人のうち26.2%が、終活をしていて心配なことは「物の整理、片付け」と回答しており、第1位という結果となりました。また「物の整理、片付け」を終活の一環でおこなっている人は43.5%とされており、第1位の「お金の準備」48.3%に次いでランクインしています。
 ここから、終活を行う世代が家の整理や片付けを課題に感じていることがうかがえます。「親の年齢を考えると、元気なうちに自分が実家の片づけを手伝ったほうがよいのではないか」と考える方も多いのではないでしょうか。

 一見自分の家の片付けと変わらないように思われる実家の片付けですが、実は、進め方や目的をしっかりと決めてから取り掛からないと、うまく進まなかったり、親との関係が悪くなったりするリスクがあります。
 親との関係を保ちながらスムーズに実家の片付けを行うには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。子どもの立場から実家の片付けを円満に行う方法を考えていきましょう。

<目次>

実家の片付け、課題は?

 まず、実家の片付けにおける課題にはどのようなものがあるでしょうか。しばしば課題として挙がるのは、物が多すぎること、思い出の品を仕分けるのが難しいこと、そして親子関係による問題の3点です。

物が多すぎる

 実家の片づけをする際に、物が多すぎて片付かないと感じている人が多くいます。ダイヤモンド・オンラインによると、遺品整理業界全体の潜在的な市場規模は2000億円超と試算されており、業者に依頼してでも実家のものを片付けたいという強いニーズがうかがえます。

 特に生前整理であれば、年齢を重ねるごとに気力・体力が減少してくるため、片付けの時間が予想以上にかかってしまう懸念があります。同時に、在宅介護や施設入居の備えとしても、片付けておく必要があります。

思い出の品が多すぎて捨てられない

 単に物が多いだけではなく、そこに心理的ハードルが加わることも少なくありません。

 子どもが作った作品、自分の嫁入り道具、いただきものなど、親が思い出として残しているものは、なかなか捨てられないのが現実です。思い出の品は捨てるハードルも高く、たとえ使っていない物であっても実家の片付けする際においても慎重に取り扱う必要があります。

親子関係の問題

 物理的、感情的な問題に加えて、親子関係がそれらの問題に輪をかけるケースもあります。親子関係の問題には大きく分けて、親子の関係が悪いパターンと、その間柄が近すぎて客観的に片付けをおこなえないパターンの二つありますが、いずれのパターンも、スムーズな片付けを阻害してしまう要因です。

 実家の片付けと一言で述べても、親が亡くなっている場合と生前の場合では状況も異なってきます。もし親が存命であれば、その意向や感情をくみながら片付けを行うことが、最も大きなポイントになるでしょう。両親のどちらかが亡くなっている場合の遺品整理は、残された親の気持ちに配慮して急ぎすぎないことが大切です。

実家の片付けをスムーズに行う方法

 では具体的に、どのように片付けをおこなえばよいでしょうか。今回は、親が存命であるという前提で、スムーズに片付ける五つのポイントをみていきましょう。

 スムーズな片付けには、お互いが気持ちよく片付けに取り組めるように尊重しあいながら行うことが重要です。

1. 親の承諾を得る

 最初のコツは、親の承諾を得ることです。当たり前のようですが、もっとも重要なポイントです。
たとえ使っていない物であっても、「物が多いと地震や停電時などでつまずくなどのけがのリスクが増えて危険である」「物が少ないと生活がしやすくなる」など片づけをしたほうがいい理由を伝えることで、親の合意のもと、スムーズに片付けを進めることができます。「もう高齢だから自分じゃ無理でしょ」「物が多すぎるから捨てたほうがよい」といった具体的でない理由は納得がしにくいため、できるだけメリットを含めながら話し合いましょう。

2. お互いの気持ちを尊重する

 せっかく合意をして片づけを始めても、進めていくうちに意見が分かれてしまうこともあります。特に、子どもから見るといらないと思えるものでも、それが親にとって思い出の品の場合、捨てる決断がなかなかできないことがあります。写真に撮って残しておいたり、無理して捨てずに一時保管にして、つまずかない場所に移動させておくと安心です。

 実家の片付けならではの問題として、つい子どもが指示するような口調で片づけを進めてしまうということがあります。しかし、実家といえども、家にある物は親の物です。「親だから」「この家の子どもだから」といった理由でむやみやたらにものを捨てることは、親子関係の悪化や、後々の後悔につながる可能性があります。親が自分の意思で物を捨てられるようにコミュニケーションを行うことが大切です。

3. 「もったいない」精神は大事?

 親の「もったいない」という気持ちが強く、片付けをはじめても物が捨てられないケースも多々あります。もったいない精神は大事ですが、自分が本当に気にいっているものを大事に使っていくことのよさや、リサイクルに出す方法などを伝えてあげたり、引き取り先を探してあげるといいでしょう。

 また、「まだ使えるからもったいない」という気持ちで捨てないと判断しているのか、本当に自分が好きで残しておきたいのかを話し合いながら片付けを進めてみましょう。ただしこの場合も、必ず親の意思を尊重することは忘れずに、じっくりと向き合っていきましょう。

4. 時間をかけて?それとも一気に?

 親が片付けを承諾しても、短期間で急いで行うとトラブルが起こりやすくなります。ゆっくりと取り掛かる方がいいしょう。また、1日かけて行うと、疲れて片づけが続きにくくなってしまいます。

 「1日2〜3時間程度の片付けを毎週土曜日に行う」「孫の誕生日までに部屋をきれいにする」など具体的に予定を立てるのがおすすめです。ただし、親の心の負担にならないように臨機応変に対応しましょう。

5. 業者は活用するべきか?

 自分の力だけではスムーズに片付けができないと思ったら業者に依頼するのも方法の一つです。間柄が近くないほうが客観的な判断ができることもありますので、お互いの精神的な負担が大きい場合は、業者に仲介してもらうことも視野に入れてみてはいかがでしょうか。亡くなってから全部業者に頼むよりも、早めに頼むことで、老後をスッキリした部屋で親が安心して暮らせるようになります。結果的に貴重品や大切なものが分かり、費用も安くすむことになるでしょう。
この場合も、必ず親に承諾を得てから行いましょう。

思い出や親の気持ちに感謝して片づけ

 以上、実家の片付けの五つのポイントを紹介してきました。
実家の片づけを行う際には、長年使ってきたものを処分することも多いでしょう。感謝の気持ちをもって片づけができるといいですね。

(取材・文 山元 咲紀)

  • 渡部亜矢
  • 渡部 亜矢(わたなべ・あや)

    (一社)実家片づけ整理協会代表理事、実家片づけアドバイザー(R)、片づけ講師

    実家片づけアドバイザー認定講座、人生100年時代のモノ・お金・書類の整理講座などを開講。著書『カツオが磯野家を片づける日~後悔しない「親の家」片づけ入門~』SBクリエイティブ、『片づけの基本』ディスカヴァー・トゥエンティワン他。

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