眠れないときどうしてる?原因と対策を知って快眠生活を

人生100年時代を生きるキーワード・睡眠

2020.03.23
眠れないときイメージ

 「疲れているはずなのになかなか寝付けない」「布団の中で考え事をしているうちに目がさえてしまう」そんな経験はありませんか?
眠れないまま何度も寝返りをうっていたら、そのうち空が明るくなってきた。布団の中でいくら焦っても全然眠くならない。寝たいのに眠れないときって本当につらいですよね。
 今回は、眠れなくなる理由やその予防、対策などをご紹介します。眠れないときにどうすればいいのかを知っていれば「今日も寝付けないかもしれない」という不安は解消するはず。
 ご紹介するのは誰にでもできる簡単な方法です。普段寝つきが悪いと感じている人は、早速試してみましょう。

<目次>

眠れないときに考えられる原因

 布団に入って目を閉じているのに眠れない。夜中になっても目がさえてしまう。私たちはなぜ眠れないときがあるのでしょうか。眠りを妨げる原因をまとめました。

1.不安や悩み事などの心理的ストレス

 私たちは、人間関係・仕事・子育て・育児など、日常生活の色々な場面でストレスを感じています。これらの心理的ストレスは、体をアクティブにする交感神経を刺激して、睡眠にとって重要な「セロトニン」「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌が減少させてしまいます。不安や悩み事があると寝つきが悪くなるのはそのためです。

2.不規則な生活による体内時計の乱れ

 私たちの体には、朝がくると自然と目が覚めて、決まった時間におなかがすき、夜は眠くなるといった毎日同じ生活リズムを繰り返そうとする体内時計があります。しかし、夜更かしをして昼近くまで寝ていたり、深夜に食事をしたり、不規則な生活を繰り返しているとそのうち体内時計が乱れてきます。体内時計が乱れると、夜暗くなっても眠くならなくなります。

3.テレビ、液晶画面などの光刺激

 スマートフォンやパソコン画面から出る青い光も睡眠に悪影響を与えます。これらは日光に近い性質があり、寝る前に見ると脳が「起きているときだ」と勘違いをしてしまうからです。さらに光刺激によって、体内時計に影響を与える睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌が妨げられ、交感神経が刺激されて眠りにくくなります。

4.アルコールやカフェイン

 アルコールやカフェインは摂取する量・タイミングが悪いと、眠りを妨げてしまう可能性があります。
少量のアルコールは脳の興奮を抑え、寝つきをよくしてくれます。そのため睡眠薬に頼るのが嫌なので寝酒を飲む人もいます。しかし、お酒の飲み過ぎは睡眠にとってよくありません。アルコール分解時に発生するアルセアルデヒドが、深い眠りのレム睡眠を妨げるからです。その結果、浅い眠りのノンレム睡眠の状態が長く続き、質の良い睡眠がとれなくなってしまいます。
 また、カフェインには覚醒作用があり、興奮状態のときに活発になる交感神経を刺激します。寝る前に、コーヒーや紅茶、栄養ドリンクなどを飲むと、脳や体が興奮状態になるため、寝付けなくなります。
成人の場合、カフェインの血中濃度の半減期は2.5~4.5時間です。そのため、寝る時間の4~5時間前からカフェインが含まれる飲み物は控えた方がよいでしょう。

5.寝つきが悪くなる環境

 人は、体の深部の熱を外に出し、深部体温が下がると眠りにつきやすくなります。しかし高温多湿の環境では、汗が乾かず、深部の熱が外にうまく逃げてくれません。その結果、深部体温を下げることができず、寝つきが悪くなってしまいます。

眠れないときが多くなるとどうなる?

 私たちは、睡眠をとることによって、日中活動しているときにたまった心身の疲労を回復しています。どれだけ睡眠を取ればいいのかには個人差があって、「何時間寝ればよい」という誰にでも通用する基準がありません。しかし、眠れないときが多くなり、慢性的な睡眠不足になると誰でも心身に様々な影響が出てきます。
 寝不足により日中の強い眠気を感じるだけでなく、集中力や注意力が低下します。最近の研究では、睡眠不足によって不注意によるミスが起こる確率は3倍になると報告されています。
また、意欲の低下、疲労、イライラなどを感じるようになります。

 寝不足は、高血圧や肥満、糖尿病などの生活習慣病のリスクを増加させることが分かっています。厚生労働省の調査によれば、不眠の症状がある人が糖尿病になるリスクは、十分な睡眠をとっている人と比較して1.5倍〜2倍高くなるそうです。

四つの不眠症のタイプ

 日本睡眠学会によると、不眠症は以下の四つのタイプに分けられます。

1.入眠障害(寝つきがわるい)

 布団に入っても寝付くのに2時間以上かかる人はこのタイプ。不安や緊張、ストレスなどの精神的な問題が強いときに起こりやすくなります。

2.熟眠障害(ぐっすり眠った満足感が得られない)

 目が覚めたときにぐっすり眠れたという満足感が得られず、寝足りなさや日中に強い眠気を感じるタイプ。日光を浴びない生活は、メラトニンの分泌が不十分となって眠りが浅くなります。また、「必ず◯時間睡眠が必要」といった眠りへの強いこだわりによって、熟眠障害が起きることもあります。

3.中途覚醒(夜中によく目が覚める)

 いったん寝ついたあと眠りが浅く、途中で何度も目が覚めて、一度起きるとなかなか寝つけなくなるタイプ。年齢を重ねるごとに眠りが浅く目覚めやすくなるため、中高年〜高齢者に多くみられる症状です。

4.早朝覚醒(朝早くに目が覚める)

 普段よりも2時間以上早く目が覚めてその後、寝られなくなってしまうタイプ。高齢者やうつ病患者にもよくみられる症状です。

眠れないときにおすすめの予防と対策

 眠れないときにできる対処法を紹介します。

1.眠りにつくまでの3時間にリラックスタイムを作る

 眠りにつくまでの3時間は「睡眠のゴールデンタイム」です。この時間に、睡眠の質を左右する副交感神経をしっかりと働かせることで、良い睡眠につながります。
 心地よい音楽やアロマなどの香りは、心と体をリラックスさせてくれます。また、入浴も血行をよくし、副交感神経のスイッチを入れるのに有効です。「睡眠のゴールデンタイム」にお風呂に入り、音楽やアロマを楽しむなど、眠りにつく準備をしてみましょう。

2.ホットミルクやハーブティを飲む

 体を温める「ホットミルク」や癒やし作用のある「ハーブティ」は副交感神経を優位にさせてくれるのでおすすめです。ただし、飲みすぎはNG。ティカップ1杯ぐらいをゆっくりと飲むようにしましょう。

3.深呼吸をする

 深呼吸をすることで、心身をリラックスさせる副交感神経が優位になり、眠りにつきやすくなります。入眠効果を高める呼吸法として、健康医学研究者のアンドルー・ワイル氏が広めた「4-7-8呼吸法」を紹介します。

  • 1)息を完全に吐ききる
  • 2)鼻から息を吸いながら4秒数える
  • 3)息をとめて7秒数える
  • 4)ゆっくりと息を8秒で吐き出す

 誰にでも簡単にできる呼吸法なのでぜひ試してみてください。

4.パジャマや下着を伸縮性のあるものにする

 部屋着で寝つきが悪くなった経験がある方は、寝るときの服装をパジャマにすると、リラックスして就寝できるようになるかもしれません。パジャマは、体を締め付けない伸縮性のある生地がいいでしょう。横向きでもあお向けに寝ても、ゆとりのあるものがオススメです。また、1日の終わりにパジャマを着る習慣をつけると、脳のスイッチを自然と睡眠モードに切り替えられるので寝付きやすくなります。

5.太陽の光を浴びて体内時計をリセットする

 朝日を浴びると、太陽の強い光の情報が目の網膜から脳の視交叉上核に届きます。すると、視交叉上核にある体内時計がリセットされ、そこから24時間という一定のリズムを刻みはじめます。不規則な生活をしている人は、朝に太陽の光を浴びましょう。乱れた体内時計がリセットされ、夜、眠りやすくなります。

6.睡眠の質を上げる食事をとりいれる

 体によい食事があるように、睡眠にもよい食事があります。食生活を見直して体の内側から快眠体質へ変えていくことも非常に重要です。
 睡眠の質をあげるには1章でも紹介した通り、グリシン、トリプトファン、ギャバが含まれた食品を摂取しましょう。

7.医療機関を受診する

 もし、長期的な不眠に悩まされている、ここでご紹介した方法でも不眠が改善されない時は、医療機関での受診をおすすめします。1人で悩まずに、専門医に相談をしましょう。

どうしても眠れないときの過ごし方

 どうしても眠ることができない。そんな時は、無理に寝ようとせず思いきって布団から離れてしまうのもひとつの方法です。穏やかな音楽やアロマなどリラックスできる環境をつくり、ホットミルクやハーブティを飲みます。仕事や悩み事から離れて、ゆっくりとした時間を過ごしてみましょう。心と身体が休まって、眠くなったらまた布団に入ってください。
 ただ、就寝時間がどんなに遅くなってしまっても、起床時間は一定にすることをおすすめします。いつもと同じ時間に起きて、太陽の光をしっかり浴びて体内時計をリセットしていきましょう。

眠れないときのために自分に合わせた対処法をみつけよう

 眠れなくなる理由、眠れないときの対処法や予防法についてまとめました。
 体を休めたいのに眠れないのはつらいものですね。ここであげたのはいずれも誰でもできる簡単な方法です。眠れないときの対処法としてお試しください。

(取材・文 日野 あすか)

  • 三島和夫
  • 三島 和夫(みしま・かずお)

    秋田大学大学院教授

    秋田大学医学部助教授、バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事。睡眠障害の診断・治療・病態研究に関する厚生労働省研究班の主任研究者を歴任し、睡眠薬の適正使用と休薬のための診療ガイドライン、睡眠障害治療薬の臨床試験ガイドラインなどを作成した睡眠のスペシャリスト。

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